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2010年1月27日

キアゲハの切手 3/3

 今回、キアゲハの切手の発行国を調べていくと、その国の名前は聞いたことがあってもどこに位置するかが分らない国がたくさんあった。また、特に第二次大戦後、多くの国々が独立していて新しい国名になっていたり、同じ地域でありながら国名が変わっている国も多かった。勉強させてもらった。国名についてはウィキペディア(Wikipedia)を参考にさせていただいた。

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  1. モルドバ 1993年発行 東ヨーロッパの内陸国、西はルーマニアに接する。1991年ソ連崩壊後独立
  2. モンゴル 1963年発行 北にロシア、南に中国に挟まれる。おなじみ白鵬や朝青龍両横綱の母国。この切手は古いほうに属する。
  3. モンゴル 1992年発行
  4. モンゴル 1994年発行 シンガポール切手展の記念切手で狗(イヌ)年と漢字が入っている。
  5. ロシア ヤクチア自治共和国 1992年以降はサハ共和国という。とすれば、この切手はそれ以前に発行された。ロシア連邦を構成する共和国
  6. ユーゴスラビア 1964年発行 1929年から2003年まで存在したユーゴスラビアは、その6つの構成共和国が現在はそれぞれ独立し、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアとなっている。一昨年、このうち4か国を訪れた。この切手の発行も古い。好きな切手の1枚である。
  7. ヨルダン 1992年発行 イスラエルとも接する中東、西アジアに位置する立憲君主国家である。
  8. ヨルダン 1992年発行 前者の小型シートで、地色と文言が異なる。

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  9. ラオス 1991年発行 ラオスは東南アジアの内陸国で中華人民共和国、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、タイと国境を接する。 10年に1回日本で開催される国際切手展の記念切手。
  10. ラオス 1996年発行
  11. ラトビア 1996年発行 1918年第一次世界大戦で独立したが、1940年にソ連に併合、そして1991年にソ連から独立を回復した。バルト海に面する北東ヨーロッパ
  12. リベリア 西アフリカに位置する共和制国家。現在のアフリカの中ではエチオピアに次いで古い国である。
  13. ルーマニア 1960年発行 国名の由来は「ローマ人の国」。この切手の発行も古い。
  14. ルーマニア 1985年発行
  15. ルクセンブルク 2005年発行 ベルギー、オランダと併せてベネルクス3国と呼ばれる小国のひとつ。
  16. レバノン 1965年 西アジア、中東に位置する共和制国家。この切手の発行は古く、趣が感じられる。

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  17. 赤道ギニア 1984年発行 名前のとおり赤道直下の国。写真によるお粗末な切手で、しかもアフリカには関係ない蝶が並んでいる。
  18. 赤道ギニア 1984年発行 こちらはパステル画。国外のエイジェントに制作を任せ、郵趣家を対象に外貨獲得の手段としている。
  19. 東ドイツ 1964年発行 1949年にドイツ連邦共和国(西ドイツ)建国を受け、翌10月にドイツ民主共和国(東ドイツ)の建国が宣言され、分断されていたドイツは、1990年に東ドイツが西ドイツに吸収される形で、41年ぶりに統一された。この切手はドイツらしい切手と思う。
  20. 北ベトナム 1976年発行 1975年4月30日にベトナム戦争は終わった。そして1976年に南北ベトナムが再統一されたが、この切手の発行はその直前のようだ。
  21. 北朝鮮 2000年発行 1945年の降伏文書調印により正式に日本の朝鮮半島統治は終了する。そして、終戦直後から、北緯38度線以南をアメリカに、38度線以北をソ連に占領され、1948年に韓国と北朝鮮の両国ができた。
以上、2005年くらいまでに発行になったものはカバーしたと思うが、これ以降も、たくさんの蝶切手、いくつかのキアゲハの切手が発行されていると思う。しかし、前にも述べたとおり、特に小型シートに見られるような、郵趣家目当ての、外国のエージェントに制作を任せたようなお粗末な切手が各国から多発され、厭気がさし、蒐集をやめてしまった。しかし、なかにはすぐれた切手もあり、良いものだけは手に入れておきたいとも思う。

さて、私が外国で撮ったキアゲハの写真は、オーストリアのアルプバッハとクロアチアのドブロクニクのものがある。ヨーロッパのPapilio machaon と日本のPapilio machaon は違う亜種であろうとは思うが、同じPapilio machaon である。

オーストリア チロル アルプバッハ のキアゲハ:クリックすると大きな写真になります 1.オーストリア チロル アルプバッハ のキアゲハ 2007年7月7日


Nikon D100 NIKKOR VR 18-200mm F3.5-5.6G
プログラムオートで撮影 ( F7.1 1/750秒 ISO400 露出補正なし )
クロアチア ドブロクニク のキアゲハ:クリックすると大きな写真になります 2.クロアチア ドブロクニク のキアゲハ 2008年7月20日

Nikon D300 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
プログラムオートで撮影 ( F10 1/400秒 70mm ISO400 露出補正なし )
横浜市舞岡公園 のキアゲハ :クリックすると大きな写真になります 3.横浜市舞岡公園 のキアゲハ 2007年10月5日

Nikon D100 Tokina macro 100mm F2.8D
プログラムオートで撮影 ( F8 1/1000秒 ISO400 露出補正なし )
藤島武二画伯の「蝶」:クリックすると大きな写真になります 最後になったが、この「キアゲハの切手」 1/3 で日本からはまだキアゲハを描いた切手は発行されていないと述べたが、実はあった。1966年に発行された藤島武二画伯の「蝶」が原画の切手趣味週間の切手で、右上に紛れもなくキアゲハが描かれている。

2010年1月22日

キアゲハの切手 2/3

 世界で初めての純蝶切手は1950年にジャワ島の、現在はマレーシアの州のひとつであるサラワクから発行されたアカエリトリバネアゲハの切手であった。当時はサラワク王国である。
 その後ヨーロッパの国から次々と蝶切手が発行された。1953年には、アフリカのポルトガル領モザンビークから20種のロングセットの蝶切手が発行された。モザンビークは1975年に独立し、この蝶切手の中から独立告知の加刷をした切手も発行された。世界最初のキアゲハの切手は、スイスから1954年に発行された。
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  1. スイス 1954年発行 有名な切手 スイスでは毎年クリスマスカードの時期に「プロ・ジュベンチュート」(子供たちのために)という寄付金付きの切手が発行されるが、1950年から8年間連続で毎年4種の昆虫切手が発行された。ちなみに1950年にはヨーロッパアカタテハとミヤマモンキチョウが発行された。前述したように1950年はサラワクから世界初めての純蝶切手が発行された年であり、その同じ年である。
  2. スウェーデン 1991年発行
  3. スロバキア 2002年発行 1993年1月1日にチェコと分離独立した。
  4. セントビンセント 1994年発行 カリブ海の小アンティル諸島に位置する火山島のセントビンセントと珊瑚礁のグレナディーン諸島から成る、イギリス連邦に加盟する英連邦王国の一国で立憲君主制国家
  5. ソマリア 2001年発行 、東アフリカのアフリカの角と呼ばれる地域を領域とする国家。1991年に勃発した内乱により国土は分断され、事実上無政府状態となっている。近年海賊行為が多発している。
  6. ソ連 1987年発行
  7. ソ連 1991年発行 ソ連の崩壊は1991年 この切手はその年の発行である。
  8. タンザニア 中央アフリカ東部に位置するが、ここにキアゲハが生息するかは疑問である。

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  9. タンザニア
  10. チェコのはがき 2003年発行 チェコは1993年にチェコスロバキアから分離独立した。
  11. チェコスロバキア 1955年発行 1939年にナチス・ドイツにより解体されたチェコスロバキア共和国は1945年に復活した。 
  12. チェコスロバキア 1961年発行 これは私が一番好きな蝶切手である。この切手を初めてみたのは、兄がヨーロッパ出張のみやげに買ってきてくれた使用済みセットだったが、これが蝶切手に憧れるきっかけにもなった。その後未使用の9種セットを手に入れた。前述した西田豊穂さんが、2006年3月発行のJPS昆虫切手部会報の「昆虫郵趣ア・ラ・カルト 第9回 」で書かれているが、シュヴァビンスキーというチェコスロバキア国民から愛された版画の巨匠が原画を描いた。
  13. チェニジア 1994年発行 北アフリカのマグリブに位置する共和制国家
  14. チェニジア 2001年発行
  15. チャド 1998年発行 アフリカ中央部の国家
  16. ドイツ 1991年発行 1990年に東西ドイツは再統合された。

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  17. トルクメニスタン 1991年にソ連から独立した中央アジア南西部の国
  18. トンガ 1987年発行 南太平洋に浮かぶ約170の島群からなる王国。ここにはキアゲハはいないはず。
  19. バーレーン 1994年発行 中東に浮かぶ奄美大島と同じくらいの大きさの島国
  20. ハンガリー 1959年発行 中央ヨーロッパ ハンガリー語でハンガリー人、ハンガリーのことをマジャールという。
  21. ブータン 1990年発行 インドと中国に挟まれた東南アジアの王国
  22. ブルガリア 1984年発行 東ヨーロッパにあり、1944年にはソ連に侵攻され、王政を廃止し、共和制となる。しかし、1989年には、共産党政権が崩壊し、2001年には元国王が首相になる。
  23. ブルキナファソ 1998年発行 仏領西アフリカにあったが、1960年にオートボルタ共和国として独立、1983年にクーデターがあり、1984年に現国名になる。
  24. ベラルーシ 1995年発行 1991年にソ連から独立した。

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  25. ポーランド 1967年発行 中央ヨーロッパのチェコの北側に接する。チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニアなど中央ヨーロッパの国々からは、1960年代に蝶切手が発行された。
  26. ポーランド 1977年発行 
  27. ポーランド 1991年発行
  28. マーシャル諸島 2000年発行 太平洋上に浮かぶ島国である。1914年第一次世界大戦で日本が占領、1919年に国際連盟からの委任で日本の委任統治領となる。1944年にアメリカが占領。1956年独立した。1シート16種の蝶切手
  29. マルタ 1993年発行 イタリア半島に隣接した地中海に浮かぶ島国
  30. マルタ 2000年発行 1シート16種の蝶切手 
  31. ミクロネシア 2000年発行 太平洋上のミクロネシア地域に位置する。1920年、国際連盟は日本にミクロネシアの統治を委任し、日本の「委任統治領南洋諸島」として南洋庁の下に置かれたことがある。 「Butterflies of the World」という蝶切手小型シートで、ここにはキアゲハはいないと思う。
  32. メキシコ 1983年発行 見栄えのするキアゲハの切手である。

2010年1月18日

キアゲハの切手 1/3

 私は子供のころから、近所に住んでいた高校生のお兄さんの影響を受けて、蝶が好きだった。小学校に通うころは、近くの明治神宮の森で蝶を追いかけた。中学校の夏休みの創作展では、蝶の標本に採集記録や鱗粉転写(蝶の翅を糊をつけた紙の上に置き、魚拓をとるように鱗粉を移しとる)を付け、1年から3年まで金賞をいただいた。高校、大学では卓球に夢中になり、就職してからは蝶をかまっている余裕はなかったが、EOS650を手に入れ、蝶の写真を撮るようになったのと同じころ、蝶の切手にも興味を持ち始め、また、収集癖が顕在化してしまった。
  蝶の切手については、西田豊穂さんという方が書かれた「カラー版 蝶の切手」(講談社文庫・1986年発行)という素晴らしい本があった。私も蝶の切手を集めていて気がついたのだが、世界の国々から発行される蝶の切手の中には、同じ種が多く登場する。中でもキアゲハが最も多い。
 西田豊穂さんの本にもその記述があり、この本が発行された時ですでに20回も各国の切手に登場している。なぜ、キアゲハの切手が多いのだろうか。
 分布域が広く、動物地理学的にいえば、旧北区、新北区を合わせた全北区、すなわち、ユーラシア大陸からアフリカの北部、さらに北アメリカに生息しているということ、そして美しく見栄えがする蝶だからだと思う。ヨーロッパ各国の切手にもしばしば登場している。もちろん日本にもいるが、まだ、日本からキアゲハを描いた切手は発行されていない。キアゲハは学名を Papilio machaon という。
  そこで、暮から正月にかけて、最近はほとんどメンテナンスしていなかった私のストックブックの中から、キアゲハの切手を探し出し、普段使用している Canonの複合プリンター MP610 のスキャナーで取り込んだ。ここ4~5年は外貨獲得を目的とした粗雑な蝶切手が新興国家から発行されるようになって、ちょっと厭気がさし、集めるのをやめてしまっているので、直近の分は抜けているが、それでも80点もあった。3回に分けてご覧いただきたい。

   たとえば発行年代別に並べるとか、地域別に並べるとか整理をすればよいのだが、手抜きをして、順不同で片っぱしから並べてしまった。
  上段の左から右へ、そして、下段の左から右へ見ていっていただきたい。
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  1. AIhCHbI 最初に見ていただく切手から、どこの国だか分らない。多分ロシアの自治共和国だと思うが。
  2. Stadspost 民間郵便事業 1991年発行 オランダの民間郵便事業の会社のものと思う。1.2.についてはご存知の方だおられれば是非教えていただきたい。
  3. アフガニスタン 1983年発行 1978年に軍事クーデターが発生し、アフガニスタン共和国からアフガニスタン民主共和国に国名が変わった。1979年にはソ連軍が侵攻し、親ソ連派のクーデターによって社会主義政権が樹立している。そして1992年にアフガニスタン・イスラム国となるが、ほぼ無政府状態となり、タリバンが台頭していく。この切手はアフガニスタン共和国時代の発行である。
  4. アラブ首長国連邦 1997年発行 アラビア半島のペルシア湾(アラビア語圏ではアラビア湾と呼ぶ)に面した地域に位置する7つの首長国からなる連邦国家である。ドバイ、シャールジャ、アジュマーン、ウンム・アル カイワイン、フジャイラの各首長国が集合して連邦を1971年に建国。翌1972年、ラアス・アル ハイマが加わる。
  5. アルジェリア 1981年発行 北アフリカの国
  6. アルバニア 1966年発行 ギリシャの北側の国
  7. アンチグア バーブーダ カリブ海に浮かぶ島国だが、ここにキアゲハがいるかは疑問
  8. イエメン 1966年発行 イエメン・アラブ共和国の時代。無目打ちのものは稀少と思う。

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  9. イエメン 1990年発行 この年に南北イエメンが統合され、イエメン共和国になる。
  10. イタリア 1996年発行 いかにもイタリアらしいデザインだ。
  11. イラク 1980年発行 1979年にサダム・フセインが大統領になる。湾岸戦争は1991年のこと。
  12. イラン イライラ戦争は1980年から1988年まで続く。この切手の発行はそれ以降。
  13. イラン 1974年発行
  14. インド ナガランド州 ナガランドはインドの東部にある州で、インドからの独立運動が続いており、現在でも一部の勢力はインド政府に抵抗している。 
  15. ウクライナ 2004年発行 1991年にソ連崩壊とともに独立した。
  16. オランダ領アンチレン カリブ海のオランダ植民地

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  17. ガボン 1986年発行 中部アフリカの国、全北区から少しはずれると思うのだが。
  18. ガボン 1997年発行
  19. カンボジア 1995年発行 ベトナム、タイ、ラオスに接するインドシナ半島の国。国名はクメール語の標記 
  20. カンボジア 1998年発行
  21. キプロス 1995年発行 地中海上に位置するキプロス島。この切手は1983年にトルコの後ろ盾でキプロス共和国から独立した北キプロス・トルコ共和国発行
  22. キルギス 1998年発行 中央アジアにある旧ソ連共和国で1991年に独立、通称キルギスタンという。
  23. キルギス
  24. サハラ 1994年発行 旧スペイン領サハラで、その帰属については亡命政権であるサハラ・アラブ民主共和国とモロッコ王国が領有を主張している。この切手はサハラ・アラブ民主共和国の発行

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  25. サントメプリンシペ 1990年発行 西アフリカのギニア湾に浮かぶ火山島であるサントメ島、プリンシペ島、そしてその周辺の島々から成る共和制国家
  26. サントメプリンシペ 1991年発行
  27. サンマリノ 1990年発行 イタリア半島の中部に位置する世界で5番目に小さな国 
  28. シエラレオネ 西アフリカの西部、大西洋岸に位置する共和制国家。Butterflies of the Worldという小型シートで、ここで生息しているかどうかは疑問
  29. ジブラルタル 1977年発行 イベリア半島の南東端に突き出したイギリスの領土。切手の裏側にこの蝶の説明が印刷されている。
  30. ジブラルタル 1986年発行 自然環境保全の切手
  31. シリア 1979年発行 中東・西アジアの共和制国家で北西は東地中海に面する。
  32. シリア 1991年発行


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