読書日記「くらしのこよみ 七十二の季節と旬をたのしむ歳時記」(うつくしいくらしかた研究所・編集、株式会社電通、株式会社平凡社・制作 )
もともと「くらしのこよみ」は、スマートフォン用の 無料アプリとして開発された。
以前にNHKラジオ朝の番組 「ラジオ・ビタミン」で旧暦を楽しむ暮らし方の特集を時々聞くことがあり、おもしろいなあと思っていた。
このアプリは、旧暦のならわしである季節を立春、夏至、秋分、大雪などに分ける 二十四節気と、それをさらに七十二候に分類し、その期間の季節の解説、旬のさかな、やさい、催しなどを巻物のようにスクロールしながら楽しむことができる。
さっそく、私が使っているアンドロイド版のスマホにアップロードしたが、とにかくデジタル写真がすばらしい。このブログを書いている八月六日の大暑・第三十六候「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」には「季節のたのしみ」という項目に「冷たいものは控え、温かい食べ物を」といったアドバイスまであって「そうか、今日の昼は温かいにゆうめんにしようか」と思ったりする。
ただ、この無料アプリは七十二候、つまり五日ごとに更新されて、前後の「候」を見ることができない。
そこで、七十二候のソフトが完成した時点で、1年分をまとめて出版(税別2980円)したのがこの本。同時に、アプリのほうでも iPhoneについては、3-72候分を170-2200円で販売している。予定通りの商業主義に乗せられたきらいがないでもないが、すぐさまAMAZONで買ってしまった。
スクロールの右端から左へ移動してください。
立秋を過ぎ、お盆を迎える時期になると、熱風の中にふと秋の気配を感じることがあります。まぶしいほど輝いていた太陽も心なしか日射しを和らげ、日が落ちると草むらから虫たちの涼しげな音色が聞こえてきます。真夏日や熱帯夜が続き、暑さは今がたけなわですが、季節は少しずつ、しかし確実に進んでいます。
原発再開のための「計画停電」という電力会社の"脅し"にもめげず、例年にない猛暑を耐え抜いてきた70歳の老人に、そっと冷風を運んでくれるような文章である。
そして季節は「寒蝉鳴(ひぐらし なく)」(第三十八候)「蒙霧升降(ふかき きり まとう)」(第三十九)候と進み、二十四節気の 「処暑」に入ると、もう八月もあと数日となる。
そんな季節のうつろいのページを繰り、コスモスの名所を挙げた記述に旅への思いをつのらせてみたりする。 以前、このブログで稲葉真弓の 「半島へ」という本にふれたことがある。その時には書かなかったが、著者が、同じ半島(志摩半島)で生活する自然染め作家に二十四節気を織り込んだカレンダーを楽しむ暮らしを教えてもらう記述が出てくる。
「いつどんな植物が顔を出すか。この暦だとわかりやすい。春分のころを見てみると、ヨモギやセリ、ツタシって書いてある。あ、そろそろだ、とこの暦を見て野に出て春のものを染めるわけやね。春分が過ぎれば、桜の時期。花見の準備もするが、若い枝の皮をそいで煮だして染めるのに最適。穀雨って言葉もいいでしょう?字の通り、穀物を育てる雨がやってくる。芭種が来たら、藍や茜の種をまく。已種の巴は忙とも書くらしい。草取りもあるし、やたら忙しい時期ですわ。そんなわけでね、僕らの一年は十二カ月ではなく、二十四節気。この暦は僕らの仕事の水先案内人です」
「よく五感を研ぎ澄ますって言いますよね。このごろ思うんです。人間は五感どころか、二十四の感覚を身につけているんやないかってね。・・・たとえば、このあたりには桐や粟の木が多いが、半月もすると花のにおいの違いがわかる。同じ花なのに喚寛が違ってくるんです。あ、今日はにおいが濃いな、あ、花が腐り始めているなんてことがわかるのは、もっと微妙な感覚が入り交じっているせいやないかと思うんやけど。温度とか、その日の感情、生理感覚なんかで受け取るにおいが変ってくる。なんや不思議だなぁと思っているうち、ものの本で人間の感覚は十二あるという説を見つけてね。でもねぇ、二十四節気を基準に暮らしてると、どうもそれも少ないような気がする。半月ごとに二十四感覚、人の体も動いているんやないかな」
感覚をとぎすまして、季節の変化を体で受けとめていく・・・。そんな生活をうらやましく感じる
著者は、二十四節気を強調した暦を使っているらしい。「暦には、小さな文字でその季節の特徴、しなければならないことが書いてある」
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立夏。花木の花後の努定。球根や苗の植えつけ。一年草の種まき。挿し芽。ソラマメ、アスパラガス、ワケギなどの収穫。ナス、トマ㌧ピーマンの植えつけ。Etcー
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小満。鹿児島でアジサイ開花。ウツギ、サツキ、シロツメクサ開花。アサガオ、ヨルガオ、ケイトウなど一年草の種まき。キキョウ、タチアオイなど宿根草の種まき。サヤエンドウ、イチゴの収穫。etcー
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小満。鹿児島でアジサイ開花。ウツギ、サツキ、シロツメクサ開花。アサガオ、ヨルガオ、ケイトウなど一年草の種まき。キキョウ、タチアオイなど宿根草の種まき。サヤエンドウ、イチゴの収穫。etcー
こんなカレンダーを手に入れたくてNET検索してみたが、どうもこれだというものがヒットしない。なんとか手に入れたいのだが・・・。
もう1冊「日本の七十二候を楽しむー旧暦のある暮らし」(白井明大/文、有賀一広/絵、東邦出版刊)を図書館で2度にわたって借りた。
「くらしのこよみ」のデジタル写真に負けているかなと思ったが、詩人の言葉とちらばめられている色彩豊かなスケッチがなんとも味わい深い。
絵手紙を描くのが好きという知人に薦めてみようと思う。
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