読書日記「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家 木村明則の記録」(石川拓治著、NHK『プロフェッシャル仕事の流儀』制作班監修、幻冬舎刊)
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
posted with amazlet at 09.04.12
石川 拓治 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
幻冬舎
売り上げランキング: 17
幻冬舎
売り上げランキング: 17
おすすめ度の平均:
あきらめない心。木村さんを信じてついていったご家族もすごいです
1個のリンゴが未来をつくる
このリンゴを、ご賞味あれ!
魂がゆさぶられる1冊
図書館に借り入れ申し込みをして数か月。その間も続くおおげさな新聞広告にいささかへきえきしていたが、やっと借りることができた。予想外におもしろく、一気に読んでしまった。
現在我々が食べているリンゴは、農薬を使うことを前提に改良された品種で、農薬の助けなしには病害虫と戦うことのできない極めて弱い植物であるという。この本は、そのリンゴを無農薬で育てるという「世迷いごとに狂ってしまった」一リンゴ栽培家の30年近くの苦闘の歴史を綴っている。
養子である木村さんが無農薬に関心を持ったのは、妻の美代子さんが農薬に敏感な体質だったのがきっかけだった。農薬散布のたびに、1週間も寝込んでしまう。
そして1冊の本に出会う。自然農法の創始者と言われる故・福岡正信の「自然農法わら一本の革命」という本だった。
私も貸し農園で野菜作りにこっていた頃、この本を夢中になって読んだものだ。福岡正信が提唱する自然農法は「耕さない、無肥料、無農薬、無除草」が原則。米を収穫して稲わらはそのまま畑に置いて雑草が生えるのを防ぎ、次に麦籾を稲わらの上に蒔いてしまう。麦が終われば、そのわらの上に稲籾・・・。
そのまねをするズボラ農法?で、夏に背丈ほども伸びた雑草の間にできたスイカやニガウリをびっくりするほどたくさん収穫した。
様々な種子の種を混ぜ込んだ粘土団子を荒野に播いて緑化するという提案を実践している大分県の医師に会ったこともある。
話しがそれた。
まだ20代だった木村は、収穫までの約半年に13回前後も行っていた農薬散布を一切、やめてしまう。
リンゴの木は惨憺たる状況になる。斑点落葉病が猛威をふるい、ものすごい数の害虫が発生する。
何年たっても、リンゴは花をつけない。一家の生活は困窮した。東京へ出稼ぎに出て、食いつないだ。リンゴの木は衰弱し、枯れかけていた。
自殺をしようと山に登った。輝くように葉を茂らせてドングリの木を見つけた。その木の下は雑草が生え放題なのに、土は足が沈むほど柔らかだった。
畑の土の改良にかけた。それから数年。800本あったリンゴの木の半分近くが枯れたが、その1本に7つの花が咲き、うち2つが小さな実をつけた。
9年後、畑一面にリンゴの白い花が咲いた。
できた小さなリンゴを弘前駅前に並べ1個60円で売った。「あんなおいしいリンゴは食べたことがない」。その時の客から手紙が届いた。
木村さんが育てたリンゴは腐らないという。よい香りを出しながら少しづつ干からびていくらしい。
木村さんは今、リンゴ栽培のかたわら、国内外を飛び回って、講演や農業指導を続けている。著書に「自然栽培ひとすじに」がある。
木村 秋則
創森社
売り上げランキング: 909
創森社
売り上げランキング: 909
おすすめ度の平均:
こんな農家さんがいる日本ってすごいたいへん参考になりました
奇跡のリンゴのサブテキストに
偉業が伝わりにくい
とても、面白かったです。
コメントする
(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)