五木寛之『青年は荒野をめざす』:Jazz and Free Go Hand in Hand
要するに、五木寛之は、ジャズ演奏を基本的に<コミュニケーション>と見なしているのである。それがミュージシャンと聴衆との間の<対話>であろうと、演奏中の(楽器によって表現される)ミュージシャン同士の対話であろうと、一方通行ではなく相互コミュニケーションでなければならない、という主張が根底にある。だからといって五木はレコードなどの価値を軽視しているわけではないが、やはり音楽(ジャズ)の原点は生演奏である、という主張が初期のジャズ小説群において一貫して表現されているのである。
私もJazzはコンサートホールでかしこまって聴く音楽ではないと思う。ライブハウスで、ジントニックでもチビリチビリやりながら音の中に身を沈めるのが最高である。ニューオーリンズのバーボンストリートにある Royal Sonesta Hotel (Google Map)のサロンや New Preservation Hall, 東京お茶の水の「ナル」や大阪北の Azule なんかで聴いたJazzを懐かしく思い出す。この小説の主人公「ジュン」のようにJazz に精神的な傾倒をするわけではないが、Jazz を聴くときは何か「自由」というものを感じている。続けて村上春樹の『国境の南 太陽の西』も読んでみようかと思っている。