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2008年2月 5日

読書日記「危ない中国 点撃(クリック)!」(福島香織著、産経新聞出版刊)

 この本を図書館で借り、流し読みをした直後に、あの中国製冷凍ギョウザ中毒事件が日本全国に広がった。

 おかげで、この本に注文が殺到、5版が決まったらしい。もう一度、読み返してみた。


 産経新聞中国総局の記者である著者は、産経新聞のニュースサイト「iza」に書いているブログ「北京趣聞博客」のなかから、アクセスの多かった36本を収録している。

 第1章の「中国の食は危険がいっぱい」が3分の2を占めているが、エッと思う記述が続出する。

  • ホルモン剤を含んだ児童食品を食べて、7歳で月経が始まった女の子や6歳でひげが生えている男の子など、子供の早熟症が進んでいる。ホルモン剤汚染食品は、大人にも影響を与え、2004年には医師である全人代代表が広州市の全人代の会議で「50年後、広東の大多数の人間は、生殖能力を失うだろう」と警告した。
  • 中国は塩の専売制を取っているが、安い密造塩が横行している。不純物が多いだけでなく、中毒を起こす亜硝酸塩を含む工業塩が紛れ込むことも多い。

  • 人の毛髪をアミノ酸液に替え、それを原料にしたニセ醤油(毛髪醤油)が、市場に出回っているといううわさが絶えない。学者は、発ガン性があるという見方をしている。
  • 2005年に、山東省検疫当局が、人工牛乳を製造していた業者を摘発した。ゴミとして捨てられていた革靴を化学処理して人工たんぱく質をつくり、それに香料、色素を加えていた。今でも時々、人工牛乳騒動が報道される。
  • 工場などの排水、下水溝にたまった油を集めて精製した食用油「地溝油」が出回っている。ウランバートルの学生2人がインスタントラーメンを食べて,中毒死したが、ラーメンに、この油が使われたな、と直感的に思った。広東省のレストランでは、客が自分専用の「マイオイル」を持参、それで調理するよう頼むのが流行している。

 このほかにも、汚染された米、お茶、飲料水など、危ない食品の実態がいくつも紹介されている。ニセ食品事件が続く日本もほめたものではないが、中国に旅行するのが、いささか怖くなる感じさえある。


 ただ、これらの文章は、ブログに掲載されたものだけに、伝聞や報道などの引用が多く、著者自身の取材をもとにしたものはほとんどない。 


 記者が取材して書いた原稿を、デスクが直し、編集幹部がチェックして掲載、その後も記事審査部門が審査する新聞記事とは、根本的に違うのだ。

 新聞に掲載する場合、取材相手などの反発、抗議を懸念して、取材の確証を得ても、掲載を自己規制してしまうケースもないことはない。


 その点、ブログというメディアを活用して、書き込みを続けている著者の意図に、ある種のおおらかさ、勇気を感じ取る。

 著者自身も、この本の「あとがき」で「ネット上の『掲示板・ブログの書き込み』『知人の話』といった伝聞を重視し、新聞記事には書き込めない中国人の本音、事象の裏側も見いだしてもらえるのではないか」と書いている。


 ちなみに、このブログ「北京趣聞博客」の「趣聞」は中国語でゴシップ、「博客」はブログのこと。


 最近の「北京趣聞博客」には、農薬・メタミドホスについての詳しいレポートや食品中毒事件についての中国各紙の報道を紹介、それに関連したコメント、トラックバックが盛んになっている。


 新しいメディアとしてのブログのおもしろさを、改めて実感せざるをえない。



危ない中国 点撃! 福島香織の「北京趣聞博客」
福島 香織
産経新聞出版 (2007/10/29)
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1 もはや妄想のレベル(笑)
5 チャイナからやってくる毒
5 やっぱり本当だったんだ