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2013年3月10日

隠居のパソコン備忘録:Windows 7 パソコンから、Windows XP パソコンをリモートに動かす


 新しいPC にして、OS が Windows XP から Windows 7 に変わった。いろいろと改良されているのだが、古い周辺機器には Windows 7 用のドライバーがない場合がある。
 私も本などのページの文書を引用するときなど、Epson GT8700 というスキャナーを使ってきたが、Windows 7 にはこのスキャナーのドライバーが提供されていない。

 新しい Windows 7 のパソコンは、DELL に頼んだのだが、発注してから配達されるまでの期間が長かったことについては、2月13日のブログで記録した。この間に、「XPユーザーのための Windows 7 乗り換えガイド」という本を Amazon で買って、パソコンが到着したらスムーズに動くようにと少々学習した。
 この参考書には、Windows XP マシーンを Windows 7 マシーンからリモートで動かす方法が書かれている。これを使えば、古いスキャナーも使えるようだ。
 参考書通り実行してみたがうまくいかず少々てこづったが、いろいろといじっているうちにほぼ諦めかけていた古いスキャナーも無事動くようになったので、備忘録を残しておきたい。
<cfbr /> 構築したいのは、先の参考書に載っていた下の図のようなものである。なお、この図は WinXP 上で動く GT8700 でスキャンしたものである。
図?1:一台のモニターで XP マシンを管理
win7 001.jpg
  1. 準備:
    • モニターへの接続ケーブル
      新しいパソコンは、本体だけ買った(マウスとキーボードは付属している)ので、モニターは今まで使っていた iiyama の液晶モニター1台である。XP マシンとつなぐケーブルが必要である。幸い、Win 7マシンに変えた時に、MIDI ー DVI ケーブルを買ったので、DVI ー DVI ケーブルが残っていた。
       ただ、モニターへのケーブルを差し替えるのが手間である。軽量の液晶モニターにしておいてよかった。
    • XP マシーン用のマウスとキーボードはつないでおく。最終構築が終わるまでは必要である。
    • ルータとの接続は保持しておく。私の場合、Win7マシンは無線接続で、XPマシンはイーサネット・ケーブル接続だが、問題はない。
  2. Window XP マシーンでのセットアップなど。
    • この設定をするためには、XPは home edtion ではだめで XP professional 版ででなければならない。幸い、professional をインストールしていた。
    • パソコン名とログイン・ユーザー名が必要である。ログインをパスワードなしで設定していた場合は、「アカウントの制限によってログインできません」というエラーになる。改めて、XP 上でのコントロールパネル⇒ユーザーアカウントで、ログイン・パスワードを設定しておく必要がある。これらは、必ずメモをしておいたほうがよい。
    • XP マシンで、「コントロールパネル」⇒「システム」⇒「リモート」タブ「リモートデスクトップ」で、「このコンピュータにユーザーがリモートで接続することを許可する」にチェックを入れておく。
    • XPマシンの電源は入れたまま、ログイン画面をたちあげておく。
  3. Window 7 マシンでの設定
    • 「スタート」⇒「すべてのプログラム」⇒「アクセサリー」⇒「リモートデスクトップ接続」を選択。
    • 下のスクリーンショットのようなダイアログが表示されるので、メモしていたコンピュター名を入力して接続ボタンをクリックする。

      RemoteXP-1.JPG
    • 接続がうまくいくと、パスワードを求められるので、先に設定しメモしていたパスワードを入力する。すると、下のスクリーンショットのように、Windows 7 の画面上に Windows XP の画面が表示される。

      RemoteXP-43.JPG
  4. この Windows 7 の画面にある Windows XP の画面で、今まで XP でしていた作業が行える。例えば、GT8700 で参考書のページをスキャンし、画像を XP マシンのフォルダーに保存しておく。
    Windows 7 画面のエクスプローラの「ネットワーク」に表示される XP マシン名をクリックすると展開されるフォルダーの下に先ほど保存した画像ファイルがある。これをコピーして(または切り取って)、Win 7 のフォルダーに貼り付ければ、Win 7 で動くソフトで処理することができる。
    図?1は、このようにして処理した画像ファイルでである。


 なお、スキャナー GT8700 とセットで、よく使っていた OCR ソフト「読んdeココ!!」は、作っていた Aiソフトという会社が EPSON に合併されたせいか、Windows 7 で動くという Ver.13 が販売中止となってしまった。Windows XP なら、古いバージョンで機能するので重宝している。
 今回、このような設定を構築したので、古いスキャナーともども、まだまだ使えそうである。今後、XP でないと動かないデバイスやソフトも出てきそうであるが、そんなに慌てなくて済むだろう。ただし、机上に大きなデスクトップ本体が2台乗っているので、家内にはなかなか片付かないと不評であるが。

参考書
XPユーザーのためのWindows 7乗り換えガイド
橋本 和則
翔泳社
売り上げランキング: 59,958
 

2012年2月15日

隠居のスマートフォン備忘録:(21)Xperia acro をスキャナーとして使い OCR する。


 前回のスマホ備忘録として、【Xperia acro をEvernote を利用するデジタル・メモ帳として使う】を記事にした。その後、Masajii さんから、B5ルーズリーフのメモが、きれいにスキャンされて、EVERNOTE や DROPBOX にもすぐ保存できる非常に便利な CamScanner というアプリを使っているとのことを教えてもらった。どのようなものか、試しにインストールしてみた。

 このアプリの本来の使い方と異なるかもしれないが、スマートフォンでスキャンして、OCR ソフトと組み合わせて使用したら、印刷物の記事がテキスト化できることが分かったので、備忘録として記録しておきたいと思う。

 従来、読んだ本や新聞の一部をブログに引用するときには、2000年8月に発売されたA4型スキャナー(EPSON GT-8700)を使って印刷物をスキャンし、OCR ソフト【読んで!!ココ】でテキスト化していた。これで十分役に立っているであるが、そのような作業をやるたびに大きなスキャナーをセットしなければならない。スマートフォンで、スキャンできるなら手軽でいい。週刊誌の記事のデジタル(テキスト)化を例に、その方法を書き留めておきたい。

  1. アンドロイド・マーケットから、無料の【CamScanner スキャンPDF作成】 をダウンロードしてインストールした。
  2. CamScanner を立ち上げて、右下メニューボタン⇒設定をする。私の場合、?自動トリミング??画像鮮明化モード??水平撮影?にチェックを入れた。
  3. 戻るボタンで、初期の画面に戻る。スキャンする週刊誌の記事をできるだけ平らにして広げる。カメラ・アイコンをタップして印刷物の上に持ってくると対象とする部分がぼんやりながら映るので、画面にスキャンする部分が入るように、できるだけ水平にカメラレンズを上下する。対象が取り込めそうであれば、風車のようなシャッターアイコンCamScanner_8.jpgをタップすればいい。うまく撮れなければ、【撮り直す】ボタンがある。OCR したい部分が写っているようであれば、【確認】ボタンをタップする。
  4. タップするとスクリーンショット1 のような画像処理画面がでるので、4隅の○印をドラッグして、OCR する部分に範囲を決めてトリミングして、右下の?をタップする。横になっていても構わない。OCR ソフトで回転ができる。
  5. ?をタップすると保存中と表示が出て、スクリーンショット2 のように新規ドキュメントとして保存される。ここで送信ボタンCamScanner_9.jpgをタップして、出てくる送信画面から【Evernote -ノートを作成する】をタップすると、PDF 文書として送信される。これでは、Evernote の画像を使って、OCR ソフトを使うことができない。(PDF形式のままでも、OCR ソフトで、テキスト化はできるようだ。PDF ・データをテキスト化する、あるいはWord 文章にする方法については、別のエントリーで記載してみたい。)
  6. 画像として、Evernote に送るには、新規ドキュメントをタップして、スクリーンショット3 のような画面にしてから、送信ボタンCamScanner_9.jpgをタップするとスクリーンショット4 の画面になるので、【Evernote -ノートを作成する】をタップする。
  7. タップするとスクリーンショット5 の画面が出てくるので、適切なタトルを入力して【完了】をタップすると Evernote に画像として送信される。
  8. PC本体で、Evernote に接続し同期すると、送信された先ほどの jpeg 画像が一つのノートとして確認できる。ノートを表示するとノートの内容が画像の場合、画像を右クリックするとスクリーンショット6 のように画像全体が反転する。右クリックするとでるポップアップ画面から、?名前をつけて保存?を選択し、適当なフォルダーにjpeg 画像として保存する。
  9. 【読んで!!ココ】(私の場合、AI ソフトがEPSON に買収される前のVersion 8、最近は Version 13 となっている。新しく買うと結構な値段がする)を立ち上げて、先ほどのjpeg 画像を開き90°回転して、領域を指定し認識を行うとスクリーンショット7 のように デジタル(テキスト)化される。ただし、週刊誌は紙質や印刷がよくないために、認識度は少し落ちるようだ。
  10. 私は、このデジタル・テキストを【読んで!!ココ】でクリップボードに保存し、スクリーンショット8 のように、テキストエディタの【秀丸】で文書化している。(もちろん、Word にも貼り付けることができる)以前にも持ち歩けるようなスキャナーがあったが、あまり使い物にならなかった。このスマホの CamScanner を使えば、色々な場面で使えそうだ。


 なお、スマホ備忘録の、【Xperia acro をEvernote を利用するデジタル・メモ帳として使う】の記事で、キングジムの SHOT NOTE 、コクヨの CamiApp を紹介したが、これらのアプリは、CamScanner を使えば完全に代替できると思われる。

スクリーンショット 1 スクリーンショット 2 スクリーンショット 3 スクリーンショット 4
画像処理画面;クリックすると大きな写真になります ドキュメント表示画面;クリックすると大きな写真になります トリミング後の画像表示画面;クリックすると大きな写真になります 送信先選択画面;クリックすると大きな写真になります
スクリーンショット 5 スクリーンショット 6 スクリーンショット 7 スクリーンショット 8
CamScanner_6.jpg Evernote(PC) のノート;クリックすると大きな写真になります 読んで!!ココ 画面;クリックすると大きな写真になります テキストエディタ画面;クリックすると大きな写真になります


   

2012年2月 8日

隠居のスマートフォン備忘録:(20) Xperia acro をEvernote を利用するデジタル・メモ帳として使う


 Masajii's Blog のオーナーが、最近スマホを使い出した。70を過ぎた我々の仲間では、珍しい方だ。彼はもともと新聞記者だから好奇心が旺盛である。それに、読書家・勉強家でもある。まだ、中国語の勉強をしている。そのようなこともあって、なんでもメモに残しているようだ。
 どこで仕入れたか、Evernoteなる ツールの知識を得て、これに獲得した情報を整理することを試みているようだ。この Evernote というツールで何ができるかの説明ページを読んでみてすぐに頭に浮かんだのは、梅棹忠夫の【知的生産の技術】である。Evernote は、この技術を現代のITで具現化したものと思えた。この新書が発刊(1969年)されてから40年以上たっているが、知的生産の技術はIT を利用することで驚異的な進化を遂げているのである。

 彼は、中国語を勉強した時などに残したメモ(学習帳?)をスマホのカメラ機能でスキャンし、Evernote にアップロードしたいが、写真がうまく取れない、何かいい方法はないかと聞いてきた。私はメモを書くことなどはあまりないが、探鳥ウォークするときには、A7 ぐらいの小型のメモ帳に場所別に観察した野鳥と羽数などを記録に残している。これをもとに、「探鳥日誌」をブログにアップしている。Evernote を使えば、元の記録を散逸せずに、梅田望夫が?ウェブ進化論?でいう【あちら側】に預かってもらえそうだ。

 そこで、ネットでググッてみると、どうやらスマホのカメラでメモの写真を撮る(スキャンする)ときに特化したノートが売り出されていることが分かった。KING JIM の SHOT NOTE がはじめに開発されたようであるが、コクヨも CamiApp という製品を追随して出している。 SHOT NOTE は最初 iPhpne 向けであったが、すぐ Android にも対応するようになった。これらのノートはノート自身には、4隅にマークがついている(SHOT NOTE)か、黒い枠で囲まれる(CamiApp)ようになっているか、だけで普通の紙である。そういう仕掛けがなければ、100円ショップでも売っていそうなメモ帳である。どちらも、値段は3倍位ほどする。スマホでスキャンしやすくするための工夫は、それらのノートに合わせたアプリが開発されていることにある。どちらも、ノート名と同じ名前のスマホ向けアプリを無償で提供している。
 このアプリを比較してみた。
KING JIM :SHOT NOTEコクヨ:CamiApp
Xperia acro で撮った写真。
四隅のマークをスマホ画面に表示される枠内に納めてタップする。比較的簡単。
360x480px(A8メモ用紙)
SHOT NOTE のメモ用紙
比較に使った用紙
 貼ってはがせるタイプ A8:70枚¥350
価格はAmazon の送料込み価格。
iPhone 対応となっていても Android で使える。
ShotNote_1;クリックすると大きな写真になります Xperia acro で撮った写真。
メモの台紙となる黒い枠をスマホ画面に納めてタップする。なれないとかなり難しい。
1114x1600px
CamiApp のメモ用紙
比較に使った用紙
 ツイリングメモ A7:50枚¥457
貼ってはがせるタイプはない。(アプリの方式で作りにくい?)大きさは、実質A8である。
価格はAmazon の送料込み価格。店頭で買えば、もっと安いようだ。
CamiApp_1;クリックすると大きな写真になります
Xperia acro での編集画面
元の写真は、バックに薄く表示されている。
Evernote と同期しておけば、タイトル・タグは、Evernote に登録しているノートブック・タグが選択できるようになっている。
メモの作成日付と番号は、OCR で読み取ることになっているが、完全ではない。作成日付の入力は、簡単に入力できるようになっている。
Evernote への登録は、メニュー・ボタンから?エクスポート?をタップする。
SHOTNOTE_2;クリックすると大きな写真になりますXperia acro での編集画面
元の写真と編集項目は上下に表示される。
タイトルは、その都度入力する必要がある。タグは、Evernote に登録しているタグが選択できるようになっている。ただし、設定画面で事前にEvernote からダウンロードしておく必要がある。
メモの作成日付の入力は、簡単に入力できるようになっている。
Evernote への登録は、メニュー・ボタンから?共有?をタップする。ただし、私の設定が悪いのか、IE での Evernote には、CamiApp というノートブックを作って、そこに同期するようである。
CamiApp_2;クリックすると大きな写真になります
PC本体 InternetExplorer の Evernote での?ノート?表示画面。上のスマホで撮った写真を表示している。
スマホで編集した作成日付、番号、撮影日付は、メモ写真の下に表示される。
メモ写真の大きさは、360x480px である。(A8 のメモ用紙の場合)
SHOTNOTE_3;クリックすると大きな写真になります PC本体 InternetExplorer の Evernote での?ノート?表示画面。上のスマホで撮った写真を表示している。
スマホで編集した作成日付、撮影日付、コメントは、メモ写真の上に表示される。
メモ写真の大きさは、1114x1600px であり、SHOTNOTE に比べて約3倍の大きさである。
アクションマーカーという機能があり、メモ用紙についている7つのマーカーを塗り分けることでタグを設定してくれる。
CamiApp_3;クリックすると大きな写真になります


 好みにもよるのかもしれないが、私は、KING JIM の SHOTNOTE の方が使いやすいと思った。
これを上手く利用すれば、色々な手書きメモを散逸せずにすむ。宅急便でモノを送るときの宛先住所メモを Evernote にあげておくとか、買い物メモなどを収録しておけば、スマホだけを携行するだけで良い。
 なお、Evernote については、スタートガイドをみるとよくわかる。まだ、使い始めたばかりなので、おいおい学習していきたいと思う。

2008年1月23日

隠居、ネット時代の「知的生産の技術」を考える?読書

 ネット時代の「知的生産の技術」を考える?では、ネット時代における発見の記録について考えてみた。今回は、ネット時代の読書について考えてみたい。

 読書は、このネット時代になっても、デジタル書籍みたいなものがあるものの、依然として重要な知識獲得手段である。梅棹さんは「知的生産の技術」の6章読書の中で、本の内容の正確な理解には、はじめから終わりまで読むことが必要であると説いており、そのようにして読書した本は、「よんだ」といい、一部分だけよんだ場合には、「みた」ということにしておられるらしい。「よんだ」本の記録には、京大型カードを使って、読書カードをつくっておられる。

 梅棹さんはまた、「読書においてだいじなのは、著書の思想を正確に理解するとともに、それによって自分の思想を開発し、育成することなのだ」、と説かれ、そこで誘発されたことがらは、発見の記録として、京大型カードに残されるのである。誘発されることがらのレベルは雲泥の差ではあるが、私は「よんだ」本から得られた情報はブログにエントリーするようにしている。
 Amazon のアフリエートを利用してエントリーにリンクしておけば、出版社や価格などの情報まで付加された読書カードとなる。ブログはもともと日付順(投稿の何時何分までも)になっていたり、カテゴリーといった分類があったり、タグとよばれるキーワードを付ける機能があるから、記録しては理想的である。

 隠居生活に入ってから、「みた」本は多いが「よんだ」本は少なくなってしまった。少ないが、「よんだ」本の、例えば、マイク・モラスキーというミネソタ大学の教授が書いた「戦後日本のジャズ文化」という本を「よんだ」記録は、2006年12月2日のエントリーにあるとおりである。

 このような「知的生産の技術」のまねごとができるようになったのは、ブログでいろいろなことを記録しはじめてからである。私にとっては、ブログこそがそのような世界を開いてくれたのである。

 消費的読書(読書を楽しむだけ)は、たいてい本屋の店先にならんでいるのを見て衝動的に求める場合が多いが、生産的読書(知的生産のための読書)のための書籍は、このネット時代には Amazon のようなネットショップで検索するのが普通になってきた。Amazon へ検索にいく前に、Google などで得たい情報をサーチすることは、大抵の方がしていると思う。インターネットという巨大な百科事典は、ほんの数年前まではなかったのである。

 ただ、購入したいが、もう絶版になっている本もある。たとえば、「知的生産の技術」に出てくる「神々の復活」という本は絶版になっている。図書館の放出本がでたこともあったようだが、今は「復刊ドットコム」というサイトで復刊希望者の投票が集められている。(注:英語版なら、英国でペーパーバックで売られている。"The Forerunner. a Romance of Leonardo Da Vinci : Dmitri Merejkowski ;")
 Google では 「ブック図書館プロジェクト」を立ち上げている。これが実用に供されれば、図書館まで探しに行かなくても、抜粋ぐらい手に入る世界はそんなに遠くないかもしれない。

 このように、なんでもデジタル化してしまえば、保管も整理も検索も楽なのであるが、問題はうっかりすると蓄積した情報が全てなくなってしまうことである。このことについては、坂村健教授が、1月20日付の毎日新聞朝刊2面の「時代の嵐」というコラムに以下のように書いておられる。(梅棹さんは、自分で書くものには、できるだけ引用が少ない方が良いと説かれているのであるが。この記事は、前回に書いたように、スキャナーとOCRソフトで新聞記事をテキスト・デジタル化したものである。)
 デジタル化した記録は、しっかりとバックアップをとっておくことが、このネット時代には重要である。記憶デバイス・メディアの価格は恐ろしく安くなっている。クラッシック音楽LP100枚分をデジタル化し、MP3という音楽ファイルにして、iPod Classic 80GB(そのうちの20GBに) にいれて持ち歩いている友人がいる。2重3重にデータを持っていたって、たいしたことはないのである。

 
時代の風 デジタルデータよ永遠に 千の風になって
                                                     坂村健 東京大学教授

 家の古い8?ビデオカメラに、テープが入ったままずっと取り出せなくなっていた。
最近、メーカーに持っていきなんとか取り出してもらったが、故障については直そうにももう部品がないという。

 昔だったら子供の成長の記録を残すため、たいていの人はフィルムのカメラで写冥を撮っていた。 ところがふと気がつくと時代はデジタルカメラ。
 撮った瞬間に液晶画面で確認できるし、最新のものはそのままデータを無線LANでインターネットに送り、投稿サイトに公開できる機能まで持っているらしい。
 しかし、ふと気がつくと私の8?ビデオのように、以前子供を一生懸命撮った方式のカメラは世の中から姿を消している。

 そして規格が廃れると、再生機も売られなくなり、故障しても修理できなくなりという具合で、せっかく撮ったものが見られなくなってしまう。
 そこで重要なのは、記録のデジタル化だ。音声でも写真でも動画でもまずデジタル化することをお勧めする。デジタル化してしまえば、デジタルデータが保存できる媒体になら何にでも記録できる。デジタルデータが送れるネットワークなら何を通しても送れる。
 さらにデジタルデータはいくらコピーしても劣化しない。またその方式はコンピューターのプログラムで決まる。だからパソコンで再生できない規格のデータがあっても、ネットからそれを処理できるプログラムを取ってくればすぐ再生できたりする。

 これほど便利なデジタル化だが、データが壊れたときの「取り返しようのなさ」は最悪だ。アナログビデオならノイズがあっても画面が汚くなるだけで、何が映っているかぐらいはわかる。それに対して、デジタルの場合、ワンセグのテレビを見ていればわかるように、電波の受信状況があるレベルを下回ると急に画面が止まってしまう。

 デジタル記録といえども結局はDVDやハードディスクのように物理的な物質の上に記録されている。当然劣化するし、小さな媒体にたくさんの情報を入れている素材ほど、情報はほんの小さな違い―ミクロン単位の穴があるかないかとか、磁気の向きがどっちかどかぎで書き込まれているから、それはちょっとしたことで失われる。

 CDをはじめとするデジタルメディアは歴史も浅く、本当のところどれくらいの寿命があるかもわからない。CDよりDVDの方が弱いし、メディアの品質が悪ければあっという間に読めなくなるとも言われている。パソコンのハードディスクも永遠ではない。データを入れたままにしておくとある日突然恐ろしい音とともに壊れて、データがまったく取り出せなくなる。

 これをなんとかならないかと思う人は多いだろう。そこで、注目すべきは、デジタルデータがコピーしても品質が落ちないということだ。CDにしろDVDにしろハードディスクにしろ、定期的に新しいものにコピーしていけばいい。技術進歩により記憶容量の単価はどんどん安くなっている。常により広い家に引っ越せるようなもので、荷物を捨てる必要は無い。

 しかし、この方法の問題は定期的に手間と出費がかかること。ついついコピーを先延ばしにしていると、いつのまにかデータが失われてしまっていたりする。

 そこで、インターネットの時代、自分が記録したものをすべてインターネットのサイトにアップしてしまえばいいというアイデアが出てくる。そのサイトが存続してくれる限り、コピーを繰り返してデータを守るための手間は相手がやってくれる。しかもインターネットがあればどこからでも見られる。

 サイトと契約しなくても、最近流行の写真や動画投稿サイトを利用する手もある。他人に見られる可能性はあるが、本人が思っているほど他人のプライベートビデオは面白いものではない。問題になったファイル交換ソフトのウィニーなども「違法ファイルが消せないのが問題」というなら、いっそのこと保存したいファイルをウィニーに放流し、必要になったら呼び寄せるという利用法もある。他人に読まれたくないなら暗号化すればいい。
 逆に、自分を覚えていてほしいと強く願う孤独な人が死の直前に自作の詩集(やらなにやら)をウィニーに放流する、というせつない話もそのうち出てくるだろう。

 極端な話、インターネット開闢(かいびゃく)以来のサイトのデータをすべてコピーして蓄積していると噂されているNSA(米国国家安全保障局)に人類の文化の記録係の役割を担ってもらおうか。

 ワープロなどが広まり「オフィスのペーパレス化」などと言われた頃、紙の記録が電子化されてしまうので、下手すると電子時代の文明は後世から見たら何も文献が残っていないかもしれないと論じられた。私もつい最近まで、それが正しいと思っていた。しかし、デジタル時代の常識はどんどん変わる。巨大なネットワークの中に、人類のデータが増殖しながらさ千の風になって永遠に流れ続ける。はっきりいって残ってほしくないデータまで......そういう時代の入り口にわたしたちは来ているのである。
 

2008年1月16日

隠居、ネット時代の「知的生産の技術」を考える?:発見の記録

 このエントリーは、私の同年代ではパソコン恐怖症で、いまだに昔の情報整理にこだわっておられる方も多いので、死ぬ前に、革命が起こっているネット時代を覗いてみたらという気持ちで書いている。パソコンを使いこなしておられる方には、別に新しい話でもないので、どうぞ退室していただきたいと思う。

 このエントリーは、ネット時代の「知的生産の技術」を考える?」の続きである。なんとなく、しょうもないことを始めたといささか後悔をし始めているが、自分自身の記録と思って、オブリゲーションなしに続けることにする。

 梅棹忠夫の「知的生産の技術」の前半では、
  1. 発見の手帳
  2. ノートからカードへ
  3. カードとその使い方
  4. きりぬきと規格化
  5. 整理と事務
と手帳、ノート、カード、ファイルなど、知的生産における装置(ツールという表現をした方がいいのかもしれないが)を取り上げている。

  新しい情報の生産を知的生産というのなら、そのための素材がなければならない。その素材は、「あらゆる現象に対する、あくことなき好奇心、知識欲、包容力」で発見したことがらである。それらを素早く記録するためのツールとして、京大型カードにたどりついたとある。手帳→ノート→カードの進展型で京大型カードとなった。

 私も長続きはしなかったが、京大型カードを使った記憶がある。私が勤めていた会社の研究所でも、これに似たカードが採用されていた。それは、化合物のデーター・ベースみたいなもので、カード1枚1枚に亀の甲が特殊なタイプライター・ヘッドを使って、プロのタイピストが打ったものである。偉大なる労力を使っていたのだ。今でも、この分野は特殊なソフトが使われているようだが、3Dのグラフィックで立体的に表示されるようになっているようだ。

 それは兎も角として、「知的生産の技術」では、この部分に、かなりのページ数を割かれて記述されている。

 何かを発見をしたときにその場で文書を書くには、今ならケイタイで文書をつくり自分のPCにメールで飛ばすことができそうだ。1993年発刊の野口悠紀雄の『「超」整理法』は、「知的生産の技術」が発刊されてから24年目の、いわば「知的生産の技術」の焼き直し版である。その中に「持ち歩き端末」(p.191) が便利であるとある。それから、14年しか経ていないが、この世界はどんどん進化しているのである。そう言えば、WorkPad が流行ったこともありましたね。引き出しの奥になぜか、2台が眠っている。

 最近のケイタイには、解像度の高いデジカメまで付いている。それに不満なら、ちいさなコンデジ( Compact Digital Camera)をポケットに忍ばせておけばよい。とにかく、素早くデジタル化しておくのがいいのではないだろうか。受信したメールを Notepad か何かに copy & paste して、野口悠紀雄の『「超」整理法』にあるように、時系列にデジタル・ファイル化しておけば、後の活用に生きてくる。デジタルの世界になって、あきらかに整理の方法が変革したのだ。

 京大型カードで工夫された点は、あとで整理をしやすくすることである。これも、梅棹さんがいう「発見」をデジタル化しておけば、カード時代に苦労されたこと(複写であるとか、グループ化など)が簡単にできる。

 「知的生産の技術」P63 では、カードも多くなれば持ち運びが大変ということを書いておられる。P56 にあるカードの絵をもとに1枚あたりの情報量を計算すると、カード一杯に書いても文字数は300文字くらいだから、漢字1文字は、2バイトの情報量なので 600文字×2バイト=1200バイト(約1.2KB)である。
 今、¥3000たらずで売っている1GBのUSBメモリーにカード 90万枚ちかく(1GB=1024MBx1024KB=1,048,576KB ÷1.2KB=873,813 )の情報量が入ることになる。しかも、まだムーアの法則は健在だから、情報を蓄積する技術は、創り出される情報量を十分吸収できるのだ。

 第4章では、切り抜きと写真の整理について書かれている。切り抜きは、インターネットでほとんどの情報が得られる今でも、情報を集める有効な方法であろう。ただ、今ではスキャナーという便利な機械を使えば、わざわざスクラップ・ブックを作らなくても、デジタル・ファイル化することができる。おまけに、スキャンした情報が新聞のようなものであれば、OCRソフトがあるから、イメージデータを文字データに変換することもできる。私も、仕事をしていた7?8年前くらいから新聞・雑誌などでとっておきたい情報は切り抜かずスキャナーして、「読んでココ!」というOCRソフトで 、テキスト・デジタル化していた。最近では、OCRソフトの識字率も非常に向上し、自動化も進んでいるようだ。
  例えば、2003年7月9日の日経新聞の記事は、テキスト・デジタル化したものをHTMLで表現したものである。スクラップ・ブックに貼っていたら、とっくに捨てていただろう。デジタル・ファイルだから、パソコンの片隅に残っている。

 「知的生産の技術」の P75 あたりには写真整理の話が出てくる。もちろん、銀塩写真である。今、写真を銀塩フィルムで撮る人はよほどのマニアか、よほど時代に遅れている人しかいないだろう。今や写真はデジタル・ファイルであるから蓄積は他のデータファイルと変わらない。Google が提供する Picasa2 のようなソフトを利用すれば、写真の整理が簡単にできるし、修正できたり、CDに焼いたりできる。

 第5章では、蓄積した資料の整理の方法を述べておられる。ちょっと余談であるが、その中に、「整理」と「整頓」とは違うという以下のようなくだりがある。
整理というのは、ちらばっているものを目ざわりにならないように、きれいにかたづけることではない。それはむしろ整頓というべきであろう。ものごとがよく整理されているというのは、みた目にはともかく、必要なものが必要なときにすぐとりだせるようになっていること、ということだとおもう。

 詳しく書くと家庭内争議になるので書かないが、家内といつももめるのはこのことである。

 この章には、それこそ物理的なファイリング・システムについても説明されているが、今の時代では自分で集めた資料は 100% 近く、パソコン (Personal Conputer) のディスクに保存される。Windows の検索機能を使えば、すぐさま、ありどころを教えてくれる。それでも、梅棹さんが説くように、それぞれの情報の「あり場所」は決めておいた方がよいようだ。これだけ Hard Disk が安くなれば、文書用ディスク、スクラップ用ディスク、写真用ディスクと分けておいた方がいいかもしれない。USBで接続できる外付けのポータブル・ディスクであれば、場所もとらないし、持ち運びだって簡単である。

 次回には、第6章以降の「読書」とか「手紙」などに関する知的生産の技術について、ネット時代の今ならどうなのかを考えてみたい。

  
「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)
野口 悠紀雄
中央公論社 (1993/11)
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おすすめ度の平均: 4.5
5 押出しファイリング
5 整理法までをも整理してしまった本
3 整理のポイントは使用頻度

2007年1月 7日

Googleの進化:Web Mail GMAIL、マウスオーバー辞書

Google Maps APIなどを使わせてもらっているGoogleがどんどん進化している。紹介なしでは参加できないとあきらめていた Web Mail サービスのGMAILが、2006年8月23日から、紹介なしでアカウントが作れるようになっていたらしい。使用できるメールボックスの容量もどんどん増えるらしく、1月6日現在フリーで 2800MB まで使えるようになっている。私がこのブログなどに契約している有料のレンタルサーバーの容量が 500MB であるから、それと比べてもなんとも豪勢なサービスである。現在使っているメーラーの「Beckey!」には何の不満もないが、Web Mail のアドレスを一つ持っておくのもいいかなと早速登録してみた。ISP(eo光) のメールアドレス・レンタルサーバーでの独自ドメインメールアドレス・ケイタイのアドレスに加えて4つ目のアドレスになるが、転送設定をしておけば、インターネットにつながる環境ならどこでもメールが確認できる。Gmail の機能などについては、Gmail Maniacsに詳しい。Gmailでの過去メール表示は、受信と返信をセットで(スレッド的に)表示されるようになっている。これはなかなか便利である。
(2007/1/9:追記)  かって事務系の仕事をしていたころ、便利にしていたソフトがあった。Technocraftという会社の「Roboword」というソフトである。インターネットが広がり始めたころに、コンピュータ雑誌に紹介されており導入した。このソフト、英単語の上にカーソルを乗せると吹き出しがでて該当単語の英和辞書の内容が出る。凄いソフトが出てきたと IT の進歩に感激していた。英語の原文を読むときにずいぶん役にたった。それから約12年、IT がDog Year といわれる変革を続けている。「Roboword」そのものも随分進化を遂げているが、昔大枚をはたいたソフトが、Google のツールバーにマウスオーバー辞書という機能でついたのだ。ただし、どの程度の語彙をカバーしているのか分からないが、新しい単語などは辞書にないような気もするし、ブラウザー上の言葉にしか対応していない。しかし、最近インターネットで目にする中国語とかスペイン語などでも英語への辞書であるが対応している。このマウスオーバー辞書で、アクセス解析ツールの Artisan が職人という意味なのを初めて知った。
その他、もちろん本元の検索サービスもサイト内に取り込んでいる。どこまで進化するのか楽しみだ。ちょっと目が離せない。

2006年10月10日

ご当地ナンバープレート:堺

plate.jpg  本日2006年10月10日から、当地堺でもご当地ナンバープレートが付けられるようになった。政令指定市になったおかげかもしれない。今までは、お行儀が悪いと評判の和泉ナンバーで、泉州名産にちなんで通称「たまねぎナンバー」と呼ばれているナンバープレート付けていた。9月すぎにコミュニティ紙に新車でなくても堺ナンバーに変更できることが紹介されていたので、新し物好きの私も変更することにした。希望番号の手続きはインターネットでできる。前の番号は新車を買ったときに自分の誕生日を希望番号として販売店に登録してもらっていた。そのような希望番号は誰も申し込まないから抽選もなくすぐに希望通りの番号が予約できた。費用は4100円で銀行振り込みでき、ここまではインターネットで手続きが済む。
 本日から交付ということで今回は一度自分で登録手続きをしてみようと自宅から5分ほどでいける「近畿運輸局大阪運輸支局和泉自動車検査登録事務所」という長たらしい名前のいわゆる陸運局にでかけた。周りは幾人かは私のような人もいたが、他はつなぎの服を着た整備士や車のセールスマンと思しき人ばかりである。事務所には相談窓口があったので、そこで申請の順番を教えてもらった。まず、申請書用のOCR用紙を別の建物で買う。35円である。次に、ナンバープレートを取り外し(事前に販売店に聞いていたので、マイナスドライバーとプラスドライバーを持っていった。)また別の建物(プレートを作っている企業が代行しているようだ。)に返納に行く。その時、振込みの領収書と希望番号予約証をくれる。また、元の事務所に戻って、先ほどのOCR用紙に所定の事項(車の番号や車体番号、住所・氏名など)を鉛筆で書き込み捺印して窓口にあるクリアファイルに車検証および希望番号予約証とともにいれ、用意されているボックスに入れる。10分ほど待つと名前を呼んでくれて、新しい検査証などをくれる。これをもって今度はまた異なる建物に行って税申告書なるものを提出する。ここには、女性事務員がフロアにいて代わりに申告書を書いてくれた。税金をとる手続きとなると親切である。ここでもらった書類を持って先ほどのプレート屋の建物に行くと新しいプレートをくれた。これを車に取り付けるのである。取り付けていると係員が来て、封印をしてくれた。これで終わりである。慣れない手続きでずいぶん戸惑ったが、係員は相対に皆親切である。要した時間は90分ほどだった。
 もう7年も乗っている車に新しいプレートをつけるのも変な感じであるが、「たまねぎナンバー」呼ばわりされずにすみそうである。