読書日記「そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生」(横石知二著、ソフトバンククリエイティブ刊)
そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
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おすすめ度の平均:
「産業福祉」に、爽快な響きがしました。上勝町のストーリーは世界に通じるコンテンツ
老人たちが年収千万円単位の大成功した秘密が判る本でした
日本の田舎は馬鹿にしちゃイケマセン!
自慢だけど事例はすごい
2007年9月発行で、けっこう話題になった本だ。定年後、ベンチャー企業支援のボランティアをしていたころに人に勧められたが、読む機会がなかった。
ところが、私のブログにもリンクさせてもらっている友人の岡田清治さんがブログ「人生道場―独人房」で先日、推薦されているのを見て、図書館で借りた。岡田さんが、この本のことをうまくまとめておられる。
横石知二氏の著書『そうだ、葉っぱを売ろう!』を読んで感動しました。ぜひ、お読みになることをおすすめします。
文章力もすごいものがあります。こういう人がいることに改めて感心しました。
縁あって上勝町の農協に就職、その悪戦苦闘ぶりの末に成功されました。
年寄りが暇になると、嫁や他人の悪口ばかりを言い合って過ごすことを知ったそうです。
この町の改革を訴えたが、「お前はよそ者、わしらがお前の給料だしてやっとる、何もでけへんのに偉そうなこと言うな」。
実家に帰りたい気持ちもあったが、耐えたそうです。
大阪へ納品した帰り、立ち寄った「がんこ寿司」で女子大生が料理に添えられている赤いモミジに感動して、きれいなハンカチに包んだのです。
「こんな葉っぱ、うちの町にいくらでもあるのに・・」と思った瞬間、「そうだ、葉っぱを売ろう」と閃いたそうです。
「こういう葉っぱはどこから仕入れるのですか」「葉っぱ?ああ、つまもの(妻物)は、料理人が山へ行って採ってくるんです」
私もはじめてつまものが商品として扱われていることを知りました。この世界も奥が深いのです。著者に手紙を書きたい気持ちになるほど、元気をいただきました。
文章力もすごいものがあります。こういう人がいることに改めて感心しました。
縁あって上勝町の農協に就職、その悪戦苦闘ぶりの末に成功されました。
年寄りが暇になると、嫁や他人の悪口ばかりを言い合って過ごすことを知ったそうです。
この町の改革を訴えたが、「お前はよそ者、わしらがお前の給料だしてやっとる、何もでけへんのに偉そうなこと言うな」。
実家に帰りたい気持ちもあったが、耐えたそうです。
大阪へ納品した帰り、立ち寄った「がんこ寿司」で女子大生が料理に添えられている赤いモミジに感動して、きれいなハンカチに包んだのです。
「こんな葉っぱ、うちの町にいくらでもあるのに・・」と思った瞬間、「そうだ、葉っぱを売ろう」と閃いたそうです。
「こういう葉っぱはどこから仕入れるのですか」「葉っぱ?ああ、つまもの(妻物)は、料理人が山へ行って採ってくるんです」
私もはじめてつまものが商品として扱われていることを知りました。この世界も奥が深いのです。著者に手紙を書きたい気持ちになるほど、元気をいただきました。
読んでみて、まず驚くのはどん底の町、上勝町の変容ぶりだ。
60代から70代ぐらいの男衆が、朝っぱらから一升瓶を提げて農協や役場に集まり、酒を呑んで、くだを巻いている・・・。
当時の町の主な産業がミカン、林業・・・などで高齢者には出番が少ない。・・・することがなくて・・・。
朝、ある家の前を通りかかると、縁側で嫁の悪口を言い合っている女の人たちがいた。それが、お昼を過ぎてから同じところを通りかかると、まだ同じようにしゃべっている。
当時の町の主な産業がミカン、林業・・・などで高齢者には出番が少ない。・・・することがなくて・・・。
朝、ある家の前を通りかかると、縁側で嫁の悪口を言い合っている女の人たちがいた。それが、お昼を過ぎてから同じところを通りかかると、まだ同じようにしゃべっている。
それが葉っぱビジネスの成功後、町の様子はガラリと変わる。
年金暮らしだったお年寄りは、・・・収入ができて所得税を納めるようになり、毎日のように行っていた診療所やデイサービスも、忙しくなってそれどころではなくなった。
・・・
朝から嫁や近所の悪口をおしゃべりしていた人たちも、そんなひまはなくなった。それどころか、嫁や近所の人たちは一緒に(葉っぱビジネスをする)パートナーとなった。
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朝から嫁や近所の悪口をおしゃべりしていた人たちも、そんなひまはなくなった。それどころか、嫁や近所の人たちは一緒に(葉っぱビジネスをする)パートナーとなった。
年収1000万円を超える農家が出、家の新築が相次ぎ、子供一家や孫夫婦まで都会から戻ってきた。町営の老人ホームも廃止された。
ビジネスプランも、しっかりと積み上げていく。
第一は、事前の市場調査と品質管理。横石さんは、これを「現場主義」と呼ぶ。
最初のつまもの(妻物)の出荷がさんざんだった、そこで、大阪や京都の一流料亭に出かけ、自腹で料理を食べに出かける。おかげで20キロも太り、痛風にまでなってしまう。そして、つまものの大事なポイントを学んでいく。
まず季節感。・・・日本の懐石料理では、45日早い季節感の先取りが求められる。
「自然のまま」ではダメということも分かった。(自然のモミジを遠くから見ているときれいだが)・・・しみや虫食いなどがあっては、近くで見たときに美しくなく、料理を引き立てるつまものとして使えなかった。
葉っぱの大きさも、使う器に合わせることが大事・・・。メインである料理とのバランスには一番気を使う。
「自然のまま」ではダメということも分かった。(自然のモミジを遠くから見ているときれいだが)・・・しみや虫食いなどがあっては、近くで見たときに美しくなく、料理を引き立てるつまものとして使えなかった。
葉っぱの大きさも、使う器に合わせることが大事・・・。メインである料理とのバランスには一番気を使う。
このポイントを、すぐに一軒一軒の農家に伝えて回る。栽培の勉強会を開き、おばあちゃんたちを料亭視察に連れていってセンスを磨き、商品のレベルは「ぐうーん」と上がった。
二番目は、著者が「仕組みづくり」と呼ぶ、情報システムの構築だ。
防災無線ファクスとパソコンの2本立てで、農家の意識を変えていった。
防災無線ファクスでは、市場から来る特別注文を農家に同時に伝え、それを早い者勝ちで受注する仕組みがおばあちゃんたちの競争意識を刺激して、やる気を生んだ。
パソコンでは、毎日自分が稼いだ金額と売上順位が分かり、それが刺激になっている。
「上には上がおるんよ~」
パソコンの画面を見つめながら、あるおばあちゃんはくやしそうにつぶやく。評価されることでひとりの事業家として闘志を燃やし、それが売り上げアップにつながっている。
パソコンでは、毎日自分が稼いだ金額と売上順位が分かり、それが刺激になっている。
「上には上がおるんよ~」
パソコンの画面を見つめながら、あるおばあちゃんはくやしそうにつぶやく。評価されることでひとりの事業家として闘志を燃やし、それが売り上げアップにつながっている。
最後に横石さんは、こう書いている。
昔は補助金に頼ることばかり考えていた上勝町が、・・・産業の力で再生できた。産業が仕事を生み、仕事がおばあちゃんたちの生きがいになった。このことを私は「産業福祉」と呼んでいる。
いい言葉だと思う。
(追記)
この本のことを調べているうちに、もう1冊の本を見つけた。
「いろどりおばあちゃんたちの葉っぱビジネス」(立木さとみ著、立木写真館刊=自費出版)。
立木さとみさんは、横石さんの著書にも「協力」として名前が出ており、その1年まえに出版されている。文字と資料もたっぷりの「写真集」だが、上勝町のおばあちゃんの笑顔であふれているらしい。
「立木写真館」は、NHK朝の連続ドラマに登場したあの「なっちゃんの写真館」である。
いろどり おばあちゃんたちの葉っぱビジネス
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立木 さとみ
立木写真舘
売り上げランキング: 188976
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おすすめ度の平均:
写真の力美しい景色と、おばあちゃんの笑顔に感動!
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