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Studio YAMAKOで“珠玉の昆虫標本”が含まれるブログ記事

2019年3月22日

作並温泉 2泊3日の旅(1) カメイ美術館 3月14日

久しぶりに温泉へでも行ってみようということになり、仙台の近くの秋保、作並、鳴子の何処にしようか検討した結果、今回は作並温泉へ行くことにした。作並温泉は秋保温泉の少し奥で、仙台からJR仙山線に30分ほど乗り、作並駅から宿の送迎バスで5分というところだ。作並温泉には2軒ほど大きな温泉宿があるが、そのうちの一つに宿をとった。
 東京発11時ちょうどのやまびこ135号で、仙台には13:04に着いた。ちょうど昼食の時間である。「てくてくあおば」というWEBサイトで、仙台市民1,000人に聞いたアンケートで1位になっていた「北辰鮨」へ行ってみる。少し待ったが、食べることができた。さすが、旨かった。
 今回、仙台で少し時間をとって、是非、行ってみたいところがあった。それは世界の蝶のコレクションで有名なカメイ美術館だ。蝶の展示標本については写真撮影OKであったので、小一時間、ほとんどすべての標本を撮影してきた。4,000種、14,000頭の展示標本の中で、このブログの中ではすべてを紹介すことはできないが、特にビクトリアトリバネアゲハ、アレキサンドラトリバネアゲハなどトリバネアゲハは充実していて、昨年、見学した東京大学総合研究所博物館での「珠玉の昆虫標本展」を超えていた。
 仙台発16時ちょうどの快速山形行きに乗り、作並で下車すると、宿のマイクロバスが迎えに来てくれていた。ゆっくり温泉に浸かりたい。夕食は6時からだ。それまで、テレビで大相撲を見て、温泉は夕食後に入ることにした。夕食は和食中心のバイキングだったが、牛タン焼き、てんぷらなどがあり、芋煮の味がとてもよかった。オン・ザ・ロックで飲んだニッカの宮城県限定「伊達」というウィスキーが、値段の割には、旨かったと思う。

1.仙台駅
学生の頃は卓球の試合で、また、務めてからは出張で何回か仙台には来ている。上野から、ガタガタと良く揺れる「ひばり」という在来線の特急にも乗ったし、もちろん新幹線でも来ている。仙台駅はきれいな、立派な駅になった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.5 1/1250秒 12mm ISO125 ) 露出補正 なし
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2.「北辰鮨」 -1
出かける前に「てくてくあおば」というWEBサイトで、この日の昼飯をどこで食べようかと情報を探していたところ、仙台市民1,000人に聞いたアンケートで1位になっていた仙台駅の1階にある「北辰鮨」を知った。探しあてて行ってみたところ、2組ほど待ってテーブル席に案内された。失礼して店内を撮らせていただいた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2000 ) 露出補正 なし
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3.「北辰鮨」 -2
伊達政宗の正室 愛姫(えごひめ)と名前が付けられたセットの握りを注文した。マグロ、ウニが旨かったし、鰆(さわら)、帆立、穴子と3貫載せられた"炙り"もとても旨かった。価格もリーズナブルで満足。お隣に座られた地元の方に聞いたところ、仙台駅にはもう1軒「すし哲」という評判の店があるそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/640秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
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4.カメイ美術館
仙台駅の西口から地下鉄南北線の五橋駅のほうへ、広い道(愛宕上杉通)を10分ほど歩くと右側に、建物の上に「カメイ」という看板がある大きなビルがあった。そこの6階、7階がカメイ美術館だった。パンフレットによると、カメイ美術館は1994年(平成6年)9月に仙台市に本社を置く総合商社カメイ株式会社の創業90周年を記念して設立され、財団法人カメイ社会教育振興財団の事業の一環として開館した。蝶とこけしと絵画芸術の3っの方面の展示が行われている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 15mm ISO125 ) 露出補正 なし
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5.カメイ美術館 古作こけし名品・木地山系
カメイ美術館の入り口は7階だった。7階ではカメイ株式会社が長年にわたって収集してきた絵画・彫刻が展示されていた。梅原龍三郎、藤島武二、藤田嗣治、岡田三郎助、向井潤吉をはじめ著名な画家の作品があった。この階での撮影は禁じれていた。名画を鑑賞した後、蝶とこけしが展示されている6階に下りる。ここは写真撮影OKだった。こけしはカメイ4代目社長である亀井昭伍氏のコレクションより古作こけし名品展が開催されていた。写真のこけしは、秋田県皆瀬村木地山を中心に制作され発達してきた木地山系の古作で、左から小椋久四郎作(昭和初期)、小椋石蔵作(昭和14年ころ)、小椋久太郎作(昭和8年ごろ)、同じく(昭和16年ころ)、小椋為三作(昭和13年ころ)である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO800 ) 露出補正 なし
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6.作並系
これは、これから行く作並温泉を中心として発展した系統だそうだ。 説明書きによれば、「頭部はあごの細い逆台形が多い。頭頂の赤い輪状の飾りの中央に、一束の髪を描く水引き模様が特徴となっている。胴は、肩から下部にかけて細くなり、円錐に近い形で、子供が握って遊ぶのに適した細さである。しかし、安定がよくないため特に大きいものでは台を付けたものが見られる。胴模様は、菊や牡丹の花模様で、独自のカニのような花模様が描かれているのも一つの特徴である。」とあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/1000秒 10mm ISO640 ) 露出補正 なし
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7.こけしのおひなさま
津軽系のこけし作者である今晃氏のこけし雛が展示されていた。 その中で、これは石川美祈子さんという今晃工人のただ一人のお弟子さんの作品だそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1000 ) 露出補正 なし
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8.「宇宙賛歌」
用いられた蝶の種類は100種以上、翅の数はおよそ7,000枚に及ぶ、蝶の翅で宇宙をイメージしてつられた作品だそうだ。作者は長崎のカトリック教会の神父、烏山邦夫氏である。カメイ美術館(旧 カメイ記念展示館)の創設者、カメイ株式会社の三代目社長 亀井文蔵氏が、青年時代のある日、見知らぬ中学生より、「亀井さんの持っている蝶と、私が持っている蝶を、ぜひ交換してほしい」との手紙を受けとった折に、優しく、希望された蝶に手紙を添えて送ってあげたという話を、蝶収集の友人から伝え聞いた神父は感動し、このような作品を外部に出すことはなかったが、カメイ美術館の開館に際しての依頼に、わざわざ仙台まで来て、昼夜を問わず、1週間にわたって制作にあたり完成したそうだ。失礼ながら勝手に要約させていただいたが、作品の説明板には、亀井文蔵氏の烏山神父への謝辞が述べられていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO500 ) 露出補正 なし
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9.「宇宙賛歌」部分
「宇宙賛歌」 の右下の部分である。撮影する角度によって翅の色の輝きが変化する。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
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10.キリシマミドリシジミ
日本産のゼフィルスの中でも金属光沢の緑色の翅が美しいキリシマミドリシジミである。これほど多数の標本の展示は滅多に見られない。左隣のヒサマツミドリシジミの♀もきれいだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 27mm ISO2500 ) 露出補正 なし
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11.カメイミヤマシロチョウとカメイミカドウスバシロチョウ
中国の珍しい蝶という箱の中に、Aporia kameii (カメイミヤマシロチョウ)と Parnassius imperator kameii(カメイミカドウスバアゲハ) という学名の付けられた2種の蝶があった。また、その右側のタテハチョウ科の蝶(多分イナズマチョウの仲間)には、Euthalia kameii と Euthalia bunzoi と亀井文蔵の名前が学名につけられた蝶の標本があった。この2種には和名がない。自分の名前が学名として種名になるなんて、考えただけでもゾクゾクする。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 27mm ISO2500 ) 露出補正 なし
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12.ビクトリアトリバネアゲハ  -1
カメイ美術館に展示されている蝶は約4,000種という。日本に生息する蝶が、約240種であるので、膨大な種が展示されていることを知る。冒頭でも記したように、中でもトリバネアゲハの仲間の標本の充実ぶりはすごい。この美しいビクトリアトリバネアアゲハはソロモン諸島特産で、ニューギニア本島には生息しない。いくつかの亜種が知られている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
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13.ビクトリアトリバネアゲハ -2
これはガダルカナル島の rubianus という亜種のようだ。ビクトリアトリバネアゲハの♀は開帳200mmを超えるものも珍しくなく、アレキサンドラトリバネアゲハ同様、1854年に最初に得られた♀はマック・ギルブレイによって撃ち落されたものだという。(海野和夫 「世界で最も美しい蝶は何か」参照)

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
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14.アカメガネトリバネアゲハ
標本箱の上に「ウォーレスがパチャン島で発見したアカメガネトリバネアゲハ」と記されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 13mm ISO2000 ) 露出補正 なし
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15.アレキサンドラトリバネアゲハ
世界最大の蝶である。特に♀は開帳して平均230mmで、大きいものは250mmにもなるという。♂はそれに比べて小さく、180mmくらいで200mmを超える個体は稀だそうだ。最初の♀は散弾銃で撃ち落されたという。アレキサンドラトリバネアゲハの分布は南東ニューギニアの狭い範囲に限られている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 18mm ISO2000 ) 露出補正 なし
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16.各種トリバネアゲハ
メガネトリバネアゲハには、♂が緑、赤、青の3系統あるが、左の列がメガネアゲハのオビ島に生息する亜種オビトリバネアゲハ、真ん中の列がインドネシアのハルマヘラ島の赤色のメガネトリバネアゲハの亜種、右側の列の上2頭はキマエラトリバネアゲハ。下の2頭はアカエリトリバネアゲハだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
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17.ビクトリアトリバネアゲハの亜種ルピアヌスの異常型とアロッティトリバネアゲハ
左側の箱はパプアニューギニア産の亜種 rubianus で、右側の♀が異常型である。正常な写真13の♀と比較すると、ずいぶん白化している。右側の箱はアロッティトリバネアゲハで、ソロモン諸島のブーゲンビル島で、1914年に宣教師アッベ・アロッテ氏により発見された大変珍しい蝶とのこと。この蝶は独立した種ではなく、同じ地域に生息しているビクトリアトリバネアゲハとアオメガネトリバネアゲハの雑種であるとされている。雑種が成虫まで育つ確率は非常に低いのでこの蝶の採集例も少なく、特に♀は稀で、標本は世界に3頭のみであり、この1頭の他には大英博物館が保有しているだけだそうだ。日本産の蝶では、リュードルフィア・ラインで棲み分ける、ギフチョウとヒメギフチョウの交雑が知られている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 28mm ISO2500 ) 露出補正 なし
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18.モルフォチョウ
モルフォチョウの仲間は、トリバネアゲハやミイロタテハとともに世界で最も美しい蝶の一つである。特に青色金属光沢のものは、お土産品として有名であるが、この色は色素によるものではなく、光の干渉による構造色である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
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19.オオルリアゲハ
この蝶もモルフォチョウに負けないほど美しい。カラスアゲハの仲間でその分布はインドネシアのアンボン島からニューギニアを経て、オーストラリア北部に達する。分布が広いので多くの亜種に分類される。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
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20.蝶 標本展示室
6階の蝶の標本展示室は広かった。しかも、種類も標本数も、そして内容もぎっしり詰まっている。来てよかった思う。まだまだ、載せさせていただきたい写真もあるが、今回、特にインパクトがあった標本に重点を置いた。ただ、どうしても照明の映り込みがあり、できるだけかぶらないように撮ったが、難しかった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2000 ) 露出補正 なし
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21.トリバネアゲハの吊り飾り 7階への階段のわきには、トリバネアゲハの飾りが吊り下げられていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f​2.5​ 1/​5​00秒 9mm ISO​32​00 ) 露出補正 なし
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22.「伊達の牛たん本舗」
仙台は牛たんが有名である。カメイ美術館から仙台駅へ戻る途中に立派な牛たんの店があった。仙台駅ビルにも多くの店がある。なぜ仙台で牛たん焼きが?と疑問を持つ。牛タン焼きの誕生は昭和20年代。終戦直後の混乱期、仙台市内は、失業者であふれ、慢性的な食糧難に加えて、酔っぱらいや喧嘩が多く、火事などが多発した物騒な時代だったそうだ。牛タン焼きの生みの親である(故)佐野啓四郎氏も当時は和食の職人として、焼き鳥中心の飲食店を経営していたそうだ。​そして​誰にも真似のできない自分だけの料理を造りたい​と思い、試行錯誤を重ねて、牛たん焼きが生まれたという。仙台牛タン焼きの誕生は定説では昭和初期に当時、仙台に駐留してたアメリカ兵が食べ残した牛肉の余剰部分を利用したのがはじまりとされて​来ていた。​しかし​、​アメリカ進駐軍は、アメリカ本土から牛肉を解体したものを輸入していたため、牛​たん​自体はほとんど輸入されていなかった​のだそうだ​。牛たん焼きは余り物から生まれたのではなさそうだ。​当時は牛たんの素材集めも大変だったらしい。​

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f​1.8​ 1/​10​00秒 9mm ISO​2​00 ) 露出補正 なし
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2018年10月27日

珠玉の昆虫標本 -2 8月28日 9月13日

後半は尾本恵一東京大学名誉教授のチョウ類標本33箱から始める。実は最初に見学に行った8月28日には、会場に入るやこの標本に圧倒されて、魅了されてしまったのだ。そのため見学する順序が逆廻りになってしまい、撮った標本の写真を後から見て、どれがどなたの標本かわからくなってしまっていた。展示されていたParnassius各種(ウスバシロチョウの仲間)や、Colias各種(モンキチョウのグループ)の膨大な数の標本は凄いなと思わざるを得ない。尾本教授は分子人類学が本来のご専門だそうだが、チョウ類の系統分類的研究でも有名で、自ら採集されたアフガニスタン産のチョウの膨大な標本が展示されていた。
 もう一つ、素晴らしい展示があった。それは壁面の展示以外に、展示室の中央に並ぶ五十嵐邁博士のチョウ類標本を表裏が見られる両面ガラス箱11箱に収納し、天井から吊るされていたのだ。ほとんどの標本は翅表が見えるように展翅されているので、標本箱を開いて針を抜いて裏返しにして見なければ裏面を見ることはできないが、それが解決されていた。昨年、パリの自然史博物館へ行ったときに、同じような展示形態を見たが、これほどまでのものはなかった。
 十分に秘蔵コレクション「珠玉の昆虫標本」を堪能し、見学を終えた。
 8月28日に来たときは、ここから上野の国立科学博物館で開催されていた特別展「昆虫」を見に行った。さすがに子供達の来場が多く、館内はその歓声に溢れていた。NHK Eテレの「香川照之の昆虫すごいぜ!」で子供たちに人気のある、"昆活マイスター"として名高い香川照之さんがオフィシャル・サポーターになっている。膨大な昆虫標本の展示とともに、いくつかの話題で構成された昆虫展だと思う。
 2回目の9月13日は、東京大学の正門から、さすがに東大だなと思う歴史のある建物を見ながら、安田講堂を見て、東大病院の脇から池の端門へ出た。この日は家内と一緒だったが、上野やぶ蕎麦で板わさと厚焼き玉子でビールを飲み、せいろ蕎麦を食べて帰宅した。今は2015年(平成27年)3月14日に開通した東京・上野ラインで30分少々で横浜まで帰れる。

181027_037.jpg 37.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -1
8月28日に「珠玉の昆虫標本」展を見に来たときは、時計回りではなく、逆に見始めた。そして、尾本恵一さん(1933~)の標本を見て圧倒されてしまった。主としてアフガニスタンのパルナシウスやモンキチョウの仲間のチョウの標本が収められた箱が、足元から、見上げる高さまで7段に並べられていた。コレクションは2013年に東京大学総合研博物館に寄贈された。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_038.jpg 38.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -2
尾本さんの収集の重点は、アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科、シロチョウ科のミヤマシロチョウ属とモンキチョウ属、タテハチョウ科のコムラサキ亜科とユーラシアのジャノメチョウ亜科だそうだが、まず、ウスバアゲハ亜科(Parnassiinae)の標本に圧倒される。この箱はチャールトンウスバのようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_039.jpg 39.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -3
これはシロタイスアゲハと思う。とすれば、パルナシウスとは違うタイスアゲハ族(Zerynthiini)に含められる、

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/160秒 28mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_040.jpg 40.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -4
パルナシウス族のウスバシロチョウ属の箱が並ぶ。パルナシウスは世界に約60種いるそうだ。これは幻のパルナシウスと言われるアウトクラトールウスバだろう。尾本恵一さんは、1963年に世界で4番目にこのチョウを採集したそうだ。アウトクラトールとは専制君主という意味らしい。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/640秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_041.jpg 41.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -5
パルナシウスの標本箱がぎっしりと並ぶ。この箱はオオアカボシウスバのようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_042.jpg 42.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -6
これはアポロウスバだろうと思うが、中央の赤斑の異常に大きな標本は裏面だろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_043.jpg 43.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -7
2013年の東京大学総合研究博物館ニュースであるウロボロスVolume18 Number2 に掲載された、尾本恵一名誉教授ご自身が書かれた「いわゆる尾本コレクションについて」で、パルナシウスとともにコリアス(モンキチョウ属)に興味を抱くようになったと述べられているが、1952年7月20日、千歳市で採ったチトセモンキチョウと命名されたモンキチョウの異常型、そしてその翌日、大雪山の麓でモンキチョウの雌雄型を採集されたことがそのきっかけとされている。 多種の多様なモンキチョウの仲間の標本が並んでいたが、私には名前まではわからなかった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/200秒 33mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_044.jpg 44.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -8
日本にいるミヤマモンキチョウにも似るが、同じではない。私も海外旅行をしたときには蝶に出会うと、できるだけ写真を撮るようにしている。今まで、スイスアルプス、オーストリア、中国四川省巴朗山峠、トルコなどでモンキチョウの仲間に会ったが、同定はできなかった。モンキチョウの仲間は世界で200種ほどいるそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/800秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_045.jpg 45.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -9
ラダックモンキチョウというのに似ている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_046.jpg 46.尾本恵一 東大名誉教授の標本 -10
これは東京大学総合研究博物館ニュース ウロボロス でも述べられているマルコポーロモンキチョウだろうか。蝶好きの私にとっては、五十嵐邁さん、濱正彦さん、そして尾本恵一さんの標本はあこがれである。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/1000秒 10mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181027_047.jpg 47.岸田泰則 日本蛾類学会会長の標本
尾本恵一さんの標本の隣には、2010年から3年間、日本鱗翅学会会長も歴任されている岸田康則さん(1949~)の蛾類標本38箱があった。この箱には、チョウと見紛うような美麗な蛾の標本が並べられていた。よく言われる蝶と蛾の相違点だが、シャクガモドキという夜に活動するチョウを別にすれば、私は触角の先端の形状を見るのが分かりやすい。目を引き付ける左から4列めの大型の蛾は、上からウラニアツバメガ、シンジュツバメガ、ルリオビツバメガ、オウサマアゲハモドキだ。チョウに勝るとも劣らぬ美しさだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_048.jpg 48.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -1
壁に沿って一回り見学した後、中央に吊るされた両面ガラス張りの、チョウの表裏が見られる標本箱が11箱並んでいた。初めて見る展示形態だった。2回目に行った9月13日には、1箱づつ、まず表を見て、裏を見ていった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_049.jpg 49.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -2
入り口側から、アキリデスのスンバアオネアゲハ(Achillides neumoegeni)、ブッダオビクジャクアゲハ(Achillides Buddha)、オオルリアゲハ(Achillides ulysses)といった大型の美しいアゲハが並ぶ。五十嵐邁さんと言えば1979年に発刊された著書「世界のアゲハチョウ」が有名である。欲しかったけど高価だったので手が届かなかった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_050.jpg 50.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -3
カザリシロチョウ、オオムラサキと続いて、これはコノハチョウ、そして三大美蝶の一つと言われるナルキッサスミイロタテハ、クラウディアミイロタテハ、ルリオビタテハなどが収まった箱だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 11mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_051.jpg 51.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -4
カザリシロチョウの仲間(Delias)であるベニモンシロチョウの表側。上が♂で、下が♀だがともに地味な感じだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/800秒 11mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_052.jpg 52.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -5
前の写真のベニモンシロチョウの裏側にまわった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_053.jpg 53.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -6
同じくベニモンシロチョウの裏側。裏を見なくては意味がない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 11mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_054.jpg 54.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -7
ミイロタテハとルリオビタテハ。ミイロタテハ属(Agrias)とルリオビタテハ属(Prepona)は同じルリオビタテハ族である。ナルキッサスミイロタテハ、アミドンミイロタテハ、ファルキドンミイロタテハやルデキサメヌスリオビアゲハ?が収められている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_055.jpg 55.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -9
ミイロタテハとルリオビタテハ の裏面。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_056.jpg 56.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -10
左側の箱がヤイロタテハ、右側の箱がタイヨウモルフォとアオタイヨウモルフォだ。ヤイロタテハははじめコムラサキ亜科のシロタテハかと思った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_057.jpg 57.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -11
ヤイロタテハの裏面である。シロタテハとは全く違う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_058.jpg 58.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -12
上の6頭はタイヨウモルフォと思う。中央の下はアオタイヨウモルフと思うが、他の2頭はわからなかった。モルフォチョウの多くは翅の表が青く輝くがこの種のように固有の色合いや模様を持つモルフォの仲間がいるのだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_059.jpg 59.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -13
タイヨウモルフォ、アオタイヨウモルフォなどの裏面である。表に比べて地味だ。モルフォチョウ属はタテハチョウ科のジャノメチョウ亜科に分類されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181027_060.jpg 60.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -14
左にタイヨウモルフォの箱、次にブルーに輝くモルフォの箱、そして、その右側は何だろう?

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_061.jpg 61.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -15
エガーモルフォと思ったが、後翅の形を見ると違うようだ。メネラウスモルフォかもしれない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181027_062.jpg 62.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -16
輝きの強いモルフォは、よく装飾品に利用される。かつては、モルフォの翅で作った皿がブラジル土産として売られた時代があり、しかも大量に輸出されたために、現在では飼育羽化品以外は輸出できないようになっているそうだ。装飾品に利用されたのはエガモルフォが多いようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181027_063.jpg 63.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -17
12頭のモルフォの裏面だが、エガモルフォとは少し違うようだ。メネラウスモルフォの裏面のように見える。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_064.jpg 64.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -18
何というチョウか分からなかったが、帰宅して1979年刊の〔学研の図鑑〕「世界のチョウ」で探したところ、シロオビワモンチョウだった。こちら側は表。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_065.jpg 65.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -19
シロオビワモンチョウは開いた前翅の幅が8.5cmほどある大きなチョウだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_066.jpg 66.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -20
シロオビワモンチョウの裏面だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_067.jpg 67.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -21
天井から吊るされた両面ガラス箱11箱の最後の箱は、ワモンチョウだった。左の列の上から3頭はワモンチョウ、2列目はウエムラワモンチョウだろうか。右2列はムラサキワモンチョウと思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_068.jpg 68.五十嵐チョウ標本両面ガラス箱 -22
大型ワモンチョウの仲間の裏面である。表か裏かどちらかが同定の決め手になることが多いが、どれも似たような紋様に見えてしまう。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_069.jpg 69.会場風景
会場を振り返ってみる。写真の正面の壁面の左側がセミ博士、加藤正世さんの標本で、右側が鳥類学者の侯爵山階芳麿さんの標本が並ぶ。その手前が撮影禁止だった日本人日本最古の昆虫標本である約200年前の江戸時代の旗本武蔵石寿が製作した7箱の昆虫標本が平置きにされている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/400秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_070.jpg 70.一般展示 -1
特別展「珠玉の昆虫標本ー江戸から平成の昆虫研究を支えた東京大学秘蔵のコレクションー」の部屋を退出して、東京大学総合研究博物館の一般展示を見た。チョウに関する展示も多い。これはチョウの分類を科別に紹介した標本である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/640秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_071.jpg 71.一般展示 -2
「東京で絶滅した蝶」と書かれた箱に、ギフチョウ、オオウラギンヒョウモン、ミヤマシジミ、クロシジミの標本が収められていた。戦後の東京では、都市化や開発、河川改修、農地の集約化、林業の衰退、里山の荒廃など高度経済成長を発端とする環境への悪影響がいち早く生じ、多くの昆虫が絶滅したと説明されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1000 ) 露出補正 なし
181027_072.jpg 72.安田講堂
2回目の9月13日は、東京大学総合研究博物館を退出したあと、上野のアメ横に寄って、「上野やぶ蕎麦」で美味しい蕎麦を食べようと、東大構内を池の端門の出口まで歩いた。途中、安田講堂の前を通ったが、私たちの世代にとって安田講堂は、1968年(昭和43年)の全学共闘会議によって占拠され、最終的には機動隊により強制排除された東大紛争(東大安田講堂事件)など学生運動の象徴であった。その後、事務室は順次「学生部」等として使われるなどしていたが、大講堂は長期にわたり荒廃状態のまま閉鎖されていた。富士銀行をはじめとする旧安田財閥ゆかりの企業の寄付もあり1988年(昭和63年)から1994年(平成6年)に改修工事が行われ再度供用されているという。この日、安田講堂の前の広場で保育園の子供たちが遊んでいた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 15mm ISO125 ) 露出補正 なし
181027_073.jpg 73.安田講堂玄関
安田講堂の玄関へ行くと、守衛さんがおられ、なかには入れなかった。正面玄関を覗いてみると絵画があった。守衛さんに写真を撮ってもよいかと尋ねたところ、ここまで入っていいですよと言ってくれた。調べてみると小杉放菴が描いた絵でだった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/800秒 12mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_074.jpg 74.国立科学博物館 特別展「昆虫」 -1
8月28日に来た時は、上野公園の国立科学博物館で開催されていた 特別展「昆虫」を見てきた。子供たちを主な対象とした特別展で、一般の私は、入場料1600円をお支払いして入場した。入ってすぐのところに、オオムラサキの約30倍の模型やら、ヒトスジシマカの約240倍をはじめ、約30倍のオオクワガタ、約200倍のニホンミツバチ、約40倍のミンミンゼミの巨大模型があり、目を引いた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_075.jpg 75.国立科学博物館 特別展「昆虫」 -2
昆虫標本に見入る子供たち。熱心にメモを取る子もいた。夏休みで、館内は子供たちの元気な声で溢れていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_076.jpg 76.国立科学博物館 特別展「昆虫」 -3
展示されている標本は数も多く、充実していた。五十嵐邁コレクションの中からも多数のチョウの標本が展示されていた。8月にベトナムへ行ったときに撮ってきたキシタアゲハの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_077.jpg 77.国立科学博物館 特別展「昆虫」 -4
写真はヘレナモルフォの標本だが、最近バイオミメティクスという、生物が持つ様々な特性に注目し、その構造や物性を真似ることによって生物と同じような機能をを実現し、モノづくりに生かしていくことが注目を集めている。その一つとしてモルフォチョウの発色を模倣した世界初の構造色繊維のことが説明されていた。モルフォテックスはモルフォチョウの青は色素ではなく構造で作られていることを応用して、一見白にしか見えない繊維に光を当てると青い光沢が現れる。もう一つ 「モスアイ構造」を模倣して余分な光をカットして画面を鮮明に見せるテレビの表面パネルや、反射の少ないフィルムなどが開発されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/800秒 37mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181027_078.jpg 78.国立科学博物館 特別展「昆虫」 -5
会場の出口近くにジャポニカ学習帳についてのパネルがあった。私の小学生時代にはなかったが、その後よく目にしたものである。1970年の発売以来、累計12億冊を販売した「ジャポニカ学習帳」。そんなジャポニカ学習帳の特徴の一つが、表紙を飾る写真だった。1978年以降、カメラマンの山口進さんが撮影したものが使われている。表紙に美麗なチョウやカブトムシなどの大きな写真が入っているのが特徴だったが、2012年から昆虫の写真を使うのをやめてしまった。きっかけは、教師や親から寄せられた「気持ち悪い」という声だったそうだ。確かにゴキブリを見て気味悪いというのはわかるが、私は、ジャポニカ学習帳の表紙のような昆虫の写真を見て、気持ち悪いという人がいることを知らなかった。私は、毎年、年賀はがきには自分が撮影したチョウの写真を印刷しているが、ひょっとしたら受け取ったかたの中には気持ち悪いと思う人がいるかもしれない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 12mm ISO640 ) 露出補正 なし


2018年10月22日

珠玉の昆虫標本 -1 8月28日 9月13日

「日本チョウ類保全協会」のイベント開催案内で、東京大学総合研究博物館で開催されている「珠玉の昆虫標本」のことを知った。最近、購入した「美しい日本の蝶図鑑」を監修された矢後勝也博士が企画された展示だそうだ。
夏休みも終わりに近づいた8月28日に行ってきた。今まで私が見てきた昆虫標本展とは違うインパクトがあった。多くの著名な昆虫学者であられる先生方が、東大総合研究博物館に寄贈され、収蔵されている約70万点の中から、日本の昆虫研究史の源流ともいえる学術標本から、現在に至るまで継続的に収集、研究されてきた約4万点の秘蔵コレクションが一挙公開されている。さすが、東京大学である。私は蝶の標本に注目していったが、その標本に見られる、それぞれの研究者のかたがたのテーマを学びながら、その標本の量、特に近縁種の標本の多さには感動した。
 受付のボランティアのかた、多分、研究者のかたと思われるが、「写真を撮っても良いですか?」と聞いたところ、江戸時代の本草学者・武蔵石寿により制作された日本最古の昆虫標本は、撮影禁止だが、他はノー・フラッシュで撮影してもよいのことだった。
 9月13日に行ったときは、まず、展示会場に入って右側の、尾本恵市氏の蝶の標本に圧倒され、そこから左回りに見学していった。夢中で写真も撮らせていただいたが、後で撮った画像を見てみると、どの標本がどの研究者の標本かわからないファイルが多くあったのに気が付いた。
 退出するときに、入場時にお話をお聞きしたボランティアのかたから東京大学総合研究博物館ニュース「Ouroboros」をいただいた。それぞれの研究者とその標本の説明が記されていたのを知って、これを先に読んでから見学すればよかったと思った。ブログの記述には、この「Ouroboros」の記事を参照させていただいた。また、種名については、手持ちの〔学研の図鑑〕「世界のチョウ」や、インターネットの情報を検索させていただいた。
そして後日、改めて見たいと思って、9月13日に、再度、東京大学総合研究博物館へ赴いた。ブログには2回に分けて載せたいと思うが、標本の写真については9月13日の見学に沿って載せていきたい。

181022_001.jpg 1.東大赤門
地下鉄の本郷3丁目から東大赤門まで歩き構内へ入った。「珠玉の昆虫標本」展の会場である東京大学総合研究博物館は、赤門の手前を右に入ると近いのだが、不案内であった。赤門は文政10年(西暦1827年)、加賀藩主前田斎泰に嫁いだ11代将軍徳川家斎の息女溶姫のために建てられた朱塗りの御主殿門で重要文化財に指定されているとの案内書きがあった。9月13日、「珠玉の昆虫標本」展見学2回目のときは、学習効果で、赤門手前からショート・カットして入ることができた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 12mm ISO400 ) 露出補正 なし
181022_002.jpg 2.東京大学総合研究博物館
赤門から入って、歩いてきた国道17号と平行に右へ進むと、「珠玉の昆虫標本」展の会場があった。その東京大学総合研究博物館は1966年(昭和41年)4月に東京大学総合研究資料館として発足し、1996年(平成8年)5月11日に東京大学総合研究博物館として改組された。2002年(平成14年)1月12日には、ここのところ毎春、ツマキチョウを撮りに訪れている小石川植物園の中に、東京大学総合研究博物館小石川分館が開館されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO400 ) 露出補正 なし
181022_003.jpg 3.江戸から平成の昆虫研究を支えた「珠玉の昆虫標本」
館内には一般展示もあるが、まずは 「珠玉の昆虫標本」の展示会場へ向かう。子供さんたちが多いかと思ったが、それほどではなかった。会場に一歩入るとアカデミックな雰囲気があった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/400秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_004.jpg 4.「珠玉の昆虫標本」の展示会場
写真でご覧いただけるように one room の会場は決して広くない。そこにぎっしりと「珠玉の昆虫標本」が展示されている。会場へ入ってすぐのところに、貴重な標本があった。日本最古の昆虫標本として知られる約200年前の江戸時代に旗本・武蔵石寿が制作した全7箱の昆虫標本が平置きされていた。チョウは、クロアゲハ、アオスジアゲハがあったが、少々形は崩れている。この標本は撮影禁止であった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/320秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_005.jpg 5.山階芳麿侯爵の昆虫標本
正面左の壁面の展示から右回りに見ていく。その壁面、江戸時代の本草学者・武蔵石寿により制作された日本最古の昆虫標本の後ろ側の壁面にはセミ博士の愛称を持つ加藤正世博士( 1898ー1967 年)の59箱の標本があった。昭和初期の昆虫黄金時代を築いた人で、セミが中心だがチョウの標本もあった。その隣に展示されていたのが本邦初公開と言われる、鳥類学者で山階鳥類研究所の創設者でもある山階芳麿博士(1900年-1989年)の、昭和初期に採集された標本だった。テンシャンウスバと思われるチョウや、ルリモンアゲハの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_006.jpg 6.江田茂さんの標本 -1
続いて西多摩の博物学者と言われる宮野浩二さん(1937年-2012年)の昆虫標本45箱。1960年代半ばから動植物に衰退の兆しを察知し、西東京産のあらゆる昆虫を継続的に採集、標本にしていて、昭和初期の昆虫の変遷から環境の変化を読みとる上できわめて貴重な情報源だ。さらにその隣には、平和・トンボ資料館館長の白石浩次郎さんの、1941年-2010年のトンボ標本が10箱があった。そして、入口からみての正面の壁面には、労働省の官僚であり、大収集家である江田茂さん(1930-2008)の昆虫標本33箱が並ぶ。写真は、南アメリカと中央アメリカの熱帯圏に生息する小型の美しいジャコウアゲハ類のマエモンジャコウアゲハの仲間や、ミツオアゲハ、ウスキオビアゲハの仲間の標本だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/200秒 24mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_007.jpg 7.江田茂さんの標本 -2
チョウ類と甲虫類が主体だ。私は同定ができないが、標本の種名が記されていないので、手持ちの図鑑などを参照して探っている。誤りがあると思うがお許しいただきたい。世界各地の昆虫標本が多岐にわたり収集されている。江田茂さんは、中学生の頃より、海外の昆虫標本商や研究者と文通、交換をして珍奇で美麗チョウなどの標本コレクションを始めたそうだ。 写真はパルナシウス(ウスバアゲハ族)の一部である。テンジクウスバ、チェケニーウスバ、アクディティスウスバ、そして、中央の上はヒメウスバシロチョウだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/640秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_008.jpg 8.江田茂さんの標本 -3
この箱のチョウの名前はほとんどわからない。中央アメリカや南米の蝶と思うが、わずかに右上にフタエヘリボシジャコウアゲハらしきチョウが認められるのみである。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/400秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_009.jpg 9.江田茂さんの標本 -4
ケニアなど中央アフリカからアフリカ南部に生息するツマアカシロチョウの仲間と思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/500秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_010.jpg 10.江田茂さんの標本 -5
江田茂さんの標本、エガーモルフォの雌雄型の箱があった。私は雌雄型では、左側が♂なら、右側の翅は♀というように現れるものと思っていたが、モザイクの現れ方もいろいろ異なることを知った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_011.jpg 11.ブータンシボリアゲハ
これは、日本・ブータン共同調査隊により約80年ぶりに発見されたブータン絞りアゲハの標本である。この標本は「珠玉の昆虫標本」展を企画された矢後勝也博士が採集されたものだそうだ。2011年11月に国賓で日本を訪れたブータン国王夫妻が2頭の♂の標本を持ってこられ、東京大学総合研究所博物館と、東京農大の 進化生物学研究所にそれぞれ贈呈された。6~7年前だったと記憶しているが、NHK-TVで "NHKスペシャル 「秘境ブータン 幻のチョウを追う」" が放映された。そして、2012年2月に東京農大 進化生物学研究所「食と農」の博物館で開催された "幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ"展示会も見に行った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/500秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_012.jpg 12.五十嵐邁博士の標本 -1
五十嵐邁博士(1924-2008)はチョウ類の幼生期の生活史と形態を主に研究された昆虫学者として知られる。幼虫期の形態や生活史が不明だったテングアゲハの調査団を結成して、インドのダージリンで食樹がキンベリーモクレンであることを発見されたのは有名である。没後の2010年の3月に東京千駄木のファーブル昆虫館で開催された「五十嵐邁展」を見に行ってきた。その翌年、前述したブータンシボリアゲハの日本・ブータン共同調査隊に参加された奥様の昌子様にもお目にかかることができた。著書の「アゲハ蝶の白地図」や「蝶と鉄骨」も私の書架にある。ここでは40箱のチョウの標本が展示されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_013.jpg 13.五十嵐邁博士の標本 -2
東南アジア産チョウ類を主体とする約10万点の標本、1000点を優に超える学術図書、5000点以上のチョウ類幼生期の写真や描図などの五十嵐コレクションは2010年6月に東京大学に寄贈された。この写真は初めて見るチョウだった。フィディアスタイマイのようだ。照明がどうしても標本箱のガラスに反射してしまい、撮りにくい。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/320秒 37mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_014.jpg 14.五十嵐邁博士の標本 -3
アレキサンドラトリバネアゲハだ。♀を最初に発見したミークという探検家がチョウがあまりにも巨大だったため、鳥と間違えて鉄砲で撃ち落としたと伝えれているが。開長180mm近くにおよぶ巨大なものもいるという。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_015.jpg 15.五十嵐邁博士の標本 -4
ヒイロツマベニチョウだ。インドネシアのアンボン島、セラム島、ベレン島、ブル島といった生息地により、亜種がある。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_016.jpg 16.五十嵐邁博士の標本 -5
五十嵐邁博士と言えば、まず、このテングアゲハだ。1986年、幼虫期の形態や生活史が不明だったテングアゲハの調査団を結成して、インドのダージリンのタイガーヒルで食樹がキンベリーモクレンであることを発見されたのは有名である。五十嵐博士が現地から日本鱗翅学会の白水隆会長へ打たれた発見成功の電報も展示されていた。 1979年発刊の〔学研の図鑑〕「世界のチョウ」では、幼虫の生態は不明とされていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_017.jpg 17.五十嵐邁博士の標本 -6
メガネトリバネアゲハには生息地により、多くの亜種があるようだ。♂の翅がグリーンのほかに、ブルー系亜種と、オレンジ系亜種がある。これはアカメガネトリバネアゲハ Ornithoptera croesus lydius だろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_018.jpg 18.五十嵐邁博士の標本 -7
「Ouroboros」では、今回の五十嵐邁博士の展示品で特筆すべきは、きわめて希少な尾なしカラスアゲハの標本である。特に♀は国内に1頭しか存在せず、一見の価値があるとされている。見た目はカラスアゲハというよりクロアゲハのようだった。この標本でどれが♀か分からなかったが、一番右端の胴が大きいのでこれが♀なのだろうか?。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_019.jpg 19.五十嵐邁博士の標本 -8
ルリモンアゲハと思う。先月、ベトナムの中部のダナンで見たのは、ルリモンアゲハだったかもしれない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 11mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_020.jpg 20.五十嵐邁博士の標本 -9
下の箱はオオクジャクアゲハ、あるいはタカネクジャクアゲハだろうか。上の箱はルリオビアゲハ(オビクジャクアゲハ)と思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/80秒 22mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_021.jpg 21.五十嵐邁博士の標本 -9
この箱のチョウは何か分からなかった。もしかしてルリモンジャノメの仲間かと思い検索してみたがヒットしなかった。やや小型のチョウだったのでシジミチョウ科のチョウだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_022.jpg 22.五十嵐邁博士の標本 -10
メスシロキチョウとその仲間のようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_023.jpg 23.五十嵐邁博士の標本 -11
日本にも生息するアオバセセリの仲間の標本だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 18mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_024.jpg 24.五十嵐邁博士の標本 -12
シボリアゲハ 。シボリアゲハの仲間は、アゲハチョウ科の中でも、原始的なグループのウスバシロチョウ亜科タイスアゲハ族に含まれ、この族にはタイスアゲハ属2種、シロタイスアゲハ属5種、シボリアゲハ属4種、ホソオチョウ属1種、ギフチョウ属4種、慶16種が知られている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 18mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_025.jpg 25.五十嵐邁博士の標本 -13
左側の列がウンナンシボリアゲハ、右側がシナシボリアゲハだ。シボリアゲハの仲間の4種はヒマラヤ山麓からミャンマー、タイ、中国西部に生息する。ブータンシボリアゲハはブータンに、シボリアゲハはヒマラヤ山麓ブータン、アッサム、ミャンマー、タイ、中国雲南省に、シナシボリアゲハは中国雲南省、四川省、峡西省に、そして、ウンナンシボリアゲハは中国雲南省にそれぞれ種生息する。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/160秒 29mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_026.jpg 26.濱正彦さんの標本 -1
これも凄い。信州の蝶聖信州屈指のアマチュア研究者と言われる濱正彦さん(1935-2012)のチョウの標本である。濱コレクションは、294箱に収納された44,570頭の主として長野県中南部産のチョウ類で、2013年4月に東京大学総合研究博物館に寄贈された。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_027.jpg 27.濱正彦さんの標本 -2
これはヒメヒカゲの箱だ。ヒメヒカゲはいま、絶滅危惧Ⅰ類になっている。私が昆虫少年だったころ、美ケ原の王が鼻から石切り場へ下りる途中で数頭採集した記憶がよみがえる。それ以来、会っていない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/320秒 12mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_028.jpg 28.濱正彦さんの標本 -3
コヒョウモンモドキだ。このチョウも最近めっきり会う機会が少なくなっている。1993年に海ノ口牧場で撮った本種の写真が残っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/200秒 24mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_029.jpg 29.濱正彦さんの標本 -4
アイノミドリシジミだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/320秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_030.jpg 30.濱正彦さんの標本 -5
右側はウラゴマダラシジミ、左側はフジミドリシジミ。フジミドリシジミの♀の表は黒で無地だ。ウラゴマダラシジミは近くの舞岡公園でも撮れるが、フジミドリシジミはまだ撮ったことがない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/320秒 32mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_031.jpg 31.濱正彦さんの標本 -6
このクモマツマキチョウの数には圧倒される。私はクモマツマキチョウも撮ったことがない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 16mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_032.jpg 32.濱正彦さんの標本 -7
ヒメギフチョウ の箱だ。左から3列目に並ぶのは、ギフチョウとの種間雑種なのかなと思った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/320秒 16mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_033.jpg 33.濱正彦さんの標本 -8
こちらはギフチョウである。黒状が太いので、ヒメギフチョウに比べて黒っぽく見える。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_034.jpg 34.濱正彦さんの標本 -9
写真では中央にキベリタテハの箱があり、その下にクジャクチョウ、上にはコヒオドシが見える。昆虫少年のころキベリタテハやクジャクチョウはあこがれの的で、夏休みの終わりのころに行った美ケ原で目的を達した時はうれしかった。クジャクチョウは何の花だったか忘れてしまったが、その花が真っ黒になるほど群がっていたのを思い出す。60年も前の話だ。昨今は、キベリタテハもクジャクチョウもとても少ない。コヒオドシは、夏の林間学校で乗鞍岳に登ったとき、畳平で3頭をネットに入れた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/60秒 21mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_035.jpg 35.須田孫七さんの標本 -1
展示場の右奥には日本のファーブルと言われる須田孫七さんの昆虫標本47箱だ。アリの標本は圧巻であると言われる。チョウの標本は少ないが、中心は1940年~2000年代に収集された東京都産の標本で東京の環境と昆虫相の変遷を知ることができる重要な資料とのこと。いまは東京では見られないギフチョウの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/125秒 28mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_036.jpg 36.須田孫七さんの標本 -2
コムラサキ、ミドリシジミ、アサマイチモンジの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし