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2022年8月12日

岐阜公園と名和昆虫博物館 7月8日

岐阜駅前のホテルにもどり、ゆっくり朝食をした。この日は朝10時に名古屋在住の親友がホテルまで迎えに来てくれる。チェックアウトをして、少し早めにホテルを出ると、すでに到着し、待ってくれていた。
 まずは名和昆虫博物館がある岐阜公園を目指す。15分くらい走って、岐阜公園の駐車場に入った。「若き日の織田信長像」と題された織田信長の銅像がある正門から岐阜公園に入った。まだ、人影は少ない。ゆっくりと緑に浸りながら、公園内を歩く。
 岐阜公園のいちばん南側の奥に「名和昆虫博物館」はあった。この日は金曜日、博物館は火、水、木曜日が休館日であったが、事前にこれを知り、ほっとしていた。入館料ひとり600円を支払って館内に入る。1階と2階が展示室になっていて、それほど広くはない。専門家だけではなく、一般の人や、子供たちにも理解でき、楽しませるような展示になっていた。受付では、標本も販売されている。記念にキナバルオナガタイマイ(ボルネオ)1頭を購入した。岐阜公園茶室、立礼茶席「華松軒」において抹茶と和菓子で一休みした。落ち着く。
 駐車場へ戻る道筋でゴマダラチョウを撮って、明治村へ移動する前に、昼食の話になった。友人から長良川沿いのやなであゆを食べないかと提案があり、賛成する。甘露煮、お造り,南蛮漬、塩焼き、みそ煮,フライ.と次々と出てきて全部で10尾ほど食べたのではなかろうか。特に新鮮な鮎の塩焼きの味は最高だった。骨抜きも上手くできた。

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名和昆虫博物館入口 2022年7月8日 岐阜市大宮町(岐阜公園内)

011_220708058 X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 11.「天下布武」印
岐阜公園を名和昆虫博物館を目ざして南へ進む。石囲いに腰かけて、女性がひとりスマホを使っていた。貨幣を形どったような造作がある。何だろうと思ったが、すぐそばに答えがあった。これは、織田信長の「天下布武」印と花押(いわばサイン)の石碑であった。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f5 1/500秒 21mm ISO 110 ) 露出補正 なし
012_220708057 X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 12.「天下布武」印の説明書き
織田信長は、永禄8年(1565年)9月頃から文書に麟(りん)の字をかたどった花押を使用するようになり、永禄10年(1567年)9月に岐阜に居城を移し、同年11月、「天下布武」印を使い始めたことが分かっているそうだ。この「天下布武」印によって、この文書が信長の意志によって作成され、それを伝えるものであることが示されている。「天下布武」という文面は、武力によって天下に号令するとの意志を示している。この翌年、信長は足利義昭を奉じて京都に進出するが、この印章の使用は、すでに岐阜を手に入れた段階で、天下を治める構想を練っていたことを示しているのだろうと目されている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.5 1/500秒 21mm ISO 450 ) 露出補正 なし
013_220708062 X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 13.「信長の庭」
岐阜市のホームページでは、「天下統一を夢見た、岐阜ゆかりの武将 織田信長公 が駆け抜けた戦国時代の荒々しさをイメージした庭園です。永年にわたって岐阜公園を見つめてきた巨木を取り込み、長良川流域の巨大な石(約1,000t)を使った石庭として、当時の石組みの技法を用いて「剛」「静」「雅」の3つの滝と池からなり、近隣にはない規模の日本庭園です。また、当時の井戸を出土した場所に再現し、岐阜城下をイメージした「信長の町」やせせらぎ水路など、信長が居城していた時代を思い巡らしながら、四季折々の風景美と調和した素晴らしい眺めを楽しんでいただけます。」と紹介されている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.8 1/500秒 54mm ISO 6400 ) 露出補正 なし
014_220708065 X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 14.冠木門
「信長の庭」の池が終わるところの左側(東側)に信長の居城跡が保存整備されているが、その居館跡の入り口には冠木門が設置され、館が建てられていた頃の雰囲気をしのばせている。ここより上の段には巨石列で区画された城主の居館があった。この冠木門は市内のロータリークラブから寄贈されたものであるが、当時の入り口はもう少し南側だったようだ。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.5 1/500秒 20mm ISO 640 ) 露出補正 なし
015_220708069m X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 15.三重塔 -1
信長の居館跡辺りから三重塔が良く見えた。大正天皇御大典記念事業として大正6年(1917年)に、かっての長良橋の材木で建築された登録有形文化財だそうだ。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.8 1/500秒 45mm ISO 360 ) 露出補正 なし
016_220708079 X800 〇岐阜公園 Z50 18-140.jpg 16.三重塔 -2
日本画の巨匠として知られる川合玉堂が位置を定めたと言われている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f5.6 1/500秒 92mm ISO 280 ) 露出補正 なし
017_220708088 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 17.名和昆虫博物館 看板
岐阜公園を南へ進んでいくと名和昆虫博物館の看板が見えてきた。パンフレットによると、名和昆虫博物館は大正8年(1919年)10月26日に財団法人名和昆虫研究所の付属施設として、開館したという。当初は主に農作物害虫やシロアリなど家屋の害虫駆除のための啓蒙普及の場として先駆的な役割を果たした。時代とともに公共の害虫研究機関が発達するにあたり、その使命を自然教育の一環としての昆虫啓蒙普及に活動してきた。昆虫専門の博物館でしかも、全くの個人が設立し5代にわたって、今なお活動し続けている点で、他に類を見ないユニークな博物館と言える「日本で最も長い歴史を誇る昆虫専門の博物館」である。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f5 1/500秒 22mm ISO 110 ) 露出補正 なし
018_220708087 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 18.名和昆虫研究所記念昆虫館 (標本収蔵庫)
博物館の手前に、明治40年(1907年)6月に竣工した名和昆虫研究所記念昆虫館が見えた。この建物は標本収蔵庫として建てられた。昆虫博物館とともに近代日本を代表する建築家 武田五一氏の設計によるもので、歴史的にも価値がある。博物館は登録有形文化財、記念館のほうは岐阜市重要文化財に指定されている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4 1/500秒 32mm ISO 110 ) 露出補正 なし
019_220708089 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 19.名和昆虫研究所記念昆虫館の側面
なお、名和昆虫研究所は明治29年(1896年)に、農作物や家屋の害虫の研究を主な目的として、名和靖 が独力で設立した。現在は一般財団法人組織なっている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.5 1/500秒 22mm ISO 400 ) 露出補正 なし
020_220708090 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 20.名和昆虫博物館 受付
歴史的な建物である博物館の入り口を入り、呼び鈴を押した。係の方が後ろの事務所から出て来られ、入館料をお支払いする。展示されている標本やパネルを撮影してよいかと尋ねたところOKとのこと。これは、ここで販売されている標本の写真である。標本製作は確かな技術を持った、当博物館の2名の経験豊かな職員の方がおこなっているとのこと。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.8 1/500秒 26mm ISO 3200 ) 露出補正 なし
021_220708102 X800 〇岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 21.ルードルフィア・ラインについてのパネル
名和昆虫研究所の創設者である名和靖氏は、研究所設立前の1883年(明治16年)に岐阜県郡上郡祖師野村(現在の下呂市金山町祖師野)で、のちに「ギフチョウ」と命名されるチョウを発見した。日本にはルードルフィア属として、ギフチョウとヒメギフチョウの2種が生息し、大まかに西にギフチョウ、東にヒメギフチョウと明確に棲み分けをしており、基本的にこの2種が同時に見られる事はない。両者はごく一部の混生地(山形の最上川流域や新潟県の糸魚川~長野県白馬村など)を除いて見事に棲み分けていて、その境界線をルードルフィア・ラインという。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.8 1/500秒 24mm ISO 2800 ) 露出補正 なし
022_220708103 X800 〇岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 22.ギフチョウに近い仲間
さすが、ギフチョウに関連する展示が多数あった。これは中国などに棲むシボリアゲハの仲間である。2011年8月中旬に、日本の調査隊6人が、ブータン政府の調査団とともに渓谷奥地の秘境で、78年ぶりにブータンシボリアゲハを確認した。このことはテレビでも詳しく報道された。来日したブータン国王夫妻が、日本の協力へのお礼としてブータンシボリアゲハ2頭を寄贈されたことが話題となった。ブータンシボリアゲハは「ヒマラヤの貴婦人」と呼ばれる幻の大蝶として知られている。ブータンシボリアゲハのほか、この仲間には、シボリアゲハ、シナシボリアゲハ、ウンナンシボリアゲハの3種が知られている。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.2 1/500秒 36mm ISO 3200 ) 露出補正 なし
023_220708126 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 23.2階展示室
1階の展示室は、外国のカブトムシやクワガタの展示も多かった。そして、2階の展示室に上がる。華麗なチョウを集めた世界の美チョウ・コーナーが目を引く。自然教育の一環としての昆虫啓蒙普及を目的としてか「クイズで遊ぼう、学ぼう、不思議な昆虫の世界」と題した実物昆虫標本によるクイズ形式の展示が多くあった。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.8 1/500秒 24mm ISO 3200 ) 露出補正 なし
024_220708131 X800 岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 24.モルフォ
世界の美チョウがグループ分けして展示されている。これは南米に生息するモルフォチョウの仲間で、中央の4頭はヘレナモルフォ、その周りを、レテノールモルフォなどが取り囲む。このグループは日本には生息していない。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.8 1/500秒 54mm ISO 4000 ) 露出補正 なし
025_220708149 X800 〇岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 25.各地のツマベニチョウの仲間
東南アジアに多く生息するが、日本にも沖縄県、鹿児島県に1種のツマベニチョウがいる。シロチョウ科最大のチョウで見栄えが良い。少年時代には憧れたチョウである。多摩動物園や足立区生物園の温室には飼育されたツマベニチョウが翔んでいる。私は那覇の公園でハイビスカスにきたツマベニチョウの写真を一度だけ撮影したことがある。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4 1/500秒 29mm ISO 4000 ) 露出補正 なし
026_220708142 X800 〇岐阜公園 名和昆虫博物館 Z50 18-140.jpg 26.世界の美チョウ ギフチョウはどれ?
クイズ形式の標本展示である。東南アジアに棲むトリバネアゲハの仲間、中央アメリカ・南アメリカに住むミイロタテハの仲間、モルフォチョウの仲間を世界の3大美チョウという。この標本箱の中には、それ以外の美しい蝶も収められている。ギフチョウも入っている。博物館にお展示されているすべての標本を丁寧に見ることはできなかったし、写真に撮ることもできなかった。後日、このブログのため、ネット検索したところ、ほぼ完ぺきに名和昆虫博物館の展示について網羅されている Life Designs というサイトがヒットした。ヒナバルオナガタウマイ(ボルネオ)という蝶の標本を記念に購入した。見事な展翅である。外に出ると、先生に引率された幼稚園の子供たちだろうか、見学に来ていた。(トップの写真)

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f3.5 1/500秒 22mm ISO 3200 ) 露出補正 なし
027_220708170 X800 岐阜公園 華松軒 Z50 18-140.jpg 27.抹茶カフェ -1
名和昆虫博物館を退出し、駐車場へと歩き始めると右手に 立札茶房「華松軒」というところがあった。気温も上がってきて喉が渇いていた。和菓子で抹茶を楽しもうということになった。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f5 1/500秒 48mm ISO 100 ) 露出補正 なし
028_220708165 X800 岐阜公園 華松軒 Z50 18-140.jpg 28.抹茶カフェ -2
落ち着いた気分になる。岐阜市政100周年を記念して昭和63年(1988年)に開室した茶室「華松軒」の立礼茶席で、80歳の男2人で和菓子と冷たい抹茶で涼をとる。抹茶は滅多にいただくことはないが、立ち寄ってよかった。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.2 1/500秒 36mm ISO 400 ) 露出補正 なし
029_220708173tm X800 岐阜公園 岐阜城 Z50 18-140.jpg 29.岐阜城
茶室「華松軒」を出て、振り返ると岐阜城が見えた。岐阜城は鎌倉時代に二階堂氏が築城した山城である。斎藤道三の居城の時は稲葉山城と呼ばれ、信長が天下統一の足掛かりとした居城としても有名である。現在の城は昭和31年に再築された。標高329mの金華山山上に建ち、最上階からは、眼下に鵜飼で有名な清流長良川が市内を貫流し、東には恵那山、木曽御岳山が雄大な姿を見せ、北には乗鞍、日本アルプスが連なっている。また西には伊吹、養老、鈴鹿の山系が連なり、南には濃尾の大平野が豊かに開け、木曽の流れが悠然と伊勢湾に注いでいるさまを一望におさめることができるという。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f6.3 1/2500秒 140mm ISO 100 ) 露出補正 なし
030_220708071 X800 岐阜公園 Z50 18-140.jpg 30.三重塔と「ぎふ金華山ロープウェイ」
1955年(昭和30年)に「信長の庭」の傍から金華山山上へ上がるロープウェイが、開通している。天気も良いので上に上がって、信長の気分になってみたかったが、ロープウェイの山上駅から城まで徒歩8分あるという。時間が足りないので、今回は割愛する。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f4.8 1/500秒 45mm ISO 200 ) 露出補正 なし
031_220708178 X800 〇岐阜公園 エノキ Z50 18-140.jpg 31.ゴマダラチョウ -1
左側をせせらぎが流れる。そこで何かが翔んだ。近寄ってみるとゴマダラチョウだった。最近、ゴマダラチョウの写真を撮っていない。これはこれで嬉しい。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f6.3 1/500秒 140mm ISO 2000 ) 露出補正 なし
032_220708192 X800 ◎岐阜公園 エノキ Z50 18-140.jpg 32.ゴマダラチョウ -2
お腹が大きい。雌のようだ。止まっている葉もエノキのようである。NIKKOR Z DX 18-140mm というレンズは扱いやすい。チョウを撮るときも、チョウから40cmくらいに近づくことが出来る。だが、いかんせん暗い。105mm macro f2,8 が欲しくなる。

Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
プログラムオートで撮影  ( f6.3 1/500秒 140mm ISO 280 ) 露出補正 なし


2018年10月22日

珠玉の昆虫標本 -1 8月28日 9月13日

「日本チョウ類保全協会」のイベント開催案内で、東京大学総合研究博物館で開催されている「珠玉の昆虫標本」のことを知った。最近、購入した「美しい日本の蝶図鑑」を監修された矢後勝也博士が企画された展示だそうだ。
夏休みも終わりに近づいた8月28日に行ってきた。今まで私が見てきた昆虫標本展とは違うインパクトがあった。多くの著名な昆虫学者であられる先生方が、東大総合研究博物館に寄贈され、収蔵されている約70万点の中から、日本の昆虫研究史の源流ともいえる学術標本から、現在に至るまで継続的に収集、研究されてきた約4万点の秘蔵コレクションが一挙公開されている。さすが、東京大学である。私は蝶の標本に注目していったが、その標本に見られる、それぞれの研究者のかたがたのテーマを学びながら、その標本の量、特に近縁種の標本の多さには感動した。
 受付のボランティアのかた、多分、研究者のかたと思われるが、「写真を撮っても良いですか?」と聞いたところ、江戸時代の本草学者・武蔵石寿により制作された日本最古の昆虫標本は、撮影禁止だが、他はノー・フラッシュで撮影してもよいのことだった。
 9月13日に行ったときは、まず、展示会場に入って右側の、尾本恵市氏の蝶の標本に圧倒され、そこから左回りに見学していった。夢中で写真も撮らせていただいたが、後で撮った画像を見てみると、どの標本がどの研究者の標本かわからないファイルが多くあったのに気が付いた。
 退出するときに、入場時にお話をお聞きしたボランティアのかたから東京大学総合研究博物館ニュース「Ouroboros」をいただいた。それぞれの研究者とその標本の説明が記されていたのを知って、これを先に読んでから見学すればよかったと思った。ブログの記述には、この「Ouroboros」の記事を参照させていただいた。また、種名については、手持ちの〔学研の図鑑〕「世界のチョウ」や、インターネットの情報を検索させていただいた。
そして後日、改めて見たいと思って、9月13日に、再度、東京大学総合研究博物館へ赴いた。ブログには2回に分けて載せたいと思うが、標本の写真については9月13日の見学に沿って載せていきたい。

181022_001.jpg 1.東大赤門
地下鉄の本郷3丁目から東大赤門まで歩き構内へ入った。「珠玉の昆虫標本」展の会場である東京大学総合研究博物館は、赤門の手前を右に入ると近いのだが、不案内であった。赤門は文政10年(西暦1827年)、加賀藩主前田斎泰に嫁いだ11代将軍徳川家斎の息女溶姫のために建てられた朱塗りの御主殿門で重要文化財に指定されているとの案内書きがあった。9月13日、「珠玉の昆虫標本」展見学2回目のときは、学習効果で、赤門手前からショート・カットして入ることができた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/1000秒 12mm ISO400 ) 露出補正 なし
181022_002.jpg 2.東京大学総合研究博物館
赤門から入って、歩いてきた国道17号と平行に右へ進むと、「珠玉の昆虫標本」展の会場があった。その東京大学総合研究博物館は1966年(昭和41年)4月に東京大学総合研究資料館として発足し、1996年(平成8年)5月11日に東京大学総合研究博物館として改組された。2002年(平成14年)1月12日には、ここのところ毎春、ツマキチョウを撮りに訪れている小石川植物園の中に、東京大学総合研究博物館小石川分館が開館されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO400 ) 露出補正 なし
181022_003.jpg 3.江戸から平成の昆虫研究を支えた「珠玉の昆虫標本」
館内には一般展示もあるが、まずは 「珠玉の昆虫標本」の展示会場へ向かう。子供さんたちが多いかと思ったが、それほどではなかった。会場に一歩入るとアカデミックな雰囲気があった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/400秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_004.jpg 4.「珠玉の昆虫標本」の展示会場
写真でご覧いただけるように one room の会場は決して広くない。そこにぎっしりと「珠玉の昆虫標本」が展示されている。会場へ入ってすぐのところに、貴重な標本があった。日本最古の昆虫標本として知られる約200年前の江戸時代に旗本・武蔵石寿が制作した全7箱の昆虫標本が平置きされていた。チョウは、クロアゲハ、アオスジアゲハがあったが、少々形は崩れている。この標本は撮影禁止であった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/320秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_005.jpg 5.山階芳麿侯爵の昆虫標本
正面左の壁面の展示から右回りに見ていく。その壁面、江戸時代の本草学者・武蔵石寿により制作された日本最古の昆虫標本の後ろ側の壁面にはセミ博士の愛称を持つ加藤正世博士( 1898ー1967 年)の59箱の標本があった。昭和初期の昆虫黄金時代を築いた人で、セミが中心だがチョウの標本もあった。その隣に展示されていたのが本邦初公開と言われる、鳥類学者で山階鳥類研究所の創設者でもある山階芳麿博士(1900年-1989年)の、昭和初期に採集された標本だった。テンシャンウスバと思われるチョウや、ルリモンアゲハの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_006.jpg 6.江田茂さんの標本 -1
続いて西多摩の博物学者と言われる宮野浩二さん(1937年-2012年)の昆虫標本45箱。1960年代半ばから動植物に衰退の兆しを察知し、西東京産のあらゆる昆虫を継続的に採集、標本にしていて、昭和初期の昆虫の変遷から環境の変化を読みとる上できわめて貴重な情報源だ。さらにその隣には、平和・トンボ資料館館長の白石浩次郎さんの、1941年-2010年のトンボ標本が10箱があった。そして、入口からみての正面の壁面には、労働省の官僚であり、大収集家である江田茂さん(1930-2008)の昆虫標本33箱が並ぶ。写真は、南アメリカと中央アメリカの熱帯圏に生息する小型の美しいジャコウアゲハ類のマエモンジャコウアゲハの仲間や、ミツオアゲハ、ウスキオビアゲハの仲間の標本だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/200秒 24mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_007.jpg 7.江田茂さんの標本 -2
チョウ類と甲虫類が主体だ。私は同定ができないが、標本の種名が記されていないので、手持ちの図鑑などを参照して探っている。誤りがあると思うがお許しいただきたい。世界各地の昆虫標本が多岐にわたり収集されている。江田茂さんは、中学生の頃より、海外の昆虫標本商や研究者と文通、交換をして珍奇で美麗チョウなどの標本コレクションを始めたそうだ。 写真はパルナシウス(ウスバアゲハ族)の一部である。テンジクウスバ、チェケニーウスバ、アクディティスウスバ、そして、中央の上はヒメウスバシロチョウだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/640秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_008.jpg 8.江田茂さんの標本 -3
この箱のチョウの名前はほとんどわからない。中央アメリカや南米の蝶と思うが、わずかに右上にフタエヘリボシジャコウアゲハらしきチョウが認められるのみである。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/400秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_009.jpg 9.江田茂さんの標本 -4
ケニアなど中央アフリカからアフリカ南部に生息するツマアカシロチョウの仲間と思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/500秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_010.jpg 10.江田茂さんの標本 -5
江田茂さんの標本、エガーモルフォの雌雄型の箱があった。私は雌雄型では、左側が♂なら、右側の翅は♀というように現れるものと思っていたが、モザイクの現れ方もいろいろ異なることを知った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_011.jpg 11.ブータンシボリアゲハ
これは、日本・ブータン共同調査隊により約80年ぶりに発見されたブータン絞りアゲハの標本である。この標本は「珠玉の昆虫標本」展を企画された矢後勝也博士が採集されたものだそうだ。2011年11月に国賓で日本を訪れたブータン国王夫妻が2頭の♂の標本を持ってこられ、東京大学総合研究所博物館と、東京農大の 進化生物学研究所にそれぞれ贈呈された。6~7年前だったと記憶しているが、NHK-TVで "NHKスペシャル 「秘境ブータン 幻のチョウを追う」" が放映された。そして、2012年2月に東京農大 進化生物学研究所「食と農」の博物館で開催された "幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ"展示会も見に行った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/500秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_012.jpg 12.五十嵐邁博士の標本 -1
五十嵐邁博士(1924-2008)はチョウ類の幼生期の生活史と形態を主に研究された昆虫学者として知られる。幼虫期の形態や生活史が不明だったテングアゲハの調査団を結成して、インドのダージリンで食樹がキンベリーモクレンであることを発見されたのは有名である。没後の2010年の3月に東京千駄木のファーブル昆虫館で開催された「五十嵐邁展」を見に行ってきた。その翌年、前述したブータンシボリアゲハの日本・ブータン共同調査隊に参加された奥様の昌子様にもお目にかかることができた。著書の「アゲハ蝶の白地図」や「蝶と鉄骨」も私の書架にある。ここでは40箱のチョウの標本が展示されていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_013.jpg 13.五十嵐邁博士の標本 -2
東南アジア産チョウ類を主体とする約10万点の標本、1000点を優に超える学術図書、5000点以上のチョウ類幼生期の写真や描図などの五十嵐コレクションは2010年6月に東京大学に寄贈された。この写真は初めて見るチョウだった。フィディアスタイマイのようだ。照明がどうしても標本箱のガラスに反射してしまい、撮りにくい。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/320秒 37mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_014.jpg 14.五十嵐邁博士の標本 -3
アレキサンドラトリバネアゲハだ。♀を最初に発見したミークという探検家がチョウがあまりにも巨大だったため、鳥と間違えて鉄砲で撃ち落としたと伝えれているが。開長180mm近くにおよぶ巨大なものもいるという。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_015.jpg 15.五十嵐邁博士の標本 -4
ヒイロツマベニチョウだ。インドネシアのアンボン島、セラム島、ベレン島、ブル島といった生息地により、亜種がある。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_016.jpg 16.五十嵐邁博士の標本 -5
五十嵐邁博士と言えば、まず、このテングアゲハだ。1986年、幼虫期の形態や生活史が不明だったテングアゲハの調査団を結成して、インドのダージリンのタイガーヒルで食樹がキンベリーモクレンであることを発見されたのは有名である。五十嵐博士が現地から日本鱗翅学会の白水隆会長へ打たれた発見成功の電報も展示されていた。 1979年発刊の〔学研の図鑑〕「世界のチョウ」では、幼虫の生態は不明とされていた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_017.jpg 17.五十嵐邁博士の標本 -6
メガネトリバネアゲハには生息地により、多くの亜種があるようだ。♂の翅がグリーンのほかに、ブルー系亜種と、オレンジ系亜種がある。これはアカメガネトリバネアゲハ Ornithoptera croesus lydius だろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/500秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_018.jpg 18.五十嵐邁博士の標本 -7
「Ouroboros」では、今回の五十嵐邁博士の展示品で特筆すべきは、きわめて希少な尾なしカラスアゲハの標本である。特に♀は国内に1頭しか存在せず、一見の価値があるとされている。見た目はカラスアゲハというよりクロアゲハのようだった。この標本でどれが♀か分からなかったが、一番右端の胴が大きいのでこれが♀なのだろうか?。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_019.jpg 19.五十嵐邁博士の標本 -8
ルリモンアゲハと思う。先月、ベトナムの中部のダナンで見たのは、ルリモンアゲハだったかもしれない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 11mm ISO2500 ) 露出補正 なし
181022_020.jpg 20.五十嵐邁博士の標本 -9
下の箱はオオクジャクアゲハ、あるいはタカネクジャクアゲハだろうか。上の箱はルリオビアゲハ(オビクジャクアゲハ)と思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/80秒 22mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_021.jpg 21.五十嵐邁博士の標本 -9
この箱のチョウは何か分からなかった。もしかしてルリモンジャノメの仲間かと思い検索してみたがヒットしなかった。やや小型のチョウだったのでシジミチョウ科のチョウだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/800秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_022.jpg 22.五十嵐邁博士の標本 -10
メスシロキチョウとその仲間のようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/1000秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_023.jpg 23.五十嵐邁博士の標本 -11
日本にも生息するアオバセセリの仲間の標本だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 18mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_024.jpg 24.五十嵐邁博士の標本 -12
シボリアゲハ 。シボリアゲハの仲間は、アゲハチョウ科の中でも、原始的なグループのウスバシロチョウ亜科タイスアゲハ族に含まれ、この族にはタイスアゲハ属2種、シロタイスアゲハ属5種、シボリアゲハ属4種、ホソオチョウ属1種、ギフチョウ属4種、慶16種が知られている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 18mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_025.jpg 25.五十嵐邁博士の標本 -13
左側の列がウンナンシボリアゲハ、右側がシナシボリアゲハだ。シボリアゲハの仲間の4種はヒマラヤ山麓からミャンマー、タイ、中国西部に生息する。ブータンシボリアゲハはブータンに、シボリアゲハはヒマラヤ山麓ブータン、アッサム、ミャンマー、タイ、中国雲南省に、シナシボリアゲハは中国雲南省、四川省、峡西省に、そして、ウンナンシボリアゲハは中国雲南省にそれぞれ種生息する。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/160秒 29mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_026.jpg 26.濱正彦さんの標本 -1
これも凄い。信州の蝶聖信州屈指のアマチュア研究者と言われる濱正彦さん(1935-2012)のチョウの標本である。濱コレクションは、294箱に収納された44,570頭の主として長野県中南部産のチョウ類で、2013年4月に東京大学総合研究博物館に寄贈された。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_027.jpg 27.濱正彦さんの標本 -2
これはヒメヒカゲの箱だ。ヒメヒカゲはいま、絶滅危惧Ⅰ類になっている。私が昆虫少年だったころ、美ケ原の王が鼻から石切り場へ下りる途中で数頭採集した記憶がよみがえる。それ以来、会っていない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.2 1/320秒 12mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_028.jpg 28.濱正彦さんの標本 -3
コヒョウモンモドキだ。このチョウも最近めっきり会う機会が少なくなっている。1993年に海ノ口牧場で撮った本種の写真が残っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/200秒 24mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_029.jpg 29.濱正彦さんの標本 -4
アイノミドリシジミだろうか。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/320秒 14mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_030.jpg 30.濱正彦さんの標本 -5
右側はウラゴマダラシジミ、左側はフジミドリシジミ。フジミドリシジミの♀の表は黒で無地だ。ウラゴマダラシジミは近くの舞岡公園でも撮れるが、フジミドリシジミはまだ撮ったことがない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/320秒 32mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_031.jpg 31.濱正彦さんの標本 -6
このクモマツマキチョウの数には圧倒される。私はクモマツマキチョウも撮ったことがない。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/800秒 16mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_032.jpg 32.濱正彦さんの標本 -7
ヒメギフチョウ の箱だ。左から3列目に並ぶのは、ギフチョウとの種間雑種なのかなと思った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/320秒 16mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_033.jpg 33.濱正彦さんの標本 -8
こちらはギフチョウである。黒状が太いので、ヒメギフチョウに比べて黒っぽく見える。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f1.8 1/640秒 9mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_034.jpg 34.濱正彦さんの標本 -9
写真では中央にキベリタテハの箱があり、その下にクジャクチョウ、上にはコヒオドシが見える。昆虫少年のころキベリタテハやクジャクチョウはあこがれの的で、夏休みの終わりのころに行った美ケ原で目的を達した時はうれしかった。クジャクチョウは何の花だったか忘れてしまったが、その花が真っ黒になるほど群がっていたのを思い出す。60年も前の話だ。昨今は、キベリタテハもクジャクチョウもとても少ない。コヒオドシは、夏の林間学校で乗鞍岳に登ったとき、畳平で3頭をネットに入れた。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/60秒 21mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_035.jpg 35.須田孫七さんの標本 -1
展示場の右奥には日本のファーブルと言われる須田孫七さんの昆虫標本47箱だ。アリの標本は圧巻であると言われる。チョウの標本は少ないが、中心は1940年~2000年代に収集された東京都産の標本で東京の環境と昆虫相の変遷を知ることができる重要な資料とのこと。いまは東京では見られないギフチョウの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/125秒 28mm ISO3200 ) 露出補正 なし
181022_036.jpg 36.須田孫七さんの標本 -2
コムラサキ、ミドリシジミ、アサマイチモンジの標本もあった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f2 1/640秒 10mm ISO3200 ) 露出補正 なし


2017年6月21日

上野公園(1) 大英自然史博物館展を見る 5月30日

上野の国立科学博物館で大英自然史博物館展 が開催されている。大変な人気だそうだ。だが、6月11日で終わってしまう。
 是非見たかったので、5月30日(火)に行ってきた。9時開場なので9時過ぎには現地に着きたい。横浜から上野へは上野東京ラインができたので乗り換えなしで30分少々で行ける。
 9時少し過ぎにJR上野駅の公園口を出て、まだ開場していない国立西洋美術館の前を通り、右へ曲がって国立科学博物館へ向かった。上野公園の入り口は、この時間からもう、外国人観光客、修学旅行生などが多い。
  大英自然史博物館展は、国立科学博物館の地球館の1階で行われている。当日券(@1,600円)売り場ではほとんど待つことなく購入できた。入場受付で「写真を撮っても構いませんか」と尋ねたところ、「フラッシュを使わなければOKです」ということだった。会場内に入ると、さすがに見学者が多い。展示の説明を一つ一つ読んでいくととても時間がかかるので、興味があるところに重点を置いた。
 約1時間見学をして、大英自然史博物館展のミュージアム・ショップに寄る。ガイドブックである「Treasures of the Natural World」は素晴らしかったので購入した。また、ミイロタテハがデザインされた、記念になるキーホルダーなどを買い求めた。
 次に国立科学博物館の地球館と日本館の常設展を見ることにする。こちらは修学旅行の生徒さんたちが多かった。
 最後に隣の国立西洋美術館を見学して、12時半には帰路に着くことが出来た。

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↑ 入場券の写真は有名な始祖鳥の化石
​  大英自然史博物館展は次のようなテーマで構成されていた。

  • 序章  自然界の至宝 ~博物館への招待~ Introduction Treasures of the natural world
  • 1章   大英自然史博物館の設立 Chapter 1 Building nature's tresure house
  • 2章   自然史博物館を貫く精神 Chapter 2 Tresures of the mind
  • 3章   探検がもたらした至宝 Chapter 3 Tresures of exploration
  • 4章   私たちの周りの多様な世界 Chapter 4 Tresures of life are everywhere
  • 5章   これからの自然史博物館 Chapter 5 A museum for a modern world

この見学記の記述は本展のガイドブック「Treasures of the Natural World」を参考、引用させていただいた。

1.カラスアゲハ
国立西洋美術館に沿って国立科学博物館への向かう左側は広大な広場になっていて、その道の脇にツツジの花が咲いていた。そのツツジにカラスアゲハが飛んできて、吸蜜を始める。余裕があれば、ローアングルで背景を入れて撮りたいのだが、花から花へと動き回って落ち着いてくれなかった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f4 1/250秒 37mm ISO125 ) 露出補正 なし
;クリックすると大きな写真になります。
2.大英自然史博物館への誘い
特別展会場のエントランスを入ると、大英自然史博物館の雰囲気が迎えてくれた。大英自然史博物館 はロンドンのサウスケンジントンに威容を誇るロマネスク調石造りの美しい建物だそうだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/30秒 9mm ISO800 ) 露出補正 なし
;クリックすると大きな写真になります。
3.序章  自然界の至宝 ~博物館への招待~
大英自然史博物館は世界で最も学術的に重要性の高い自然史コレクションが所蔵されている場所である。様々な分野の8000万点もの標本が保管されており、科学者が地球の歴史を探求する上で大いに貢献している。今回はその選りすぐったの最高の標本が展示されているという。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/30秒 9mm ISO320 ) 露出補正 なし
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4.アメリカの鳥 (展示番号 2と.3)
ジョン・オーデュポンの鮮やかな色彩とまるで生きているような描写のイラストは大成功を収めた。この画集は完成まで20年を要し、北アメリカに生息する鳥類のほとんど全ての種が描かれている。1827年から1838年にかけて4巻にまとめて出版され、手書きで着色された美しい版画は435枚収められている。大英自然史博物館にはこの貴重な本が2セット保管されているそうだ。左はイヌワシ、右はショウジョウトキだが、オーデュポンは原寸大でその自然の状態を描いたという。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/30秒 9mm ISO500 ) 露出補正 なし
;クリックすると大きな写真になります。
5.アレクサンドラトリバネアゲハ (展示番号 1)
翅は開長30cmにも達する、世界最大の蝶である。北パプアニューギニアの森林でのみ発見されている。海野和男さんの著書「世界で最も美しい蝶は何か」によると、「アレクサンドラトリバネアゲハは1906年、ミークによってニューギニアのポートモレスビー近くのポポンデッタで発見された。最初のメスは散弾銃で撃ち落とされたものだという。あまりに大きいので鳥と間違えて撃ち落とされたという説もあるが、真相は高所を飛び、網の届くところになかなか降りてこないので、止むを得ず銃を使ったのだろう。」と記されている。翅に穴が開いたその標本は大英自然史博物館に保管されているというが、今回展示されていた標本に穴は開いていなかった。上の標本が♂で、下が♀である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/20秒 9mm ISO1600 ) 露出補正 なし
;クリックすると大きな写真になります。
6.1章 大英自然史博物館の設立 テラコッタ製ライオン (展示番号 32)
ハンス・スローンは膨大な数の品物を個人的に収集した。その中には40万点以上もの自然史関係の標本も含まれていた。1753年にスローンが没すると、彼のコレクションをもとにして大英博物館が創設された。大英博物館の自然史部門の標本はどんどん増え続け、所蔵スペースに納まりきらなくなる。同館の自然史部門長を務めていたリチャード・オーウェンは自然史コレクションだけを扱う博物館の必要性を出張し、その努力が実って1881年に自然史部門の分館が開館した。これは1980年代に、もっと頑丈なレプリカに代えられるまで、大英自然史博物館の屋根に誇らしげに飾られていたテラコッタ 製装飾用ライオン像だ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2 1/30秒 11mm ISO400 ) 露出補正 なし
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7.アルフレッド・ウォーターハウスのテラコッタ図案 (展示番号 30と31)
建築家のアルフレッド・ウォーターハウスは、ヨーロッパの大寺院や教会で良く見られるロマネスク様式を用いて大英自然史博物館の建物を設計した。左はライオン像、右は円柱模様と正面玄関中央の羽目板用の彫刻図案(ヘビと戦うライオン)の鉛筆素描。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2 1/30秒 11mm ISO320 ) 露出補正 なし
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8.モア全身骨格 (展示番号 45)
リチャード・オーウェンは解剖学者としての並外れた知識で、このニュージーランドの巨大な絶滅鳥を同定した。次の写真のこの生き物のたった一つの骨を調査し、ヒトやカンガルー、ゾウガメを含む14種の骨と慎重に比較することによって、その骨が巨大な飛べない絶滅鳥のものであると正確に予言した。4年後にはより多くの骨が発見され、オーウェンが正しいことがわかり、科学界を驚かせたという。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/20秒 9mm ISO1250 ) 露出補正 なし
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9.モアの大腿骨の骨片(模型)
オーウェンがモア同定に使用した最初の骨片の模型である。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.5 1/40秒 19mm ISO800 ) 露出補正 なし
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10.ウォレス線
アルフレッド・ウォレス(1823-1913)はイギリスの博物学者で、ダーウィンとは別の観点から自然選択説の考案に至ったことで有名である。分布境界線と呼べるものを最初に発見したのがウォレスである。ボルネオ島とスラウェシ島の間を通る「ウォレス線」と呼ばれる境界線が設定できることに気が付いた。私はバリ島に2度ほど旅行をしたが、そのバリ島の東側、ロンボク島との間をこのウォレス線が通っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.5 1/30秒 19mm ISO800 ) 露出補正 なし
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11.3章 探検がもたらした至宝 ヒクイドリ (展示番号 108)とヤママユ (展示番号 111)
ヨーロッパ屈指の富を持つ銀行家一族に生まれたウォルター・ロスチャイルド(1868-1937)は、生涯をかけて自然史の研究に取り組み、膨大なコレクションを個人的に収集、イギリスのトリンダにあった自分の地所に建てた博物館に収蔵して公開した。彼の死後、この博物館は大英自然史博物館のトリング分館となっている。ロスチャイルドはオーストラリアとニューギニアで発見された飛べない巨鳥ヒクイドリに魅せられ自宅のトリングパークで多数飼育し死後は剥製にしたそうだ。右側に見える3頭の蛾は、ロスチャイルドに因んでRothschilia という属名が与えられたヤママユで、翅の一部は鱗粉が無く透き通って見えるため、枯葉の中に同化して紛れ込むのに役立つ。その下に見える白い鳥はコマダラキーウイの白羽異常個体である。ロスチャイルドは異常個体に興味を持った。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.5 1/20秒 14mm ISO1000 ) 露出補正 なし
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12.タカアシガニ (展示番号 120)
19世紀のチャレンジャー号の探検航海では、深海調査の一環として、日本の何か所かの海で科学的調査が行われた。タカアシガニは世界最大のカニとして展示されている。2011年には幅が3mを超える個体が駿河湾から報告された。私は5~6年前までは、良く西伊豆の戸田へ行ったことがあり、そこでタカアシガニも食べたが、味はタラバやズワイガニの方がおいしい。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/20秒 9mm ISO800 ) 露出補正 なし
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13.4章 私たちの周りの多様な世界 ミイロタテハ (展示番号138)
ミロタテハは南アメリカの森林の林冠部に生息している。ミイロタテハはトリバネアゲハ、モルフォとともに世界3大美蝶とされている。海野和男さんの著書「世界で最も美しい蝶は何か」によると、ミイロタテハ(Agrias)はいったい何種いるのだろかということに関し、ある学者は4種に分類し、またある学者は9種に分類しているという。それぞれ亜種が多く、多くの型がある。展示されているミイロタテハは裏面の紋様から、私はアエドンミイロタテハではないかと思う。パリの自然史博物館には蝶の収集家として有名なマダム・フルニエが1916年から52年にかけて収集した膨大な標本があるという。またパリに行くことが出来たら、是非、見てみたいと思う。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/30秒 9mm ISO500 ) 露出補正 なし
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14.Chalk hill blue (展示番号142) イギリスに生息するシジミチョウ
学名をPolyommatus coridon という南イングランドの石灰岩質な地域の草原に生息し、環境に適応した結果として模様の多彩な変異が種内に確認できる。それだけでなく、性選択によって雌雄間の違いも顕著になった。♂は乳白色の青い翅に薄い黒茶色の横縞があり、♀の翅は茶色地に橙色の斑点を持ち、付け根付近は青みがかっている。同じ種でありながら、いろいろなタイプがあるようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.8 1/60秒 22mm ISO800 ) 露出補正 なし
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15.エブリン・チーズズマン(1881-1969)
右側の女性はエブリン・チーズマンで昆虫学者、また旅行家として活躍したそうだ。単独での調査旅行を好み、南太平洋の島々へ単身で8度も長期滞在し、7万点以上の標本を集めたという。彼女によるコレクションは大英自然史博物館に収蔵されており、地域の生物相の解明に役立っている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f1.8 1/30秒 9mm ISO500 ) 露出補正 なし
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16.トラ (展示番号159)
私たちの周りの多様な世界として、トラの剥製が展示されていた。野生のトラは、現在3000個体程度と推定されている。密漁者たちは毛皮、骨、肉、薬として密売するためにトラを狩っている。同時に、森林破壊による生息地の減少や、自然環境への人間の進出が、ここ20年間でトラの数を急速に減少させている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2 1/30秒 10mm ISO640 ) 露出補正 なし
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17.アカトビ (展示番号158)
アカトビはごみをあさったり、持ち去ったりするため、あまり評判の良くないようだが、イングランドとスコットランドで絶滅の危機に直面していたところ、1989年から1994年にかけて行われた生息地への再導入活動により、数は劇的に増加した。現在、アカトビはヨーロッパでの保全事業の代表的な成功例となっている。本展で見た鳥の剥製は、失礼ながら、このように死骸が捨てられているようなものが多かった。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.5 1/25秒 17mm ISO800 ) 露出補正 なし
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18.5章 これからの自然史博物館 モルフォチョウ (展示番号174)
世界3大美蝶の最後はモルフォチョウだった。Morpho属は北はメキシコ南部から、南はアルゼンチン北部とウルグアイに至る広大な地域に分布し、その種数は80種に達するとされている。(ニューサイエンス社 グリーンブックス129 世界のモルフォチョウ 1985 岡野麿瑳郎・大蔵丈三郎 著) 展示されていたのはMorpho helenor peleides という。これらの蝶の翅の鮮やかな色は、小さい透明な鱗粉によって作り出されている。鱗粉に光が当たった時、光が散乱して我々が色として認識する干渉波が作られる。染料や顔料によって着色されたものは、たいてい時間とともに当時の色が劣化していくが、この構造色は色あせることがない。大英自然史博物館の科学者は、研究室でこのような特性の翅をもった蝶を飼育している。こういった構造色を再現することによって、もっと環境に優しい着色製品の開発につながることが期待されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f2.2 1/40秒 14mm ISO800 ) 露出補正 なし
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19.フォトスポット
約1時間ほどだったが、全部で181ある展示を見終えた。写真も撮った。出口近くでフォトスポットが設けられていた。大英自然史博物館の中にいるような記念写真が撮れるのだろう。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f4 1/50秒 9mm ISO125 ) 露出補正 なし
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20.学術文献
最後の部屋には、大英自然史博物館所蔵の学術文献の展示がされていた。左は「Catalogue of the Specemens in the British Museam」。大英自然史博物館の歴代の研究者たちが所蔵する標本等をまとめたカタログだ。現在では世界の博物館でデジタルデータベースとしてコレクションリストの公開が進められているが、当時のコレクションにかける労力は想像を絶するものである。右は、「Proceedings of the Zoologial Society of London」で、1826年創設のロンドン動物学会が1833年ころから出版していた学術雑誌で現在も「Journal of Zoology」として継続されている。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f4 1/200秒 9mm ISO12800 ) 露出補正 なし
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21.ブータンシボリアゲハ
前の写真の右側「Proceedings of the Zoologial Society of London」のページでブータンシボリアゲハが見られる。私は2012年3月に、東京農業大学の進化生物学研究所「食と農」の博物館で開催された、幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ展 を見た。2011年8月中旬に、日本蝶類学会の調査隊がブータン北東端のブラマプトラ川支流であるトラシャンツェ渓谷のごく狭い地域の森林で飛んでいるのを78年ぶりに確認したが、2011年11月に来日したブータンのワンチュク国王夫妻から、その調査隊員の勤め先である東大総合研究博物館と東京農大進化生物学研究所にそれぞれ1頭ずつ贈られたブータンシボリアゲハの雄の標本を、そのときに、そこで見ている。シボリアゲハの仲間は、ブータンシボリアゲハの他にウンナンシボリアゲハ、シナシボリアゲハ、シボリアゲハとあるが、この「Proceedings of the Zoologial Society of London」のは、まさしくブータンシボリアゲハのようだ。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f4 1/320秒 32mm ISO12800 ) 露出補正 なし
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22.大英自然史博物館展ミュージアムショップ
最後にミュージアムショップに立ち寄った。本展のガイドブックである「Treasures of the Natural World」を購入した。あと、記念にと大英自然史博物館のロゴと、ミイロタテハ、モルフォの画が付いたキーホルダーなど小物を数点買い求めた。今回、大英自然史博物館展では、Canon Powrrshot G7X で写真を撮った。ISOをautoにしてプログラムオートで撮ると、シャッタースピードが遅くなる時にISO感度は上がるが、1/20秒より遅くはならない。ただし、早めにISOを上げるような設定もできるので、そう設定するとISOはもっと上がり、早いシャッターが切れる。最後の2枚は間違えてISO12800に設定して撮ってしまった。やはり画像は粗れる。

Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
プログラムオートで撮影( f4.5 1/1250秒 9mm ISO12800 )露出補正 なし
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2012年3月18日

幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ展 3月4日


 3月4日、数日前に姪からのメールで知らされていた、世田谷の馬事公苑の近くにある東京農業大学の進化生物学研究所「食と農」の博物館で開催されている、幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ展を観てきた。
  昨年の10月30日にNHKスペシャルという番組で、「秘境ブータン幻のチョウを追う」というタイトルで、2011年8月中旬に、日本の調査隊により、78年ぶりに再発見され、飛来や産卵などの様子が初めてテレビカメラで撮影され5頭が捕獲された記録が放映された。
  ブータン政府は豊かな生態系を代表する蝶を保護していくためには、基礎的な研究が不可欠と考えているものの、国内にそうした専門家が乏しいことから、五十嵐邁氏をはじめとする日本の研究者の功績を認め、共同調査をすることになったとのことだ。五十嵐邁さんは2008年4月6日、胃癌により享年83歳で故人となられているが、2010年3月に田端のファーブル昆虫館で開催されていた「五十嵐邁コレクション展」でお目にかかった、五十嵐邁さんの奥様もこの調査隊の一員として参加されていた。
  そして、昨年11月に来日したブータンのワンチュク国王夫妻から、調査隊員の勤め先である東大総合研究博物館と東京農大進化生物学研究所にそれぞれブータンシボリアゲハの雄の標本が1頭ずつ贈られた。今回の幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ展は、その贈られた標本が展示されていた。

1.東京農業大学 進化生物学研究所「食と農」の博物館
幻の蝶「ヒマラヤの貴婦人」ブータンシボリアゲハ展の会場である、東京農業大学 進化生物学研究所「食と農」の博物館は、世田谷通りから馬事公苑の方へ入った右側にあった。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F5.6 1/125秒 24mm ISO400 ) 露出補正 なし
東京農業大学 進化生物学研究所「食と農」の博物館;クリックすると大きな写真になります
2.博物館入口
この左手が入口になる。マイカーで出掛けたが、駐車場はない。博物館の手前、世田谷通り側にコインパーキングがあったが、1時間ちょっと停めてコインでは済まなかった。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F6.3 1/125秒 17mm ISO400 ) 露出補正 なし
博物館入口;クリックすると大きな写真になります
3.ブータンシボリアゲハの展示
1階フロアの一角にブータンシボリアゲハの展示コーナーがあった。ワンチュク国王夫妻から送られた♂の標本、調査隊により撮られた写真、そして説明のパネル、およびブータンシボリアゲハの近縁種の標本が展示されていた。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F3.5 1/125秒 34mm ISO1800 ) 露出補正 なし
ブータンシボリアゲハの展示;クリックすると大きな写真になります
4.ブータンシボリアゲハ再発見経緯
ブータンのヒマラヤ山脈の標高約2,200m山腹で1933年にイギリス人により発見採取され、5頭の標本のみが大英自然史博物館で保存されたが、その後本種の記録は途絶え、「幻の大蝶・ヒマラヤの貴婦人」とも呼ばれていた。(国際自然保護連合(IUCN)により危急種の指定を受けている種である。)2009年ブータン森林保護官がトラシャンツェ渓谷で本種と思われる個体の撮影に成功したとの情報がもたらされた。そして、今回2011年8月、日本蝶類学会メンバー6人、日本人スタッフ3名、ブータン王国政府・農林省のメンバー5人で調査隊が結束され、以前と同じ場所で78年ぶりに再発見、5頭が捕獲された。この発見を受けてブータンシボリアゲハはブータンの国蝶に指定されたという。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F3.8 1/125秒 40mm ISO400 ) 露出補正 なし
ブータンシボリアゲハ再発見経緯;クリックすると大きな写真になります
5.ブータンシボリアゲハの標本 -1
ブータン王国から贈られた標本箱には"A GIFT FROM THE PEOPLE OF BHUTAN"と記されている。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F3.3 1/125秒 26mm ISO720 ) 露出補正 なし
ブータンシボリアゲハの標本 -1;クリックすると大きな写真になります
6.ブータンシボリアゲハの標本 -2
博物館に入館する際に、受付けで「撮影の可否」を伺った。フラッシュを使用しないこと、また、近接撮影を控えることとご注意があった。厚いアクリル板で保護されてはいるが、何せ貴重な標本である。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F4 1/125秒 50mm ISO1250 ) 露出補正 なし
ブータンシボリアゲハの標本 -2;クリックすると大きな写真になります
7.シボリアゲハの仲間 -1
シボリアゲハの仲間は、ブータンシボリアゲハ(Bhutanitis ludlowi )のほか、3種いる。その標本が展示されていた。この標本箱に入っているシボリアゲハの仲間のうち、左側3列と次の1頭の計13頭はシナシボリアゲハ(Bhutanitis thaidina)、右側の1列5頭はウンナンシボリアゲハ(Bhutanitis mansfieldi)と示されている。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F3.8 1/125秒 40mm ISO1250 ) 露出補正 なし
シボリアゲハの仲間 -1;クリックすると大きな写真になります
8.シボリアゲハの仲間 -2
別の標本箱には、もう1種のブータン産とインド産のシボリアゲハ(Bhutanitis lidderdalii )があった。この写真はインド産のシボリアゲハ。シボリアゲハの仲間は、ヒマラヤ山脈ブータン、アッサム、中国雲南省、四川省、陝西省からミャンマー、タイに生息するという。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F4.5 1/125秒 70mm ISO3200 ) 露出補正 なし
シボリアゲハの仲間 -2;クリックすると大きな写真になります
9.タイスアゲハ族
タイスアゲハ族というのは、アゲハ蝶科、ウスバシロチョウ亜科に含まれ、タイスアゲハ族は5属16種に分けられる。シボリアゲハ属はこのタイスアゲハ族の5属のうちの一つである。日本にはギフチョウ属のギフチョウ、ヒメギフチョウが生息する。隣国韓国に生息するホソオチョウ属、ヨーロッパ中部から中近東に生息するタイスアゲハ属、シロタイスアゲハ属のタイスアゲハ族の蝶はすべてユーラシア大陸南部温帯域に遺存的に分布し、原始的(祖先的)な形態をもっているといわれる。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F3.5 1/125秒 32mm ISO720 ) 露出補正 なし
タイスアゲハ族;クリックすると大きな写真になります
10.馬事公苑
ゆっくりとブータンシボリアゲハを鑑賞し、外に出た。眼の前に馬事公苑がある。馬事公苑には来たことがないのでちょっと見てみることにした。馬事公苑のホームページによると、馬事公苑は、人馬の馬術訓練、馬術競技会の開催、馬事に関する知識の向上などを目的として昭和15年に開苑されたとのこと。開苑当初から競馬の騎手養成を行い、昭和57年の競馬学校開設に至るまでその大きな役割を担ってきている。 また、昭和39年には、第18回オリンピック東京大会の馬場馬術競技会場となり我が国における馬術の拠点として世界の注目を集めることとなった。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G 絞り優先オートで撮影 ( F9 1/320秒 19mm ISO400 ) 露出補正 なし
馬事公苑;クリックすると大きな写真になります
11.馬術競技 -1
この日は関東学生新人戦が行われていた。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F6.3 1/640秒 62mm ISO400 ) 露出補正 なし
馬術競技 -1;クリックすると大きな写真になります
12.馬術競技 -2
もう1枚、これは女性の選手。帽子が格好よかった。

Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G
絞り優先オートで撮影 ( F6.3 1/640秒 70mm ISO400 ) 露出補正 なし
馬術競技 -2;クリックすると大きな写真になります