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2016年11月23日

隠居の健康:無症候性頸動脈狭窄症の治療での入院記録

恥を晒すようですが、もう20年以上も Metabolic syndrome で近畿大学医学部堺病院に通っている。血糖も、血圧も、コレストロールも、薬のおかげがあるのだが、数値は正常ないし境界型で過ごしてきている。
 糖尿病の怖いのは、それが基礎疾患となって、眼底出血や冠不全・脳梗塞を引き起こすことである。そのために、主治医は色々な検査をレコメンドしてくれる。
 眼底検査は、眼科で年2回くらい検査を受ける。その検査時に、白内障が進んでいることが見つかり、2010年12月(右目)2013年6月(左目)に手術をした。
 冠動脈の状況をみるために、胸部X線写真や心電図検査や心エコー、トレッドミル負荷試験なども定期的に実施しているが、今のところ特に異常はないということであった。
 ところが、動脈硬化の状況を検査するために、75歳になる前々日(8月22日)に頸動脈エコーの検査を受けたところ、左内頚動脈狭窄がかなり進んでいることが発見された。主治医(代謝内科)に脳神経外科を受診することを指示された。脳神経外科医の指示で、MRIとMRA 検査を受けた。
 このMRA 検査で撮影された頸動脈の画像を見せられて愕然となった。素人目でも明らかに、狭窄しているのがわかる。脳神経外科医の見立てでは、90%は狭窄しているだろう。手足のしびれや呂律が回らないとかの、何も脳梗塞症状はなかったのかと尋ねられたが、そのような覚えはない。症状がない場合もままあるとのことである。
 だが、この状況では、2年以内に4人に一人は脳梗塞になる確率が高い。狭窄を広げる手術を勧められた。狭窄している部分に、ステントを入れる手術である。以前から一番恐れていたのは、脳梗塞になることだったから、迷うことなくお願いすることにした。

MRAの画像(左頸動脈:手術前)
DSC_0025.JPG

オペは、経験が多い F 医師が主として担当してくれるということで、手術の手順を詳細に説明してくれた。術日は、10月18日に決まり、前日に入院。オペを担当するもう一人の Y 医師から、上の画像を見ながらさらに詳しく説明を受けた。上の画像は、そのときスマホで撮らしてもらったものだ。矢じるしの部分が狭窄しているところで、血管が写っていないように見える。
 手術では、大腿動脈からカテーテルを入れるので、術1日前に足の付け根あたりの体毛を看護師が電気カミソリで剃ってくれ、入浴を促された。また、手術には、血管造影剤などをを入れるので、ルート・キープのためにかなり太い注射針で点滴装置がつけられた。
 血糖降下剤として服用していたメトグレコという薬剤は、造影剤を使用するとき、乳酸アシドーシスを起こしやすくなるということで、入院前々日に、担当医師から電話があり、服用をやめていた。そのために、内科医から、血糖が200以上になればインシュリンを注射することの指示があり、朝・昼・晩と簡易測定器で血糖が計られた。が、インシュリン2単位を腹部に注射したのは、術後2日目の夕方に血糖値が215になった、その時一回だけだった。
 手術日は朝から飲み物はOKだが、絶食である。手術時から何時間かは、動けなくなるので、エコノミークラス症候群を予防するために、弾性ストッキングを着用する。主治医である内科医が、様子を見に来てくれた。外来の診察日のはずであるが、ありがたいことだ。
 手術は、午後1時から始まった。二人部屋(その時点では一人だったが)の病室からは、10分前に、看護師が手術室まで車椅子で連れて行ってくれる。手術室は、通常の室ではなく、MRが撮影できる部屋である。
 手術台に仰向けに横たわった。心電計などが取り付けられたあと、頭が動かないように固定される。まず、大腿動脈付近に局所麻酔注射が打たれる。そのあと、尿道にカテーテルが挿入される。個人差はあるらしいが、私は結構痛かった。前立腺肥大気味なのが影響しているかもしれない。
 そのあと、右大腿動脈からカテーテルが入れられたようだ。また、左大腿静脈にもカテーテルが入れられた。そのあとは、脈拍の規則的な音を刻むデジタル数値が表示されるモニターが見えるだけである。
  F 医師と Y 医師が何か作業を続けられているようだだ、何をされているのかはよくわからない。手術中に、呼びかけが聞こえたら、聞こえているという返事の代わりに、握ったら音がでる赤ちゃんのおもちゃを右手の平に持たされた。ときどきの呼びかけに、これを握って応えた。造影剤が注入されるときは熱くなる。
 カテーテルは、すぐに左頸動脈に届いているようだった。ただ、3時間で済む手術が遅れている。私の場合、狭窄している先の血管が90°以上に曲がっており、そこにはカテーテルが入らないので、回避する処置に手間取ったようだ。
 4時間後、手術は無事終わった。術後のMR画像の撮影などの処置が終わって、病室に帰ったのは、午後5時40分になっていた。
 夕食を摂ってもOKなのだが、足を動かせないので、ベッドの背もたれを起こし、家内に援護してもらって食事を終えた。尿カテーテルを通じての尿は、いささか痛い。
 カテーテルを入れていた右大腿動脈の止血は、アンジオシール(Angio-Seal) という を使っている。新しい止血方法で、術後の絶対安静から開放してくれるが、まだ保険適用になっていないようで、別途の支払い(¥48600) が必要である。これを抑えていたバンソコウは夜の8時過ぎにはずされて、翌朝7時30分には、尿カテーテルも看護師が抜いてくれたので、点滴セットを引きずりながらではあるが、歩行ができるようになった。
 術後に、点滴で注入されたのは、抗トロンビン剤のアルガトロバンである。
 手術の翌日昼頃、Y担当医が様子を見に来てくれた。止血も順当ということであった。その日の夕刻、子供と孫達が見舞いに来てくれた。あまり全員が集まることもないので、これを機に我が家でささやかな食事会をしたとのことである。
 手術日の2日後の午後、頸動脈のエコー検査を受けた。検査技師は、よく流れるようになっていると話してくれた。夕刻、内科医が訪ねてくれて、メトグレコを明日夜から再開してくださいとの指示があった。その日に、白内障を手術するという元気な老人が、同室することになった。
 術後3日目の午後、Y医師から超音波エコーや脳血管造影の画像を見ながら術後の経過の説明を受けた。順調に、狭窄部分が広げられて、血流も十分であることの説明を受けて、ホッとした。

超音波エコー検査の報告図抜粋
bope01.jpg  aope01.jpg

血管造影の画像
bope02.jpg  aope02.jpg

術後4日目、内科医からの指示で、ちょうどいい機会なので、毎食の食前と食後2時間の血糖の測定を指示された。病院食の毎食のカロリー量は、1600カロリーと制限されている。糖尿病薬の服用も、いつもどおりに戻っている。自宅では、夜は晩酌をしているが、病院ではそのようなこともないので、このような測定はいい機会である。術後5日目の朝食から実施することにした。測定は、看護師から借りた簡易測定器である。自宅でも時々図っているので、戸惑うことはない。測定結果は、消費カロリーが極端に少ない入院生活の数値としてはまあまあではないかと思っているが、高いことには間違いない。

食事時刻前値2H値
朝食7:54130187
昼食12:05147172
夕食17:30160161
就寝前20:59180--

退院は、術後一週間後であった。退院の前々日、止血の傷口も癒えたとのことで入浴を許された。心配した医療費も、わずかに入っていた生命保険のお陰で、わずかの持ち出しですんだ。何よりも、脳梗塞のリスクが軽減したことは、ありがたいことである。
 退院後、定期的な内科検診で、HbA1cは、7.0まで落ちていた。冠動脈の状態を見るために、トレッドミル負荷試験を実施したが、問題なしとということであった。