2018年12月アーカイブ: Masablog

2018年12月14日

日々逍遙「阪急西宮ガーデンズ、京都府立植物園」

 【2018年11月21日(水)】

 散歩がてら、阪急西宮ガーデンズ4階のスカイガーデンへ。
 東入口から入ると、円形花壇の内側に、小さなスイレンの花のようなものが咲きそろっている。スマホ・アプリの「花しらべ」で調べると、スイセン・ペパーホワイトと出た。このアプリ、時にはとんでもない答えを出してくれるが、多分当たりだろう。後日、同じガーデンで、副花冠が黄色いおなじみの日本スイセンも咲いていた。

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 秋明菊とならんで、黄色い石蕗(つわぶき)の花も咲き出している。石蕗は、冬の季語。周りが急に"冬めいて"みえた。

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 ここには、オリーブの木が約20本も植わっている。太くなったどの木々にも実が鈴なり。西宮阪急は、10年まえに開店したばかりだが、見事に育ったものだ。

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 帰り道、県立芸術文化センターの黄色く色づいたケヤキの木の下で、若い女性が楽譜を置いてハーモニカの練習をしていた。楽譜を見ながら、ハーモニカというもちょっと不思議。楽器のトーンも高く、澄んだ音がする。ひょっとすると、違う楽器?芸文センターの楽団員?
 ブログ管理者のn.shuheiさんによると、このハーモニカはクロマチックハーモニカという半音階が出せる楽器らしい。南里沙さんという神戸女学院を出た奏者が有名という。

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 途中の菓子店で買ったミルフイーユの中身が、これまでの梨から苺に代わっていた。「これから、当面は苺。国産が入るようになったので」と店主夫人。果物も冬の季節である。

 【2018年11月23日(金)】

 毎年、桜と紅葉の季節には、京都府立植物園に行くことにしている。シーズンでも観光客に邪魔されない秘密のスポットだと、ある京都人に教えてもらった。それに、70歳以上は入場無料である。

 隣接するピザ・パスタ店でゆっくりしすぎて、園に入った時には、午後の曇り日になってしまった。紅葉への映えはどうかと思ったが、まーまー。

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 桜林のなかで、小枝に咲く冬桜、四季桜を見つけた。紅葉を背景に、白い小さな花を咲かせている。冬桜は1月の季語。四季桜は、ヒガンザクラの一品種で、別名・十月桜。西宮市の北山緑化植物園の芝生にもけっこう大きな十月桜が植わっている。
 11月の季語である帰り花(返り花)は、これらの桜を言うのだろうか。
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 おなじみのイチョウの黄葉、冬の季語でもある花八つ手、秋バラ、まだ咲き誇っていたコスモス、夏の名残の赤いカンナと、植物園に咲く花の季節は幅広い。

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 北山門に帰る右側に大きくそびえるレバノンスギ、オオカナメモチなどの針葉樹林には、いつもほっと息をつく深淵さを感じる。
 左側の600本もあるというつばき園は、いつも見る花の時期を逃してしまう。

2018年12月 4日

紅葉紀行「栃木・那須高原、福島・西郷、南会津、白河」

今年は、東北の紅葉を訪ねてみようかと、ANAで期限が切れかけていたマイレージで福島までの飛行機を確保した。



 【2018年11月3日(土)】

 同行の友人Mの仕事の都合で、前日に福島空港に着いたのが午後5時前。迎えの車で宿に着いたらすっかり日が暮れていた。さっそく飛び込んだ露天風呂はさらさらとした単純硫黄泉。西宮では望みようもない満点の星が迎えてくれた。

 午前10時、観光タクシーで甲子(かし)高原を東上、紅葉の名所、雪割橋へ。

 50メートルはあるという深い阿武隈渓谷にかけられており、足がすくむ。対岸の紅葉撮影もそこそこに、橋のできるだけ真ん中を急いで渡りきって息をついた。
 対岸の由井ヶ原を開拓するため、最初は吊り梯子で荷物を上げ下げし、昭和21年に吊り橋になった。今でも、普通車がやっと離合できる鉄橋だが、すぐ横でアーチ型の大型橋の工事が進んでいる。近くの陸上自衛隊演習場への輸送のために、かなりの補助金が出たらしい。

 しかし、その開拓地も離農が進み、近くの展望所から見ると放置された農地や、牧場施設が目立つ。展望所に駐車したワゴン車で農家の夫婦が手作りのアケビのつるで編んだかごを売っていた。1万円と聞いて手がでなかったが、車の横に置かれたガマズミの赤い実を写真に撮らせてもらった。
 橋を渡ったところにあった売店で、紅葉したハゼの苗木を買った。こちらは600円。「4メートルほどにはなりますよ」。本当?

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 甲子道路を左折、県道290号線(那須甲子道路)へ。那須連山の山並みを右に見ながら、どんどん高度を上げていく。那須岳、朝日岳などの那須連山はほとんど落葉しているのに、左側の高原は紅葉まっさかり。そこへ、那須連山から吹き下ろす風が木の葉を散らし、落ち葉を舞い上げる。際だった風土の差がここの特色らしい。
 「いい時期に来ましたね」。タクシーの運転手が何度も言った。

 冬めける山はにび色里は黄み


 那須平成の森に着いた。宿から1時間20分ほどかかっている。福島から隣の栃木県に入っている。ここは、皇室の那須御用邸の約半分、560ヘクタールが環境庁の所管になって一般に開放され、2011年に開園された。

 入り口のフイールドセンター以外は、森のなかにトイレもなく、ブナ、ミズナラ、クマシデ、ホオノキなどの広葉樹が自然のまま残されている。そのほとんどは、ほぼ落葉を終えていたが、この森の特色は、カエデ類の多いこと。赤いイロハモミジ、ハウチワカエデ、コミネカエデ、黄色のエンコウカエデ、カジカエデ、ヒトツカエデが枯木と落葉に色を添えている。

   メインの道は、石ころがゴロゴロして歩きにくかったが、少し脇の回遊道路に入ると、落葉の踏み心地がしっとりと心地よい。途中のゲートに釣ってあったツキノワグマ避けの鐘を鳴らしてみる。
 道のわきの倒木を削って、小さな虫眼鏡でのぞき込んでいる若い2人連れがいた。アメーバーのように繁殖して微生物を食べる粘菌(変形菌)を調べている、という。自然の森の奥深さをかいま見た。

 落葉降り森は空へと浮かぶよう


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 甲子道路に戻り、南会津の塔のへつりへ。へつりとは、浸食と風化でできた断崖のこと。山かんむりに弗みたいな難しい字を書く。切り立った崖に生えた木々が見事に紅葉している。国の天然記念物だそうだ。

 へつりの上の駐車場にある売店で、きのこがたっぷり入ったみそ汁と喜多方ラーメンをただで食べさせてくれる。木のテーブルに置いてあるきのこのつくだ煮や煮豆も無料。どう採算を合わすのか。不思議な"会津商法"である。

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 宿に帰る途中の甲子温泉の紅葉も見頃だった。冬も営業しているが、街道からの下り道が急なのでタクシーが来れず歩かなければならないらしい。2泊目はこの温泉でと思っていたのだが、今回は断念した。

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    【2018年11月4日(日)】

 正午のチェックアウトまで温泉などを楽しみ、近くの白河市・南湖公園に出かけた。
 江戸時代の白川藩主で老中だった松平定信が、庶民とともに楽しむ「士民共楽」の思想で作った日本最古の公園という。国の史跡・名勝に指定されている。

 だんごが名物の茶屋の近くに、回遊式の日本庭園、翠楽苑がある。落葉が目立った平成の森などに比べて平地にあるため、まさに紅葉まっさかり。
 入口の門扉にかけられたツルウメモドキのリースや園内の茶室玄関にある秋の収穫を盛り込んだオブジェが心を和ませる。

 散りてなほ苔を染めゆく紅葉かな


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 福島空港には国際チャーター便が飛んでおり、園内は台湾の団体ツアー客でにぎわっていた。四阿で休んでいた夫婦と思われる中年の2人に話しかけてみた。台湾にも紅葉の名所はあるそうだが、日本の庭園と紅葉は「很漂亮(とても美しい)」と。

 紅葉に誘われて忘れそうになったが、白河市は東北大震災・原発事故の被災地でもある。公園の入り口に、放射線量を示す看板があった。

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 タクシーの運転手は、がけ崩れで20歳前後の姉妹や老人ホームの人たちなど十数人が死亡、他県に移住した子供たちがいじめにあったと話す。

 白川市の震災にふれたホームページによると、農産物などへの風評被害はいまだに消えないらしい。

 鎮魂の土地よ静まれつわの花




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