検索結果: Studio YAMAKO

このブログを検索

大文字小文字を区別する 正規表現

Studio YAMAKOで“シュヴァビンスキー”が含まれるブログ記事

2022年6月30日

リッチな一日・昆虫切手展と鳩山邦夫さんの蝶コレクションを観賞 6月4日

6月4日は「虫の日」である。毎年、その頃の土日に合わせて、目白の「切手の博物館」で「昆虫切手展」が開催される。2020年、2021年は新型コロナウィルス感染症のため中止になっていた。今回は3年ぶりの開催で「JPS 昆虫切手研究会50周年記念 第35回昆虫切手展の開催となった。私は何もしない会員であるが、会報で案内をいただいた。
 今年は6月4日(土)-5日(日)の開催であったので、6月4日の午前中に目自へ出かけた。湘南新宿ラインで新宿で山手線の乗り換えようとしたが、山手線は事故があり、止まっていた。私は目白は池袋の先だと勘違いして、池袋まで行こうと埼京線に乗った。その車窓から山手線が動いているのが見えたので池袋で下り、ひとつ戻らなくてはいけないことを確認して、山手線に乗った。会場に着いたのは、11時を少し過ぎていた。展示されているパネルを順に閲覧し、作者の方にもご説明いただけた。
 この日は、文京区教育センターで開催されている亡くなられた鳩山邦夫さんのコレクションの「蝶・魅惑の昆虫」という展示会へ回ることにしていた。この日に同会場で行われる東京大学総合研究博物館の矢後勝也先生の講演を聴講しようと事前に申し込んでいたが残念ながらその抽選に外れてしまい参加することが出来なかった。
 目白から西日暮里乗換で湯島へ行ったが、その会場の文京区教育センターがなかなかわかり難い。その方向へと歩いて行くと、春日局墓所という「麟祥院」の前に出た。ここで寄り道をしてしまった。
 鳩山邦夫さんのコレクションの「蝶・魅惑の昆虫」という展示は素晴らしかった。見に行ってよかったと思う。
 帰りも地下鉄千代田線の湯島駅へ出たが、途中に湯島天神の大鳥居が見え、お参りしてい行こうと、また、しばし寄り道をしてしまった。

000_IMG_X700 20220621_0002.jpg
第35回昆虫切手展 クジャクチョウのカシエと切手に小型印(澤口尚子さん作)

001_220604094 X800 第35回昆虫切手展 G7X.jpg 1.目白「切手の博物館」
目白駅を降りて、山手線の沿うように高田馬場方面にしばらく歩くと「切手の博物館」がある。第35回昆虫切手展の会場は、エレベータで3階に上がったところだ。「切手の博物館」の沿革はwikipediaによると、「1988年(昭和63年)に設立された旧郵政省所管の財団法人フィラテリーセンターを前身とする。渋谷区代々木(現在のJR東日本本社敷地の一部)の郵趣会館内にあったが、再開発に伴い1996年(平成8年)にJR東日本が所有していた現在地へ移転した。2000年(平成12年)に財団法人切手の博物館と名称変更、中央省庁再編に伴い2001年(平成13年)より総務省所管、2013年(平成25年)4月1日より一般財団法人切手の博物館。2018年より財団名称を一般財団法人水原フィラテリー財団に変更し現在に至る。」とあった。立派な建物である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
002_IMG_X800 20220621_0001.jpg 2.第35回昆虫切手展 パンフレット表紙
前回の第34回昆虫切手展で行った「世界一美しい蝶・総選挙」の上位に入った日本産のチョウとして「クジャクチョウ」を小型印に採用、クジャクチョウを中心にした会員の蒐集成果を中心に展示されている。作品紹介のパンフレットの表紙は、世界各国のクジャクチョウが描かれた切手が並べられていた。私は上段一番左のチェコが1961年に発行した画家シュヴァビンスキー原画の9種の蝶蛾切手の一枚が気に入っている。兄がスイスへ出張した時に、チョウ好きの小学生だった私に使用済みのこのセットをお土産に買ってきてくれたのを思い出す。
003_220604089 第35回昆虫切手展 G7X.jpg 3.第35回昆虫切手展 会場風景
JPS昆虫切手研究会は、1970年10月に発足し、2020年に50周年を迎える。JPS会員を中心に組織・運営されている昆虫切手愛好家の集まりである。もちろん、来られている方は会員以外の愛好家も多い。

  Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO640 ) 露出補正 なし
004_220604037 X800 第35回昆虫切手展 澤口さん作品 G7X.jpg 4.「日本の高標高・高緯度のチョウ」 澤口尚子さんの作品(部分)
日本の高山蝶など、高標高・高緯度に生息する蝶たちをテーマに、日本で発行された切手や、外国で発行された切手について、ご自分でお書きになっているカシエをまじえて2枚のパネルにまとめられている。そのカシエが生息地や生息環境、そして食草など正確で、かつ構図も良い。ご本人に解説していただくことが出来た。トップのクジャクチョウのカシエと小型印も澤口さんの作品だが、オカトラノオへ来て開翅して吸蜜するクジャクチョウの、そのあでやかな赤みががった緋色を白で抜いたところは流石と思った。展示されていた12のすべての作品を見させていただき会場をお暇したのは、正午を少し回っていた。これから湯島へ向かう。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO800 ) 露出補正 なし
005_220604136 X800 春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 5.「麟祥院」 春日局墓所
目白から山手線で西日暮里へ出てそこから地下鉄千代田線に乗り換えて湯島で下車、文部大臣、労働大臣、法務大臣等を歴任された故鳩山邦夫さんのコレクションで「蝶・魅惑の昆虫」という展示会の会場である文京区教育センタへ向かう。文京区教育センター はなかなかわかり難い場所だった。探しながら春日通りをだらだらと上がって行くと、右側にお寺の門が見え、春日局の像があった。ちょっと寄り道をしていく。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 15mm ISO125 ) 露出補正 なし
006_220604098 X800 春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 6.「麟祥院」山門
春日通りを右に入り、春日局の像の脇を進む見えてきたのは「麟祥院」の山門だった。「麟祥院」は臨済宗妙心寺派の寺院で山号は天澤山という。山門を入ると正面に本堂が見えた。開山は渭川周劉禅師、開基は「春日局」で、徳川三代将軍家光の乳母として知られている。春日局の命日は寛永20年(1943年))9月14日であるが、毎年10月14日に春日忌として春日局の法要を行っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 15mm ISO200 ) 露出補正 なし
007_220604132 X800 春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 7.「麟祥院」墓地
山門を入って左手奥に進んでいくと墓地になっていた。境内に「東洋大学発祥之地」の碑(1987年(昭和62年)建立)がある。写真の2本の松の間に見える石碑がそれだ。1887年(明治20年)に井上円了がこの寺の一棟を借りて東洋大学の前身である哲学館を創立した。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 14mm ISO320 ) 露出補正 なし
008_220604106 X800 春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 8.春日局の墓塔 -1
墓地に入り右へ曲がると、左側に佐倉藩・堀田正俊の正室で稲葉正則の娘の墓、館山藩稲葉家分家の墓、右側には淀藩稲葉家の墓、春日局の孫である稲葉正則の正室・万菊の墓があった。そして、その正面が春日局の墓だった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 13mm ISO1250 ) 露出補正 なし
009_220604107 X800 春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 9.春日局の墓塔 -2
春日局(1579-1643年)の墓はの無縫塔だった。死後の世界からも政治を見通せるようにとの春日局の遺言に基づき、穴が穿って(ほじくって)ある。 門の左側に葵の紋、右側に「三」の紋がるが、この「三」は「折敷(おしき)に三文字」と呼ばれる春日局の夫、稲葉氏の家紋だそうだ。折敷とは四角形のとがった部分を削った形のことをいうのだそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 13mm ISO1000 ) 露出補正 なし
010_220604127 X800 〇春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 10.アゲハチョウ -1
サツキの花が咲いていた。そこにアゲハチョウがやってきた。夢中で吸蜜している。寄れたので、まずコンデジ(Canon G7X) を広角端にして撮った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 9mm ISO125 ) 露出補正 なし
011_220604124 X800 〇春日局墓所 麟祥院 G7X.jpg 11.アゲハチョウ -2
別の個体が飛来して、サツキで吸蜜する。今度は望遠端の37mm(35mm版で100mm相当)にして撮る。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.5 1/1250秒 37mm ISO125 ) 露出補正 なし


000_IMG_X700 20220621_0003.jpg
「蝶・魅惑の昆虫」鳩山邦夫蝶類コレクション展示会ポスター
  展示企画:矢後勝也・遠藤秀紀(東京大学総合研究博物館)引用

012_220604198 X800 鳩山郁夫コレクション 文京区教育センター G7X.jpg 12.鳩山邦夫さんのコレクション「蝶・魅惑の昆虫」展示
「麟祥院」を後に、 もう一度スマホで文京区教育センタの場所を確認する。少し行き過ぎていたようだ。着いたのは午後1時を過ぎていた。 さっそく、展示会場へ行く。失礼ながら想像していた以上に素晴らしい標本が並んでいた。解説のパネルも素晴らしい。主催者のご挨拶には、「今回の展示では、蝶に魅了されて長く研究を続けていた元文部大臣・鳩山邦夫氏(1948-2016)により採集・飼育され、東京大学総合研究博物館に寄贈された多くの蝶類標本とその業績に触れながら、翅の多様性を創り出した進化の軌跡のほか、分類、生態、行動、遺伝などの様々な蝶類研究を紹介します。また、蝶が教えてくれる近年の生態系破壊や地球温暖化、外来種などの環境問題について、自然との共生も見据えながら解説します。美麗で魅惑的な存在感を放つ蝶にひき込まれながら、科学的な好奇心や探求心を抱いてもらえれば幸いです。」と述べられていた。幼いお子さんとご一緒に熱心に展示されている標本をご覧になっているお母さんがおられた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 14mm ISO2000 ) 露出補正 なし
013_220604204 X800 鳩山郁夫コレクション 文京区教育センター G7X.jpg 13.オオウラギンヒョウモンの標本
オオウラギンヒョウモンの雌の標本がずらりと並ぶ標本箱があった。鳩山邦夫さんは飼育もされるので、これはたぶんその標本と思う。私の手元に、私が中学生時代の1956年8月23日に長野県の海ノ口牧場で採集した本種の雄と雌、そして雄の裏面と3体の標本が残っている。その日、牧場の草原に本種が沢山翔んでいて、10数頭は採集したことを覚えている。今はごく限られたところにしか生息しない絶滅危惧Ⅰ類である。日本で最も減少したチョウのひとつと言われる。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 31mm ISO2000 ) 露出補正 なし
014_220604204 X800 鳩山郁夫コレクション 文京区教育センター G7X.jpg 14.湯島天神 唐門
それほど広い会場ではなかったが小一時間、夢中になって「蝶・魅惑の昆虫」鳩山邦夫蝶類コレクションの展示を見た。会場を出て、方角を定めて、春日通りに出た。地下鉄の油島駅に向かって歩くと右手に湯島天神の鳥居が見えた。ここもお参りしていこうと思う。湯島天神入り口の交差点を渡って、唐門から境内に入った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 9mm ISO125 ) 露出補正 なし
015_220604242 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 15.湯島天神唐門の門扉
唐門の門扉には、天神信仰で信徒とされる牛と、神紋の「加賀梅鉢紋」の浮彫彫刻がされていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO250 ) 露出補正 なし
016_220604238 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 16.梅園
唐門を入って右側に緑濃い庭園があった。池や橋が配置され、婦系図 湯島の白梅の原作者である泉鏡花の筆塚がある。境内の約300本の梅木のうち約8割は白梅だそうだ。 

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/1000秒 10mm ISO125 ) 露出補正 なし
017_220604226 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 17.湯島天神 本殿
wikipediaにでは・・・湯島天神の社伝によれば、雄略天皇2年1月(西暦換算で458年)、雄略天皇の勅命により天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)を祀る神社として創建されたと伝えられている。南北朝時代の正平10年(1355年)、住民の請願により菅原道真を勧請して合祀した。この時をもって正式な創建とする説もある。当の湯島天満宮では西暦458年創建としているそうだ。徳川家康が江戸城に入ってから徳川家の崇敬を受けた。江戸時代には多くの学者・文人が訪れ崇敬を集める一方、享保期には富籤の興行が盛ん(江戸の三富の1つ)になり庶民に親しまれた。明治5年近代社格制度において郷社に列し、明治18年に府社に昇格した。平成13年(2001年)、神社本庁の別表神社に指定された。平成12年(2000年)3月31日、「湯島神社」から「湯島天満宮」に改称されている。新社殿は、ご本殿と、参拝する人のための拝殿が幣殿で結ばれている「権現造り」の建築様式で、日本古来の「木の文化」を象徴する純木造である。写真の拝殿の後ろに本殿がある。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO250 ) 露出補正 なし
018_220604227 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 18.絵馬
古来より江戸・東京における代表的な天満宮であり、学問の神様として知られる菅原道真公を祀っているため受験シーズンには多数の受験生が合格祈願に訪れるが、普段からも学問成就や修学旅行の学生らで非常な賑わいを見せている。牛に乗った菅原道真が描かれた絵馬(牛乗り天神)は、受験生たちに大人気。受験シーズンには、約3万枚の絵馬が奉納されると言われるが。奉納された絵馬はどうされるのかがちょっと気になった。私がいたことがある福岡の太宰府天満宮の場合は前の年の絵馬はおたきあげされ新年から新しいものに変わるそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO125 ) 露出補正 なし
019_220604245 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 19.拝殿と狛犬
拝殿の囲いの前には、両側に梅の木があり、それぞれ梅が彫られた立派な台座の上で狛犬が守っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 15mm ISO125 ) 露出補正 なし
020_220604250 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 20.銅製表鳥居(都指定文化財)
拝殿を背に、境内をお茶の水方面へ行くと表鳥居がある。この鳥居は銅製で寛文7年(1667年)9月創建され、同11年修理した銘がある。下脚部にある唐獅子頭部の装飾は鳥居として特異なものだそうだ。数度の修理を重ねて維持されてきたが、都内に遺存する鋳造の鳥居としては時代も古く、製作も優秀なもので、昭和45年8月に東京都指定有形文化財に指定された。鳥居の様式は神明鳥居といわれるもので、横木が二重になり、反りをもって、柱が内側に傾いている。横木の上の方を笠木、下の方を島木といい、鳥居の大きさは、柱の下から上端についた台輪までの長さが3.88m、笠木上端の長さが6.81mだそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1250秒 9mm ISO125 ) 露出補正 なし
021_220604252 X800 湯島天満宮 G7X.jpg 21.夫婦坂
再び境内に入り、拝殿・本殿の脇にある末社の戸隠神社、笹塚稲荷にお参りして、夫婦坂の石段を切通坂と言われるは春日通りに下りた。帰路につく。そういえばまだ、昼食をとっていなかった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 14mm ISO125 ) 露出補正 なし


2021年9月 5日

日本国際切手展 PHILANIPPON 2021 見学 8月26日

私が会員になっている JPS昆虫切手研究会 の7月会報で、「日本国際切手展2021」がパシフィコ横浜で8月25日~8月30日に開催されることを知った。国際切手展は、世界一流の切手コレクションが一堂に会する貴重な機会で、郵趣の発展向上を図り、毎年、世界各国で開催されているが日本では、1971年から10年おきに開催され、今回6回目を迎えるとのことだ。

チョウ好きの私は、中学生の頃、兄がヨーロッパへ出張した時の土産に買ってきてくれたチェコのチョウ切手(原画シュヴァビンスキー)に魅了され、チョウを題材にした切手を集め始めた。 2010年の1月にこのブログに「キアゲハの切手」をアップした。集めた切手を眺めていて各国からキアゲハがデザインされた切手が多く発行されているのに興味を持ったからだ。発行した国の地域別とか発行年次別とか整理すればよかったのだが、集めて並べるのが精いっぱいである。その当時(2010年)で64種のキアゲハの切手が私のストックブックにあった。なぜ、こんなにキアゲハの切手が多いのだろうかと考えてみたが、まず、キアゲハは旧北区を中心にユーラシア大陸と北米大陸に広く分布すること、大型で鮮やかな色彩で見栄えが良いことなどではなかろうか。

  わき道にそれてしまったが、パシフィコ横浜は自宅から40分ほどで行ける。「日本国際切手展2021」には8月26日に行くことに決め、インターネットで事前登録を済ませた。 昨年と今年は中止になってしまったが、毎回2月に出かけている「CP+(カメラと写真映像のワールドプレミアショー)」のときは人で溢れている駅からパシフィコ横浜の展示ホールへのアプローチは、今回の「日本国際切手展2021」では全く密になっていない。10時開場の5分ほど前に着いたこともあるが、この暑さとコロナの感染者数が増えているので見に来る人も少ないのだろうと思う。
 B・Cホールを使用した広い会場も空いていた。まず「企画展示」のコーナーへ行った。展示作品の写真撮影は残念ながら禁止されていた。JPS昆虫切手研究会のメンバーからの展示を見る。
 出展されていた作品は、
・「水辺の昆虫」 柴田 茂 氏
・「ヤママユガ」 澤口 尚子 氏
・「クジャクチョウのマキシムカード」 正野 俊夫 氏
・「クジャクチョウ」 西田 豊穂 氏
・「ルーマニアの郵便封皮」 加藤 利之 氏
・「ニュージーランドの蝶蛾切手」 加藤 利之 氏
・「昆虫切手を用いた宇宙とロケット関連郵便物」 白野 孝雄 氏
・「俳句に詠まれた虫たち」 池内 昇 氏
・「Proofs」 森 晋一郎 氏
だった。それぞれテーマを持たれて深く掘り下げて研究された力作だった。森氏の作品の解説には英文が添えられていた。せっかく会場が空いていたのだから、もっと時間をかけて鑑賞してくるべきだったと思い返す。
 また、JPS植物切手研究会のメンバーでもある 澤口 尚子 氏 からは「バタフライ・ガーデンへようこそ」という作品が出展されていた。小型印とカードに描かれた絵が素晴らしい。

  1897年4月20日に郵便事業が創業されて今年は150年になるという。今回のメインテーマともいえる「郵便創業150年特別展示」は広いスペースが設けられていた。床に展開された コドモ絵本正月フロク の「郵便飛行雙六」など興味あるものもあった。もう一つ「皇室展示」というコーナーがあり、明治天皇銀婚式記念、発行されなかった東宮御婚儀記念の切手シート、昭和大礼記念絵葉書など、私が生まれる前の珍しい品々を見ることが出来た。他にも、各国から発行された東京オリンピック2020関連の切手も展示され、ギリシャ、スイス、エストニア、ベルギー、キプロスなどの優れたデザインの切手があった。
 会場には2時間余り滞在したが、帰りがけに出店していた切手商の椅子に久しぶりに座り、何点かのチョウ切手を買ってしまった。

なお、ブログの記述には、「日本国際切手展 PHILANIPPON 2021​」の Bulletin および ​​日本国際切手展2021​ ​のホームページを参照させていただいた。

1.みなとみらい駅からパシフィコ横浜展示ホールへのアプローチ
催し物があるときはいつも人で溢れている駅から会場への連絡通路も人はほとんどいない。通路には「日本国際切手展2021」の小旗が並べて掛けられていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4 1/1250秒 23mm ISO125 ) 露出補正 なし
001_210826008 X800 PHILA NIPPON 2021 みなとみらい G7X.jpg
2.パシフィコ横浜展示ホール
「日本国際切手展2021」の会場はホールB,C であったが、7月17日~9月12日までAホールで「恐竜科学博」が開催されている。開場は9時からだが、本来なら、子供連れの入場者が多いはずなのに姿はない。やはり、緊急事態宣言と暑さからなのだろう。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f5.6 1/1250秒 16mm ISO125 ) 露出補正 なし
002_210826011 X800 PHILA NIPPON 2021 パシフィコ横浜 G7X.jpg
3.「日本国際切手展2021」受付に列
エスカレータで一つ下りたところのホールCが「日本国際切手展2021」の受付になっていた。開場5分前だったが、40m~50mほどの列が出来ていた。係の人が前の人との間隔を1~2m開けて並ばせている。10時になると列は動き出し、事前登録のためか滞りなく入場できた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 15mm ISO3200 ) 露出補正 なし
003_210826012 X800 PHILA NIPPON 2021 パシフィコ横浜 G7X.jpg
4.「日本国際切手展2021」入場口
ここから会場内に入るが、手首で体温を測り、テープを巻かれて、手指の消毒をする。「郵政創業150年 すべてのお客様のために ー郵政百五十年の歩みー 日本郵政グループ」という288ページのA5サイズの冊子と、小さなポケットタイプの「日本国際切手展2021」の公式ガイドブックと手提げ用の紙袋をいただく。ただ、公式ガイドブックなるものはちょっとお粗末だった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO640 ) 露出補正 なし
004_210826070 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
5.展示会場
入り口を入ると左側に国内切手商ブースがあり、すぐそばにインフォメーションがあった。写真撮影の可否を尋ねたところ、出展作品は撮影禁止になっていた。まっすぐ進むと広々とした展示会場があった。ここは競争出品の伝統郵趣、郵便史などの展示コーナーである。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 31mm ISO3200 ) 露出補正 なし
005_210826014 X800 PHILA NIPPON 2021 パシフィコ横浜 G7X.jpg
6.企画展示コーナー
まず、JPS昆虫切手研究会の展示コーナーへ行く。植物切手研究会や音楽切手研究会などの作品も展示されている。パネルの文字が小さくわかり難かった。何とか探し出してJPS昆虫切手研究会の皆様の出展作品を見ていく。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO800 ) 露出補正 なし
006_210826029m X800 〇PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
7.ポストカー 「& Post(アンド・ポスト)」
ホットドッグか何か食べ物の移動販売車のような車が置かれていた。反対側へ回ってみると「ポストカー」と書かれたパネルがあった。よく理解できないのでネットで調べてみると、「日本郵便では、手紙交流の価値を見直し、新たな可能性を探る"プロジェクト& Post(アンド・ポスト)"を展開しており、ポストカー運行もその一環。ポストカーは、心に残る風景に出会った瞬間に、絵はがきを書く・差し出すための環境を提供することをコンセプトに実施する」と説明されているが、それでも良く分からない。例えば、日本三大花火大会の1つである「長岡花火大会」、日本一美しい盆踊りとされる「おわら風の盆」といったところへ移動郵便局としてこの車を配備して、各地の郵便局員が絵はがきコンシェルジュとなり、撮影した写真をその場で絵はがきにするサービスをはじめ、オリジナルデザイン絵はがきの配布と文房具の貸し出し、地域の特色ある絵はがきや切手の販売などを行う。そこに来た人が絵葉書を書いてポストカーのポストに投函するということらしい。 車両は郵便収集車として使われていた6代目「ハイラックス」をベースにカスタマイズされている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/800秒 13mm ISO3200 ) 露出補正 なし
007_210826037 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
8.郵便局臨時出張所
郵便操業150年とポイモンを扱った横浜中央郵便局の日替わり小型記念日付印が数種類用意されていて、その押印カウンターが並んでいた。まだ時間が早いこともあり、押印している来場者は少ない。外国からの来場者も意識しているのだろうが、外国人の姿は見られない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 16mm ISO2000 ) 露出補正 なし
008_210826038 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
9.皇室展示/コートオブオナー 展示室
お恥ずかしいが、直訳で名誉裁判所という Court of Honour の意味がよく分からなかった.。著名な蒐集家による出展作品のことなのだろうか。皇室展示としては、明治、大正、昭和の皇室に関わる切手や絵葉書が展示されていた。私の記憶にある皇室関連切手は昭和27年発行の上皇(平成天皇)の立太子礼記念切手だ。美智子妃と並ばれた上皇の昭和34年発行皇太子御成婚記念切手(30円)の試刷版が展示されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/800秒 13mm ISO3200 )
009_210826042 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
10.郵政創業150年特別展示
企画展示のコーナーを見たあと、今回の「日本国際切手展2021」のメインテーマである「郵政創業150年特別展示」を見学した。流石に「郵便現業絵巻」「郵便のルーツ」などの興味ある"宝物"が展示されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO250 )
010_210826039 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
11.「郵便のルーツ」ポストの変遷
ポストは郵便のシンボルだと思う。1回にたくさんの書状を集めて運べば、効率が良い。明治時代からある円柱型の赤いポストも、ひなびた温泉町へ行くと今でも見かけることがある。数年前だが、旅行先の銀山温泉や法師温泉で見かけた。

  Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO250 )
011_210826047 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
12.昭和39年のお年玉郵便切手
お年玉付き郵便はがきの末等景品としてのお年玉郵便切手の始まりは、昭和25年からだったというが、景品が目的だったので発行は2月1日で、年賀には使えなかったという。写真の昭和39年用年賀切手は、私が社会人となった年のもので思い出多い。切手図案の右は鳥取県の岩井挽物人形「辰」、左は山梨県の甲斐の「龍神招福」だった。

  Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 15mm ISO800 )
012_210826055 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
13.「郵便飛行雙六」(部分)
郵政創業150年特別展示会場の床に、大きな コドモ絵本正月フロク の「郵便飛行雙六」の絵が敷かれていた。郵便飛行機が突風に遭い、そこで一または二が出ると墜落修理へ、四または六は出発に戻る。三を出すと四の突風へ、五は無事突破して富士山へ・・・といったようなストーリーが展開されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO800 )
013_210826057 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
14.昭和の切手デザイン室
絵具と絵筆があり、机の上の並べられた本には「原色日本鳥類図鑑」や「昆虫の図鑑」などが並んでいる。この隣には現代の切手デザイン室があり、そのデスクの上はパソコンが主役だった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO800 )
014_210826060 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg
15.海外郵政ブース
カナダ郵政、チェコ郵政など7か国の郵政機関と国連郵政機関のブースがあった。切手や郵趣品の販売が行われていた。ここは比較的人気があり、人が集まってきていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO1250 )
015_210826068 X800 PHILA NIPPON 2021 G7X.jpg


2015年6月29日

蝶切手に思う 「第30回昆虫切手展」 6月13日


  私がまだ、大学生になったばかりの頃だったろうか、兄が何かの学会でスイスに出張した折り、蝶好きだった私に、1961年にチェコスロバキアから発行された美しい蝶切手の使用済みセットを買ってきてくれ、これが蝶切手に憧れるきっかけになった。その後その切手の未使用9種セットを手に入れた。これは今でも私が一番好きな蝶切手である。クモマツマキチョウ、キベリタテハ、クジャクチョウ、キアゲハ、ヤマキチョウは日本にも生息するし、この切手の画はヨーロッパアカタテハだが、近似種のアカタテハは日本で普通に見られる。

チェコスロバキアから発行された美しい蝶切手
X400 IMG_20150626_0002.jpg

第30回記念 昆虫切手展」の案内パンフレット
annai.jpg

西田豊穂さんが2006年3月発行のJPS昆虫切手部会報の昆虫郵趣ア・ラ・カルト 第9回「カルパチア山地の蝶を愛した画家シュヴァビンスキー」でこの切手のことを記されているが、その前年の2006年・日本郵趣教会主催・第6回オープン切手展に出品され、グランプリ・郵政公社総裁賞を受賞された「虫の美術史」でもジュヴァビンスキーの蝶切手が取り上げられている。

兄がスイス出張の土産に買ってきてくれた使用済みのジュヴァビンスキー蝶切手がトリガーとなって蝶の切手を集めうようになって、一時は日本郵趣協会の昆虫切手部会にも入れていただき、切手屋さんにも通ったことがある。ところが、発展途上国などから禄でもない蝶切手が外貨稼ぎを目的に乱発されるようになり、嫌気がさして集めるのを止めてしまった。

ところが今年の5月、そのころ、昆虫切手部会入会についていろいろと教えていただいた同部会の澤口尚子さんのブログを久しぶりに拝見していたところ、西田豊穂さんが、昆虫切手部会の会報に2004年から50回にわたり連載されてきた「昆虫郵趣ア・ラ・カルト」の総集編(後編)が、昆虫切手部会から2年前に出されているのを知った。同(前篇)は保有しているので(後編)が是非欲しい。もう在庫は残っていないかなとお思いつつ、澤口さんに、メールで入手したい旨お願いしてみた。幸い在庫があって手に入れることができた。そのコンテンツに2005年・日本郵趣協会主催・第6回オープン切手展に出品され、グランプリ・郵政公社総裁賞を受賞された「虫の美術史」も含まれていた。素晴らしい内容である。

「昆虫郵趣ア・ラ・カルト」の総集編(後編)は昆虫切手部会の石原さんという方が送って下さったが、その中に6月13日~14日に開催された「第30回記念・昆虫切手展」の案内が同封されていたので、13日に会場である目白の「切手の博物館」へ出かけてきた。今回はモルフォチョウがテーマになっていた。先にご紹介した澤口尚子さんは、ご自分でカードを作成されるが、描かれた画がとても素晴らしい。蝶の画はその特徴を見事にとらえられている。小型印もまた素晴らしい。「第17回」から公式カバーの作成を、「第18回」から小型印のデザインをされている。今回の「第30回記念 昆虫切手展」の記念小型印も、また、そのデザインの原画となった記念カードも澤口さんの作品だ。当日会場で澤口さんにお目にかかれなかったのが残念だった。「昆虫郵趣ア・ラ・カルト」の総集編(後編)を送ってくださった石原さんの「創作カバー・カードの楽しみ方」は、ご自分で書かれた画をもとにカバーやカード、そしてフレーム切手の作品が展示されていた。素晴らしい楽しみ方だと思う。私も自分が撮った蝶の写真をフレーム切手にしてみようかと思う。

「第30回記念 昆虫切手展」プログラム
;クリックすると大きな写真になります。



「第30回記念 昆虫切手展」会場風景
;クリックすると大きな写真になります。

話は変わるが、日本の準蝶切手に藤島武二の「蝶」がある。切手趣味週間の切手が毎年発行されるようになり、「見返り美人」や「月と鴈」、そしてその後は浮世絵の切手などが発行されていたが、1966年(昭和41年)に初めて洋画が採用され、それが藤島武二の「蝶」だった。そこに描かれている蝶は、種名が判別できないものもあるが、キアゲハ、クジャクチョウ、ルリタテハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハなどとてもリアルに描かれている。

絵画に登場する蝶がデザインされた切手がもう一つある。それは、2003年発行の奄美群島が米軍政府統治下から日本に復帰して五十周年を迎える記念切手だ。1958年に50歳で奄美大島に移り住み、69歳で生涯を終えるまで奄美の自然を画き続けた田中一村の日本画「奄美の杜~ビロウとブーゲンビレア~」の一部分がデザインされていて、ツマベニチョウの翅を開いた♂と、翅を閉じた♀が描かれている。

絵画に蝶が、しかもはっきりと種が分かるように描かれることはそう珍しくないようだ。私の家内の友人に日本画を書く人がいて、大きな作品を画いて東京都美術館で開催される日本画院展にも入選している。家内のお供で見に行ったとき、多くの入賞、入選作品の中に蝶をテーマにした絵が4~5点あった。また、私の中学時代の友人の絵が、「ハマ展」に入選したので見に行った時にも、蝶が描かれた作品は数点出展されていて、横浜市芸術文化振興財団賞の作品には雌雄のツマグロヒョウモンがリアルに描かれていた。蝶は絵の題材としても多く登場している。

1966年発行 切手趣味週間 藤島武二の「蝶」 2003年発行 奄美群島復帰五十周年記念 田中一村の「奄美の杜」
X400 藤島武二 切手趣味週間「蝶」 1966.jpg stamp2.jpg

先にも記したように、少々嫌気がさしていた蝶切手の蒐集だが、西田豊穂さんによる 「昆虫郵趣ア・ラ・カルト」の総集編を見たり、今回「第30回記念 昆虫切手展」に行ってみて、また、目を覚ましてしまった。切手屋さんを訪れて最近発行されたデザインの優れた蝶切手が探せ出せたら、ピック・アップしておきたいと思うようになった。



2010年1月22日

キアゲハの切手 2/3

 世界で初めての純蝶切手は1950年にジャワ島の、現在はマレーシアの州のひとつであるサラワクから発行されたアカエリトリバネアゲハの切手であった。当時はサラワク王国である。
 その後ヨーロッパの国から次々と蝶切手が発行された。1953年には、アフリカのポルトガル領モザンビークから20種のロングセットの蝶切手が発行された。モザンビークは1975年に独立し、この蝶切手の中から独立告知の加刷をした切手も発行された。世界最初のキアゲハの切手は、スイスから1954年に発行された。
100121_001.jpg

 
  1. スイス 1954年発行 有名な切手 スイスでは毎年クリスマスカードの時期に「プロ・ジュベンチュート」(子供たちのために)という寄付金付きの切手が発行されるが、1950年から8年間連続で毎年4種の昆虫切手が発行された。ちなみに1950年にはヨーロッパアカタテハとミヤマモンキチョウが発行された。前述したように1950年はサラワクから世界初めての純蝶切手が発行された年であり、その同じ年である。
  2. スウェーデン 1991年発行
  3. スロバキア 2002年発行 1993年1月1日にチェコと分離独立した。
  4. セントビンセント 1994年発行 カリブ海の小アンティル諸島に位置する火山島のセントビンセントと珊瑚礁のグレナディーン諸島から成る、イギリス連邦に加盟する英連邦王国の一国で立憲君主制国家
  5. ソマリア 2001年発行 、東アフリカのアフリカの角と呼ばれる地域を領域とする国家。1991年に勃発した内乱により国土は分断され、事実上無政府状態となっている。近年海賊行為が多発している。
  6. ソ連 1987年発行
  7. ソ連 1991年発行 ソ連の崩壊は1991年 この切手はその年の発行である。
  8. タンザニア 中央アフリカ東部に位置するが、ここにキアゲハが生息するかは疑問である。

    100121_002.jpg

  9. タンザニア
  10. チェコのはがき 2003年発行 チェコは1993年にチェコスロバキアから分離独立した。
  11. チェコスロバキア 1955年発行 1939年にナチス・ドイツにより解体されたチェコスロバキア共和国は1945年に復活した。 
  12. チェコスロバキア 1961年発行 これは私が一番好きな蝶切手である。この切手を初めてみたのは、兄がヨーロッパ出張のみやげに買ってきてくれた使用済みセットだったが、これが蝶切手に憧れるきっかけにもなった。その後未使用の9種セットを手に入れた。前述した西田豊穂さんが、2006年3月発行のJPS昆虫切手部会報の「昆虫郵趣ア・ラ・カルト 第9回 」で書かれているが、シュヴァビンスキーというチェコスロバキア国民から愛された版画の巨匠が原画を描いた。
  13. チェニジア 1994年発行 北アフリカのマグリブに位置する共和制国家
  14. チェニジア 2001年発行
  15. チャド 1998年発行 アフリカ中央部の国家
  16. ドイツ 1991年発行 1990年に東西ドイツは再統合された。

    100121_003.jpg

  17. トルクメニスタン 1991年にソ連から独立した中央アジア南西部の国
  18. トンガ 1987年発行 南太平洋に浮かぶ約170の島群からなる王国。ここにはキアゲハはいないはず。
  19. バーレーン 1994年発行 中東に浮かぶ奄美大島と同じくらいの大きさの島国
  20. ハンガリー 1959年発行 中央ヨーロッパ ハンガリー語でハンガリー人、ハンガリーのことをマジャールという。
  21. ブータン 1990年発行 インドと中国に挟まれた東南アジアの王国
  22. ブルガリア 1984年発行 東ヨーロッパにあり、1944年にはソ連に侵攻され、王政を廃止し、共和制となる。しかし、1989年には、共産党政権が崩壊し、2001年には元国王が首相になる。
  23. ブルキナファソ 1998年発行 仏領西アフリカにあったが、1960年にオートボルタ共和国として独立、1983年にクーデターがあり、1984年に現国名になる。
  24. ベラルーシ 1995年発行 1991年にソ連から独立した。

    100121_004.jpg

  25. ポーランド 1967年発行 中央ヨーロッパのチェコの北側に接する。チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニアなど中央ヨーロッパの国々からは、1960年代に蝶切手が発行された。
  26. ポーランド 1977年発行 
  27. ポーランド 1991年発行
  28. マーシャル諸島 2000年発行 太平洋上に浮かぶ島国である。1914年第一次世界大戦で日本が占領、1919年に国際連盟からの委任で日本の委任統治領となる。1944年にアメリカが占領。1956年独立した。1シート16種の蝶切手
  29. マルタ 1993年発行 イタリア半島に隣接した地中海に浮かぶ島国
  30. マルタ 2000年発行 1シート16種の蝶切手 
  31. ミクロネシア 2000年発行 太平洋上のミクロネシア地域に位置する。1920年、国際連盟は日本にミクロネシアの統治を委任し、日本の「委任統治領南洋諸島」として南洋庁の下に置かれたことがある。 「Butterflies of the World」という蝶切手小型シートで、ここにはキアゲハはいないと思う。
  32. メキシコ 1983年発行 見栄えのするキアゲハの切手である。