沖縄旅行 ⑤ 2025年1月3日 -1 平和記念公園とひめゆりの塔
1月3日 この日も雨こそ降ってはいないが、天候は芳しくない。
ホテルの14階にあるレストランで朝食をしていると、大型船が出入りする那覇港クルーズターミナルに、見たことがある客船が入港して来た。日本丸だった。
娘の主人がホテルの近くでレンタカーを予約してくれていた。娘が、沖縄に来たのだから平和祈念公園と、ひめゆりの塔を見ておきたいという。まず、南へ行って、沖縄本島の南端にある糸満市摩文仁の平和祈念公園へ行く。何回も沖縄へ来ていいるが、私も平和祈念公園や、ひめゆりの塔へ行くのは初めてだった。一路南へと走り、豊見城を通って糸満市に入る。10時少し過ぎに平和祈念公園に着いた。駐車場はガラガラだった。
沖縄県平和祈念堂に入る。高さ12m、幅約8mある大きな平和祈念像に迎えられた。広い堂内には、「平和の礎」刻銘者名簿が納められ、道内壁面には、西村計雄画伯制作の20点の連作絵画「戦争と平和」 (各300号という)が展示されていた。
平和祈念公園から車で10分足らずのところに、あの、ひめゆりの塔があった。ひめゆりの塔は、いわゆる塔ではなく慰霊碑だった。その時のことをいろいろと思い浮かべ、花を手向け、合掌した。
ひめゆりの塔から、今度は北に向かって走る。多分、高速道路だったと思うが4車線の道路を小1時間ほど走って、世界遺産に登録されている勝連城跡に、午後1時前に着いた。
今夜の宿泊地は、本島の中央部の西側に位置する中頭郡読谷村残波岬にあるリゾートホテルだ。
那覇港クルーズターミナルに入港する日本丸 2025年1月3日 沖縄県那覇市
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70.ゆいレール ラッピング車両 目が覚めてから、外が明るくなるまでなかなか間があり、ようやく明るくなっても所在ない。外を眺めると、昨日と同じようにゆいレールが走ってきた。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f4.5 1/1250秒 9mm ISO12800 ) |
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71.那覇港クルーズターミナルに入港する日本丸 8時20分ごろだったか、宿泊したホテルの14階にあるレストランで朝食をしていると、窓の外に大きな船が入港してくるのが見えた。商船三井の「日本丸」(1958年竣工 総トン数:10,770トン 全長:145m)という客船だ。調べてみると、1月3日 那覇 9: 00 着の「迎春クルーズ 〜蘇澳・基隆〜」と名付けられたクリーズで、暮の26日に横浜を出て、台湾、石垣島を周って、那覇に寄港し、同日17時に横浜に向け出港する。ここでやっと、ISO感度が12800に設定されたままになっていたのに気が付いた。お恥ずかしいエラーをしていた。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO500 ) |
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72.那覇港クルーズターミナルに着岸する日本丸 タグボートに押されるように入ってきた日本丸は、30分ほど経って見たときは、船首の向きを変えて着岸していた。時刻は8時50分。運行予定通りだ。今の時代、けして大きな客船とは言い難いが、なかなか優美な形をしていた。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO160 ) |
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73.ラッシュ時間のゆいレール 9階の部屋に戻って、今日は残波岬に宿泊するので、パッケージングをする。窓の外を見ると、いつもは2両編成だったゆいレールの3両編成が通過していった。通勤時間になったのだろう。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f2.5 1/1000秒 19mm ISO160 ) |
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74.見納めの那覇埠頭 ホテルの窓から何回も見た那覇埠頭には2隻の海洋保安庁の巡視船が停泊したままだった。東シナ海は何事もなかったのだろう。ディナークルーズ船のモビーディック号も昨夜の仕事を終え、手前の民間利用のふ頭に停泊していた。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO125 ) |
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75.フェリー高速運搬船 昨日、幅の狭い港で転回して、バックで那覇埠頭に入ってきた米海軍の高速運搬船は、フェリー開口部を岸に向けて停泊していた。
Canon PowerShot G7X 8.8-36.8mm f/1.8-2.8 20.2 Mega Pixels プログラムオートで撮影 ( f2.8 1/1000秒 37mm ISO200 ) |
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76.平和祈念公園 娘の主人が借りてきてくれたレンタカーでホテルを出発し、沖縄本島の南に向かって走り、沖縄戦終焉の地である糸満市摩文仁の丘、沖縄県営平和祈念公園に着いた。駐車場から進むと左に平和祈念堂があり、右にはこの広大な、式典広場が広がる。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f6 1/500秒 105mm ISO320 ) |
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77.平和祈念堂 石段を上がって、平和祈念堂の中に入る。沖縄平和祈念堂は昭和53年10月1日開堂した。正面には、高さ12m、幅約8mある大きな平和記念像が安置されている。道内壁面には、西村計雄画伯制作の20点の連作の絵画「戦争と平和」 (各300号という)が飾られていた。また、ここは昭和56年に、沖縄県内初の美術館(開館当時)として開館した。沖縄平和祈念堂の理念に賛同した日本洋画壇の第一線で活躍する画家から寄贈された大作が展示されている。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.5 1/500秒 18mm ISO6400 ) |
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78.平和記念像 公益財団法人沖縄協会のホームページによれば、平和祈念像は、仏像と趣を異にしている。仏像は来世を象徴し、台座には蓮の花を配するのが通例とされるが、平和祈念像の場合は、山田真山画伯の壮大な宇宙観を反映し、台座に想像上の花や蛟竜を配している。この台座の火炎は地球のマグマを表し、その上に配置されている6つの花弁は人類が日常生活を営んでいる6つの大陸を意味している。このように平和祈念像には宇宙の中にあって人類の調和と地上の平和を静かに祈念する純一無雑な人類の理想像が表現されている。山田真山画伯の説明によると「平和の心象を人間像を媒体にして具現すると、日本人の感覚としては必然的にこのような形になった」とのことだそうだ。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.5 1/500秒 18mm ISO6400 ) |
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79.平和記念像の原型 平和祈念像の「原型」は、宜野湾市普天間に在住していた偉大な芸術家(故)山田真山画伯(1885~1977)によって自身の戦争経験から世界平和の祈りを込め、18年の歳月をかけ、宜野湾で制作された。宗教や思想、政治や人種、あるいは国を超えてすべての人が戦没者の慰霊と 平和の一点に力を合わせていこうということを10本の指を合わせた合掌の形に表現されているのだそうだ。この平和祈念像の原型は、漆を使って立体的な文様を施すための加飾技法である琉球漆喰という技法を立体に応用した「立体堆錦」で制作された。山田真山画伯はここ摩文仁の平和祈念堂に平和祈念像を安置する前年(昭和52年)に亡くなられたが、山田真山画伯に師事した糸数政次博士(のちに沖縄県立芸術大学美術工芸学部教授)により、宜野湾で石膏でかたどりして、昭和53年に平和祈念堂で制作、安置された。 原形のほうは、誰の目にも触れられないまま宜野湾市普天間のアトリエ(工房)に保管されていた。そして、いま、完成してから約50年が経過し、ひび割れや剥落があり、劣化が進んでいるその原型を修復しようというプロジェクトが宜野湾市で立ち上げられているそうだ。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f4 1/500秒 32mm ISO6400 ) |
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80.「回想する守護神」 平和祈念堂の玄関を入って、平和祈念像が安置されている広い会堂に入る手前にある部屋の壁面にも何点かの絵画が展示されていたが、中でもこの絵は私を惹きつけた。作者は大正元年那覇市生まれ。沖縄師範学校卒で、二科展にも入選され、平成6年に亡くなられた大嶽政敏さんという方だった、この絵は1979年に製作された代表作だという。制作意図は「沖縄戦で亡くなられた多くの人たちのご冥福を祈りながら描き続けました。」と。平和祈念堂での絵葉書の売れ行きはナンバー・ワンだそうだ。「大嶺政敏作品集」(1996年、(有)ぷろじぇくとT&R発行)の解説には、画面には沖縄のシーサーを中央に配置し、これを拝む老婆の向こうから、戦場を逃げまわる人々の姿が描き出され、背後の空は戦場の燃えさかる炎と人々の怨情や嘆き、悲しみなどを包含して赤黒く塗り込められていると記されているそうだ。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.8 1/160秒 27mm ISO6400 ) |
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81.「少年」像 平和祈念堂の入り口へ上がる石段の左側に、彫刻家 佐藤忠良氏制作の「少年」のブロンズ像が立っていた。公益財団法人沖縄協会のホームページに、昭和54年、沖縄平和祈念堂北側の整備を進めていた時、森の中にあるガジュマルの根元から、学徒兵と思われる遺骨と朽ち果てた小さな軍靴、さびた手榴弾3発が発見された。この発見と沖縄の本土復帰10周年を機に、沖縄戦で散った前途ある少年たちの死を悼み慰め、平和の礎とするため、像の建設が進められ、昭和58年、ここに高さ1.6mのブロンズ立像、「少年」の像が設置されたとの解説があった。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f8 1/500秒 18mm ISO100 ) |
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82.沖縄平和祈念資料館 ひめゆりの塔へも行って見たいので、立ち寄るのを割愛したが、沖縄県平和祈念資料館は戦争の犠牲になった多くの霊を弔い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、全世界の人びとに沖縄のこころを訴え、もって恒久平和の樹立に寄与するため設立された立派な建物があった。常設展示室には、「住民の視点で捉えた沖縄戦」を展示理念とし<沖縄戦への道><鉄の暴風><地獄の戦場><沖縄戦の証言><太平洋の要石>の5つのテーマからなる資料が展示されているそうだ。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f5.6 1/500秒 69mm ISO100 ) |
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83.ひめゆりの塔 10分ほど車で移動して、ひめゆりの塔に着いた。ひめゆりの塔は沖縄戦末期に沖縄陸軍病院第三外科が置かれた壕の跡に立つ慰霊碑である。1946年4月7日除幕された。いわゆる塔を思い浮かべていたが、この慰霊碑のことだった。花を捧げた。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.5 1/500秒 18mm ISO160 ) |
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84.沖縄陸軍病院第三外科が置かれた壕の跡 wikipediaによれば、職員を含むひめゆり学徒隊240名中、死亡者は生徒123名、職員13名であるが、このうち解散命令以後に死亡したのは117名で全体の86%にものぼり、さらに判明しているだけでも全体の35%にあたる47名が第三外科壕に攻撃があった6月19日に亡くなっている。ひめゆり学徒隊とは、1945年3月末、看護要員として沖縄陸軍病院に動員された沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒222名と引率教師18名のこと。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f4 1/500秒 32mm ISO1100 ) |
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85.ひめゆり平和祈念資料館 ひめゆりの塔から奥に進んだところに、ひめゆり平和祈念資料館があった。ひめゆり学徒の遺品、写真、生存者の証言映像、南風原の陸軍病院壕の一部や伊原第三外科壕内部を再現したジオラマなどを見ることができるそうだが、中には入らなかった。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.8 1/500秒 23mm ISO140 ) |
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86.ベンガルヤハズカズラ ひめゆり平和祈念資料館の入口近くに、見たことのない美しい花が咲いていた。インドのベンガル地方〜東南アジア原産で、日本では南西諸島などで稀に野生化しているという、キツネノマゴ科ヤハズカズラ属の常緑つる性の植物であった。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f5 1/500秒 63mm ISO360 ) |
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87.リュウキュウヒガンザクラ(琉球彼岸桜) カンヒザクラが、枯れた木に一輪咲いていた。リュウキュウヒガンザクラという札が掛かっていた。リュウキュウヒガンザクラは、沖縄で栽培されているカンヒザクラの一品種で、リュウキュウカンヒザクラとも呼ばれるそうだ。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f6.3 1/500秒 140mm ISO900 ) |
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88.ガジュマル 資料館の左側に大きなガジュマルの木があった。戦後に植えられたそうだが、高さは10mくらいになっていると思えた。wikipediaによれば、台湾、中国南部沿岸、東南アジア、インド、オーストラリアの熱帯から亜熱帯地域に分布するが、日本では屋久島と種子島以南、主に南西諸島などに分布する。沖縄県ではガジュマルはあちこちで見られる。幹は多数分岐して繁茂し、囲から褐色の気根を地面に向けて多く垂らす。垂れ下がった気根は、徐々に土台や自分の幹に複雑にからみつき派手な姿になっていく。11時20分、ひめゆりの塔をあとに海中道路に向かった。
Nikon Z50 NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR プログラムオートで撮影 ( f3.5 1/500秒 18mm ISO125 ) |