Atelierで“平湯”タグの付いているブログ記事

2011年10月29日

隠居、奥飛騨平湯温泉と高山に旅する


 私も参加していた情報システム関連のユーザー会の人たちの旅行が毎年企画されている。10年以上も前に製薬会社の情報システム関連の仕事をしていて、OB である私にも声をかけていただく。メンバーは現役の方がほとんどなので、当然土日ということになる。この旅行会は、年に1~2回 露天風呂のある温泉地を訪れることをモットーとしている。
 今回の旅行は、もともと東北大震災が起こった翌日を予定していたのだが急遽取りやめとなったので、そのリベンジである。この旅行には、東京・名古屋・大阪からのメンバーが現地集合で参加する。

 大阪からは、今回の参加者で一番若手の方と一番年上だった私との2名だった。アクセスは、新大阪駅から平湯温泉まで直通でいける【中央交通トラベルクラブ】の【奥飛騨・高山バスの旅】という企画に参加した。この企画は秋冬限定であるが、現地まで直通でいける路線バスみたいなものである。値段も、平湯温泉まで片道 3,800 円、高山までだと 2,900 円と格安である。客がひとりでも運行しているようで、事実、高山から平湯までは、仲間と二人の貸しきりだった。帰りの高山からは、満席だったが。

 名神高速道路の一宮インターから東海北陸自動車道へつないで、北に上がっていくと山々の紅葉が見られるようになった。飛騨清見IC から高山までは高速道路仕樣の中部縦貫自動車道(無料)を走る。ここでは、ますます紅葉がきれいになった。さらに、一般道を走る高山から平湯までは、鮮やかに黄色に染まった銀杏の木、ブナなどの黄葉、ナナカマドやウルシなどの紅葉が山を彩っている。新大阪を8時に出発して、その日の宿である【ひらゆの森】についたのは午後2時10分頃だった。

 宿泊は、コテージ4棟に、4~5名に分かれた。温泉は、宿泊客ばかりでなく一般の人達にも開放されている。コテージには、開放的なかけ流しの内湯も付いている。 飛騨牛の焼肉で夕食を楽しんだあと、一番大きなコテージで、ビール・ワイン・地酒・焼酎を飲みながら尽きぬ話で盛り上がった。

 よく早朝(日の出は6時15分くらいだった)コテージを抜け出し、野鳥を求めて近くを散策した。どんよりと曇っていて、さえずりはわずかに聞こえるが、姿が見えない。途中でかなりの雨がふりだした。材木置場で雨宿りをしながら、止み間を見て、さえずりスマホでPCM 録音してみた。帰宅後、いつもの【ことりのさあえずり】サイトで同定してみたが、どうもよく分からない。今回も厚かましく、管理人の pika さん にメールで教えを乞うた。翌日に、ヒガラではないかとの親切な教示をいただいた。管理人の Pika さんは共著であるが、携帯電話でQRコードを読み取れば さえずりの音声を聞くことできる【鳴き声と羽根でわかる 野鳥図鑑】を出版されたようだ。早速 Amazon に注文した。(残念ながら、android スマホでは即座に再生されない。詳しくは、別のエントリーで取り上げたい。)

 朝食後、路線バスで高山に回った。日曜日とあって、バスは満員である。
バスターミナルでもあるJR高山駅のコインロッカーに荷物を預けて、古い町並みへ散策にでかけた。最初に、宮川にかかる赤い中橋 近くにある陣屋跡を見物した。無類の露天風呂好きで、落語にも堪能なメンバーの一人は、この陣屋で次のようなことを発見したようだ。古い文化に素養のない私には、ネコに小判だったが。
 最後のコーナーで山岡鉄舟の親が陣屋勤務で鉄舟が高山で育ったことを知って文書に見 入ってしまいました。墓所の方は谷中の全生庵で、鉄舟に傾倒していた三遊亭円朝の菩提寺にもなっていて、「毎年8月11日の直前の日曜日」に「圓 朝まつり」が落語協会主催で協会所属の全部の噺家が顔を揃えるビッグイベントになっています。参加者もついでに山岡鉄舟のお墓に墓参して、江戸を 灰燼になるのを防いだ西郷・勝の会談を段取りした鉄舟に感謝することになる。という次第です。

 質素な庭を見ながら居間と記された座敷に座ってみると、緩やかな年月もながれていたのではないかと思いめぐらした。大広間では、尺八と琴の生演奏が行われていた。アレグロの世界よりも、このようなアンダンテカンタービレ的な生活を取り戻さないといけないのかもしれない。

 陣屋を見物した後、古い町並みをぶらぶらと歩いた。日曜日と爽やかな天気ということで、お互いに肩が触れ合うぐらいの人出である。この古い町並みには、酒蔵がたくさんある。酒好きの仲間たちは、それが目当てで一軒ごとに試飲を繰り返している。少々歩き疲れて、古い町並みから外れたところにある蕎麦屋で昼食を摂ることになった。下見に来てくれていた仲間二人のおすすめである。ここも、待ち行列ができていたが、蕎麦屋は回転が早い。汗を掻いた体には、冷たい割子そばが美味しかった。
 昼食後、皆と別れてカルガモが泳いでいた宮川の赤い中橋あたりまで戻って、しばらく観察した後、閑散としている通りを駅までゆっくりと歩いて帰った。駅前の小さな公園の水場には、スズメたちが水浴びをして遊んでいた。

樹間にたつコテージ;クリックすると大きな写真になります露天風呂の外側;クリックすると大きな写真になります居間から庭をみる;クリックすると大きな写真になります大広間での琴と尺八演奏;クリックすると大きな写真になります
樹間にたつコテージ:ひらゆの森
2011/10/22
露天風呂の外側:ひらゆの森
2011/10/23
居間から庭をみる:高山陣屋
2011/10/23
大広間での琴と尺八演奏:高山陣屋
2011/10/23
高山古い町並み;クリックすると大きな写真になります酒蔵での試飲;クリックすると大きな写真になります中橋近くのカルガモ;クリックすると大きな写真になります水浴びするすずめ;クリックすると大きな写真になります
高山古い町並みの賑わい
2011/10/23
酒蔵での試飲:高山古い町並み
2011/10/23
中橋近くのカルガモ:高山宮川
2011/10/23
水浴びするすずめ:JR高山駅前
2011/10/23
 

  
野鳥図鑑 鳴き声と羽根でわかる

池田書店
売り上げランキング: 113348


 

2009年5月30日

隠居のドライブ:奥飛騨の秘湯、福地温泉

 50年近く前の大学時代に教育キャンプ場カウンセラーとして共に過ごした同期と長距離ドライブをした。まだ高速道路関連の会社で現役で働いている仲間のひとりが、このようなとき、いつも幹事を引き受けてくれる。

 彼が何回か行って気に入っている奥飛騨の福地温泉が、宿泊地である。この温泉は、TV で秘湯として紹介されているらしい。
 大阪からのアクセスは、名神で一宮JCT から東海・北陸道に入り、飛騨清見インターチェンジを経て、中部縦貫自動車道(高山清見道路)で高山ICで降り、平湯温泉を目指す。高山清見道路は、高速道路仕様だが、無料である。

 平湯や乗鞍、上高地には若いころに車で訪れたことがあるが、こんな立派な道はなかった。それから40年以上も経って、トンネル掘削技術も進化したのだろう。とにかく、この往復 800km あまりのドライブでは数多くの長いトンネルを走った。道路が整備されたことで、後期高齢者でも1泊で往復できるようになった。ただ、1日 400km は少しハードであったが。

 朝8時JR 茨木駅で仲間をピックアップして、新宿からバスでやってきた仲間と落ち合った平湯のバスターミナルに着いたのは、14時前だった。穂高岳がくっきりと見える。
 新穂高ロープウエイを使えば、その穂高の高いところまで手軽に上がれる。ところが残念ことには、その日は強風のため肝心の第二ロープウエイが運休してしまった。第一ロープウエイだけ乗って、早々に引き揚げ宿のある福地温泉へ。この温泉は、平湯バスターミナルから車で 20 分ほどの谷間にある。

 かけながしのナトリウム炭酸水素塩泉は、まことに心地よい。風呂上がりの夕食には、岩魚の塩焼きなどや山菜料理などで満腹となった。
 翌早朝入りに行った露天風呂は内湯とは別の場所にある。川のせせらぎ、小鳥の鳴き声の中で岩にもたれかかり、ひとり手足を伸ばすのは何とも贅沢だ。
平湯バスターミナルから穂高方面:クリックすると大きな写真になります新穂高ロープウエイ鍋平駅の新緑:クリックすると大きな写真になります旅館「孫九郎」の夕食:クリックすると大きな写真になります旅館「孫九郎」の露天風呂:クリックすると大きな写真になります

 上高地への釜トンネルは大型バスが問題なくすれ違えるくらい広く高くなっているが、マイカーは規制されている。平湯に車を置いて、格安価格で客引きに来たタクシーに分乗して、大正池まで。雨が予想されていたのに、帰るまで穂高上部の雲はかかったままだったが、幸いにも青空が広がる好天となった。

 若いころに、初めて上高地を訪れたときほどの感激はないが、新緑の向こうに残雪が残る穂高を望む景観は清々しい。
 今日の予定は上高地だけなので、14時に上高地バスターミナルから新宿へ向かう東京の友を見送りできるまでの時間を利用して、明神池まで歩いた。梓川左岸線の河童橋からすぐ近くのキャンプ場では、ニホンザルが餌をあさっていた。そういえば、ベンチに腰かけて弁当を広げるすぐそばに、マガモもよちよちと歩いてきた。これらの動物たちに不用意に餌を与えることで、自然の生態が破壊しているようだ。
 明神橋までの途中には、ニリンソウが群れとなって小さな白い花を咲かせていた。明神池からの帰りは、梓川の右岸を歩いてきた。清流にマガモが泳いでいた。マガモは本来は渡り鳥と思うが、この上高地では留鳥となっているようだ。 

河童橋から穂高を望む:クリックすると大きな写真になりますニホンザル:クリックすると大きな写真になりますニリンソウ:クリックすると大きな写真になりますマガモ♂
 

 そのとき、私はまだ現役だった頃に学んだ、IBM のトーマス・ワトソン・Jr.がよく語ったと言われるキルケゴールの教訓を元にした次の寓話を思い出していた。
 
 ジーランドの海岸に、毎年秋、南に渡る野ガモの巨大な群れを見るのが好きな男がいた。
その男は親切心から、近くの池で野ガモたちに餌をやるようになった。
しばらくすると、一部のカモは南へ渡るのが面倒になり、男の与える餌を食べてデンマークで冬を越した。

やがて、残ったカモはますます飛ばなくなった。
野ガモの群れが戻ってきたときには、輪になって歓迎したが、すぐに餌場の池に引き返した。
3、4年も経つと怠けて太ってしまい、気づいたときにはまったく飛べなくなっていた。


(追記:2009/6/1) 福地温泉・上高地で撮った花の写真を記録として追加しておこうと思う。どちらかといえば特殊な地域なのでネットサーチしても名前の判定が難しかったが、例の「この花の名は?」掲示板に投稿するとすぐに返事が返ってきた。Nawshica さん、エキウムさん ありがとうございました。
この掲示板には、1日10人近くの投稿があり、すぐにどなたかが回答しているようだ。ネット世界は特別なものではなくなっている。
(追記:2009/6/3)上高地で撮ってきた蝶の写真を Yamako さんに見ていただくと下のコメントのように珍しい蝶(コヒオドシ)であることが分かった。一部草に隠れているが、掲載することにした。
ラショウモンカズラ:上高地梓川左岸:クリックすると大きな写真になりますムシカリ:上高地明神池:クリックすると大きな写真になりますラッセル・ルピナス:福地温泉:クリックすると大きな写真になりますヒメウツギ:福地温泉:クリックすると大きな写真になりますコヒオドシ:上高地;クリックすると大きな写真になります