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2009年3月29日

隠居:ごぜ唄を聴きにいく

  勤めていた頃の同業ML仲間が、瞽女さんの文化伝承を東京で支援しておられる。その方の紹介で和泉市に在住する同じML仲間と一緒に、阿倍野区の四天王寺近くにある蒼龍寺というところに「ごぜ唄」を聴きにいってきた。

 今回の大阪での公演は、越後瞽女唄(ごぜうた)の伝承者として活動されている萱森直子さんが初めて教鞭をとった堺市立三国ヶ丘中学に、萱森さんと一緒に赴任した薮中さんという同年配の女性のお世話で実現したそうである。翌日(3月29日)の京都清水寺奉納檜舞台での公演の前に、急遽設定されたようだ。
公演舞台:クリックすると大きな写真になります 公演が行われた蒼龍寺(浄土宗)は、藪中さんが住まいするマンションのすぐ近くにあり、このような会合によく使われるようだ。ただ、普段畳の上で生活していない年寄りには、2時間近くの座布団1枚は正直きつかった。60 人あまりが入ると満員となった大広間は、男性は数少なく女性がたくさん来ておられた。私たちの前の最前列には和服のよく似合う料亭の女将さん風の方も手に汗をして聴いておられた。

 ごぜ唄は「荒々しい」、「脚色がない」が特徴と、萱森さんが解説しておられたように、電気的な増幅装置もなしでの迫力で迫ってくる唄を目を瞑って聴くと体中に響き渡って、座布団座りの腰痛も忘れていた。
 演目は関西公演に合わせて、和泉信太山が舞台の「葛の葉」で、弐段と参段を長岡瞽女屋の節回しで唄われた。その間に「祝い唄」のようなものがあり、最後は三味線無しの「たち唄」だった。たち唄とは、門付け唄の逆で、村を立つときに唄う歌なのだそうだ。(出典:エコブログ:中年ものがたり

 京都の趣のあるお寺の多い地区で蒼龍寺を探すのに歩き回ったためか、ごぜ唄が腹に響き渡ったためか、極度に空腹感を覚えていた。公演後、友がネットで調べてくれた美味しい魚と、ボリューム満点の天ぷらを食べさせてくれる「一味禅」で、美酒佳肴の饒舌な時を過ごした。

JAZZ LIVE BAR グラバー邸:Iクリックすると大きな写真になります 仕上げは、友人がひいきのJAZZ LIVE BAR グラバー邸で、ホットワインなどをすすりながら、トランペットとギターの duo という奇妙な取り合わせを聴いた。それはそれなりで良かったが、萱森さんのごぜ唄のあとでは、なんとなくむなしい。