2008年11月アーカイブ: Masablog

2008年11月22日

読書日記「ぼけになりやすい人、なりにくい人」(大友英一著、栄光出版社)


 ガンで死ぬのか、その前にボケるのか?「ボケたら勝ちやで。自分は分からないから」なんて、無責任なことを言う友人もいるが、やはりいろんな人たちに迷惑をかけてしまう。

 そんなことを考えていたら、新聞広告でこの本が目についた。さっそく図書館に申し込んだが、借りられるまで数カ月かかった。そんな心配?をしている人の来館比率が高いということだろうか。

 著者は、浴風会病院という、東京にある老年者専門病院の院長。平成11年発刊と、けっこう古い本だった。

 裏表紙に「大友式ぼけ予測テスト10問」という表が載っている。さっそく、試してみる。
  1. 同じ話を無意識にくり返す(0点=ほとんどない)
  2. 知っている人の名前が思い出せない(2点=ひんぱんにある)
  3. 物のしまい場所を忘れる(1点=ときどきある)
  4. 漢字を忘れる(1点、これはパソコンを使うせいでもある)
  5. 今、しょうとしていることを忘れる(1点)
  6. 器具の説明書を読むのを面倒がる(1点)
  7. 理由もないのに気がふさぐ(0点)
  8. 身だしなみに無関心(0点)
  9. 外出をおっくうがる(0点)
  10. 物(財布など)が見当たらないことを他人のせいにする(0点)

合計6点。本文には「0~8点・正常、9~13点・要注意、14~20点・ボケの始まり?」とある。ぎりぎりセーフだが、もう"要注意"に足を突っ込んでいるようで、いささかショックを受けた。自己採点は甘くなりかねない、という友人もいる。

 ある出版社の社長が、谷川徹三、西堀栄三郎、宇野千代、淡谷のり子などにインタビューし、共通項目をまとめたという「生涯現役の10項目」というのも、おもしろい。
  1. 自ら老けこまず、いつまでも壮年の気概を持っている
  2. 血圧はほとんど正常で、180以上の人は一人もいない
  3. 無頓着で、自分の血液型を知らない人が10人近くいた
  4. 太りすぎの人は一人もいない
  5. 例外もあるが、両親も比較的長命
  6. 大部分の人が大病の経験がない
  7. タバコはほとんどの人が吸わない
  8. 深酒する人は一人もいない。10人以上の人が飲まない
  9. 二、三の例外はあるが、なんらかの運動を心掛けている
  10. ほとんどの人が筆マメである

 深酒をする人は脳血管性痴呆(脳卒中などの後に出るぼけ)になる確率が高いらしい、という箇所が気になる。

 含まれているコレストロール量が多く、"ぼけ防止"のためには「好ましくない食品群」という表も記載されている。

 鶏卵、バター、すじこ、しじみ、鶏のもつ、チョコレート、チーズ、生クリーム、ベーコン、ししゃも、うなぎ、ねりうに、マヨネーズ・・・。

 これだと、日々の食事も、月1回行っている料理教室のメニューも落第、ということになる。先日のブログで書いた「菜菜(なな)ごはん」  のようなレシピが正解ということか。だけど、これらの食品を使わないと「人生、なにか味気ないなあ」という感じがしないでもない。

 著述業、画家、作曲家などクリエート(創作、表現)する職業の人は{一般的にぼけが少ない}とある。その代表は、オーケストラの指揮者。レポルド・ストコフスキーは95歳まで生きた、という。

 「出生時の母親の年令が高いと、アルツハイマー病が出やすい」という記述や、アルミニウムとアルツハイマー病の関係にふれた箇所など、興味を引く話しも多く、流し読みだったが結構おもしろかった。

 結局、飲酒、食事、運動に気を配り、前向きに生きてみる。それが「最善のぼけ防止策」。そんな平凡な読後感になってしまったが・・・。

ぼけになりやすい人、なりにくい人
大友 英一
栄光出版社
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5 ぼけを防ぐため今から実行できること


2008年11月18日

蓼科・紅葉紀行(2008・11・1~3)



 紅葉を訪ねて、11月の初めに信州・蓼科に出かけた。

 昨年7月には、蓼科にある友人・I君の山荘を訪ねたが、今回は友人Mが加入している「エクシブ蓼科」というリゾートクラブに同行させてもらった。

 午後に大阪を出たので、中央線・茅野駅着が午後5:30。すっかり暗くなって、なにも見えない。翌朝、部屋から見えるカラマツ林の黄葉と葉を少し残した白樺、窓から流れこむ冷気が、やっと信州を感じさせてくれた。

 タクシーで横谷渓谷の入り口、横谷観音へ。

 ここは、昨年の夏、I君の別荘を辞した後、若い時によく歩いた八ヶ岳を見たくて泊まった奥蓼科温泉の近く。ここから八ヶ岳・縞枯山ロープウエイまでのバスに乗ったが、雨だった昨年とは大違い。紅葉狩りの観光客でけっこうにぎわっている。

クリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になります タクシーの運転手さんは「1週間遅かったね。先週は、それはきれいだった」と言ったが、観音入口まで道路にある紅葉(写真①)は、けっこうな色合いだ。

 運転手さんに勧められて、世界の樹木の化石などを集めた「柏木博物館」をのぞいた(運転手さんが受付の人に声をかけてくれ、入場料が100円安くなった)。埋れ木に浸みこんだ溶岩の鉱物が創り出す不思議な文様はいつまで見ていてもあきない。入口前にあるドウダンツツジの生垣も見事だ(写真②)。

クリックすると大きな写真になります  横谷観音展望台に下った。雲ひとつない快晴の空の向こうに、すでに冠雪したアルプスの山々がくっきりと望める。(写真③)
 右から北アルプス。学生時代に友人Sと新雪を踏んで登った西穂高。その奥に槍ヶ岳。中央アルプス・御岳山では、ご来光を仰いだ後に、うとうとしてしまって紫外線を浴びすぎ、翌日、顔の皮がすっかりむけてしまったことを思い出す。左に見える南アルプス・北岳は、腰痛で途中断念した忘れられない山だ。

クリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になります 展望台からけっこうきつい下り坂をゆっくりと30分。王滝(写真④)で一休み。朝食の残りのパンにジャムをはさみ、携帯燃料で沸かしたお湯でいれた紅茶にアイル島のシングルモルトをちょっぴりたらす。 確かに紅葉のピークは過ぎているようにみえるが、赤や黄色、茶色のコラボレーションはけっこう楽しめる。1時間半ほど下った乙女滝(写真⑤)付近の紅葉は、これからという感じ。




クリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になります 元気いっぱいの友人Mに引きずられて、蓼科湖までさらに2時間弱、イチョウの黄色や周辺の山々の紅葉(写真⑥)をめでながら歩いた。蓼科湖で紅葉の群落をたっぷり楽しみ(写真⑦)、湖畔の蕎麦屋でざるそばと熱燗。



 翌朝は、タクシーで、尖石(とがりいし)縄文考古館に向かう。

クリックすると大きな写真になります 途中、運転手さんに「東山魁夷が描いた池を見に行かないか」と誘われた。湖畔に白い馬がたたずむ、あの絵「緑響く」だ。奥蓼科温泉方向へ左折して10分前後。御射鹿池は農業用のため池だが、カラマツ林のすぐそばに作られたためだろう。黄葉の林を水面に映しだしている(写真⑧-2)。タクシー代で3000円前後のぜいたくな寄り道。

 途中、南八ヶ岳の山々が見事に望める。山麓のオーレン小屋を起点に、横岳、赤岳、硫黄岳をよく歩いたものだ。硫黄岳のガレ場に群生していた高山植物の女王、コマクサの見事さを思い出す。同じ高山植物のセリバオーレンから名づけられたオーレン小屋は、今でも健在だという。もう、山頂に立つのが難しいだろうが、別棟の風呂小屋もまだあるのだろうか。

 横谷渓谷の下流にかかる橋を渡る。見事なカラマツの黄葉だ。なぜか、このあたりはカラマツが多い。八ヶ岳山麓あたりは唐檜(とうひ)の原生林?が多かったが。

 運転手さんによると、これらのカラマツ林は明治時代から戦後にかけて、このあたりに開拓に入った人々が植林したのだという。「成長は早いが、使い道が少ない。チップにしてしまうしか・・・」

 しかし、たまたま読んだ宮崎駿監督の「折り返し点」のなかに「カラマツは役に立つんです」と話す講演記録が載っている。「電信柱や炭鉱の坑木として、カラマツはお金になると言われて、いま八ヶ岳南麓を占める森になったのです。・・・長野オリンピックではカラマツの集成材を使ったスケートリンクが話題になりましたが、集成材にすれば巨大な建物も全部木造で造れます」

クリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になりますクリックすると大きな写真になります 尖石(とがりいし)縄文考古館は、昨年夏にI君に連れていってもらったが、もう一度、あの国宝の土偶「縄文のヴィーナス」(写真⑨)を見たくなった。

 切れ長の目の顔に続く、デフォルメされたおなかや尻の見事さに、縄文文化の奥深さを思う。重要文化財の土偶「仮面の女神」(写真⑩)は、死の霊から守るために仮面をかぶっているという。その後に続く日本人の死生観の原点をみる思いがする。

 考古館周辺は、尖石遺跡や与助尾根遺跡の住居などが整備された史跡公園(写真⑪)になっている。

 広い緑の芝生や林の落ち葉を踏みしめて歩きながら、縄文文化の素朴な豊かさに思いをはせた。

2008年11月11日

読書日記「菜菜ごはん」「ますます菜菜ごはん」(カノウユミコ著、柴田書店)


 3年前に女房を亡くしてから月に1回だが、料理教室に通いだした。

 レシピ、特に調味料のさじ加減を間違わないとしっかり、ちゃんとしたものができる。ちょっと料理がおもしろくなってきた。しかし先月、ハンバーグの付け合わせに作った「人参のグラッセ(人参の砂糖、バター煮)」には、いささか辟易した。もっと素朴な野菜料理が食べたくなる年齢なのに。

 ニューヨークに野菜料理の勉強に行っている次女が先日、一時帰国。紹介してくれた数冊の本の一つがこれ。「菜菜」は「なな」と読むのだそうだ。

 二女は外では肉や魚を食べることはあっても、作る料理は野菜が基本(ブログ「ニューヨークベジ生活」だそうだが、この本も「野菜・豆etc・すべて植物素材でつくる満足レシピ集」とある。それでも、本棚にあるいささか精進料理くさい「粗食のすすめ」(幕内秀夫著、東洋経済新報社)のレシピ集(春夏秋冬ごとに4冊)より、魅力的な料理が並んでいる。

  • キャベツの豆腐ソースグラタン
      キャベツとマッシュルーム、長ねぎを炒め、塩で下味。ミキサーにかけたリーブ油、レモン汁のソースをかけ、パン粉をふってオーブンで焼く
  • 大根の塩味グリル
      オリーブ油と塩をまぶした大根の表面ににんにくをのせ、天板をはさんでオーブンで焼く
  • 大豆のパエリア
  • 油揚げの焼き豚風
  • アスパラとエリンギの酒かすソースグラタン
  • セロリの葉と納豆のチャーハン
  • 万能ねぎのとろろ焼き
  • もやしのベトナム風お好み焼き


 カラー写真の出来もよいのだろう。見るからにおいしそうなのがいい。レシピが簡単で、ちょっと作ってみたくなるのもいい。
 この2冊。芦屋市立図書館に申し込んだら、最初の「菜菜ごはん」は三田市立図書館がから回ってきて、後の「ますます菜菜ごはん」だけ芦屋の図書館にあった。それだけ、借りられるまで時間がかかった。よく分からない仕組みだ。

最近、読んだ本
    •   「ボックス」(百田尚樹著、太田出版)  
      この著者の本を、このブログに書くのは「永遠の〇」「聖夜の贈り物」に続いて3冊目だが、いささか拙速感が・・・。
       高校ボクシング部を取り上げた青春小説だが、ストーリーの盛り上がりは、もう一つ。表題の「ボックス」というのは「レフエリーの"戦え"という合図」という説明から始まって、ボクシングのテクニックの紹介に多くのページが割かれる。
       「エピローグ」で、ボクシンブの顧問でこの小説の語り部役だった女性教師がつぶやく。
      ――その時、誰もいないリングに風が吹いたような気がした。・・・『あの子は・・・風みたいな子やった』

       そう、そんなさわやかさはたっぷり味わえる。
       文中に「英和辞書で『science』を引くと『ボクシングの攻防技術』と書かれていた」という記述がある。これは、知りませんでした。私の電子辞書には載っていなかったけれど。


    •   「詩のこころを読む」(茨木のり子著、岩波ジュニア新書)
        スタジオ・ジブリのプロデューサである鈴木敏夫氏が著書「仕事道楽」のなかで「宮崎駿監督に勧められた」と書いている本。
       茨木のり子という詩人は気になる作家だったが、当方は根っからの散文的人間。昔から、詩というものがサッパリ分からずにきた。読んでみたが、やはり詩が分からないことを再認識した。
       ただ、引用された詩への茨木のり子の静ひつさに満ちたコメントが分かりやすい。「詩というのも、いいものだな」。ちょっと、そう思えた。


    •   「折り返し点 1997~2008」(宮崎駿著、岩波書店)
       「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」から、最新作「崖の上のポニョ」完成までの、企画書、エッセイ、インタビューなどを収録したもの。「仕事道楽」と一緒に借り入れの申し込みをしたのが、やっと手元に届いた。
       同時に何冊かを借り、返却期限が迫ったので、500ページのほとんどを読めなかった。そのなかで、2001年の「千と千尋の神隠し」の記述から、気になった箇所をいくつか。
       かこわれ、守られ、遠ざけられて、生きることがぼんやりしか感じられない日常のなかで、子供達はひよわな自我を肥大化させるしかない。千尋のヒョロヒョロの手足や、簡単にはおもしろがりませんよウというぶちゃまくれの表情はその象徴なのだ。けれども、現実がくっきりし、抜きさしならない関係の中で危機に直面した時、本人も気づかなかった適応力や忍耐力が湧き出し。果断な判断力や行動力を発揮する生命を自分がかかえていることに気づくはずだ

        『現実を直視しろ、直視しろ』ってやたらに言うけれども、現実を直視したら自信をなくしてしまう人間が、とりあえずそこで主人公になれる空間を持つっていうことがフアンタジーのだと思うんです

         ――両親をなぜ豚に変えてしまったのですか
       千尋が主人公になるために邪魔だったからです。『はやくしなさい』の連呼とかフレンドリーにご機嫌をとる両親の下では、子供は自分の力を発揮できません

       ――豚になった千尋の両親たちは、自分が豚になっていたことを覚えているのでしょうか
       覚えてないですよ。不景気だ、エサ箱が足りないって今もわめきつづけているじゃないですか


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    (追記)
    読書日記「菜菜おつまみ②」(カノウユミコ著、柴田書店)=2011年6月17日
     先日、JR芦屋駅前の市立図書館大原分室に行ったら、返却棚でこの本を見つけ"衝動借り"してしまった。

     「菜菜ごはん」を買ったのがもう2年半も前だったのに改めて驚いたが、この「おつまみ」編にも、魅力的野菜料理が並んでいる。

     例えば、半分に切って焼いた米ナスに、とろろとオリーブ油、レモン汁、ネギの小口切りを合わせたソースをたっぷりかけた「焼き米ナスのねぎとろろがけ」。「マーボかぼちゃ」に「焼きごぼうのみそ添え」「いんげんの塩蒸し」・・・。

     蒸したブロッコリーに、充填豆腐などのソースを合わせて「ブロッコリーのベジマヨネーズサラダ」は、昨夜のビーフシチューのすばらしいわき役となった。

     最近、干し野菜にいささかこっているので「きゅうりの天日干し、カレー炒め」は、プランターのきゅうりがそろそろ食べごろなので、さっそく試してみよう。
     簡単なピクルス、漬物類に挑戦してみるのも楽しみだ。



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