読書日記「悼む人」「静人日記」(天童荒太著、文藝春秋刊)
天童 荒太
文藝春秋
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おすすめ度の平均:
作者自身の旅素晴らしい物語・残念なラスト
実に重い。読後の疲労感はとてつもない。それでもいい本だと
レビューする人
作家の勝手。読者の自由
天童 荒太
文藝春秋
売り上げランキング: 115170
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彼からの便りがあるたびに、その足跡を一緒にたどるだろう「悼む人」、坂築静人の記録
深く、心の奥を見つめる物語
必ず「悼む人」の後に。
作者の覚悟。
新聞の報道などを手がかりに、事故や事件に巻き込まれて亡くなった人の現場に現れて、おかしな行動をとる青年。
左膝を地面につき、右手を頭上に挙げて空中に漂う何かを捕えるように自分の胸に運ぶ。左手を地面すれすれに下ろし、大地の息吹をすくうようにして胸に運び、右手の上に重ねる。目を閉じて、何かを唱えるように唇を動かす
そして、不思議な行動を不審がる人に、こう問いかける。
彼女は、誰かに愛されたでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか
冥福は祈っていません。・・・ぼくは、亡くなった人を、ほかの人とは代えられない唯一の存在として覚えておきたいんです。それを<悼む>と呼んでいます。
「悼む人」は<悼む>人を求めて全国を放浪する若者・坂築静人(さかつき・しずと)と彼を巡る人びとを著者が7年がかりで書きあげた第140回直木賞受賞作品。
「静人日記」は、この小説を書くために著者が坂築静人の日記として3年間綴ってきた日記文学。
「悼む人」は、こんなエピローグで終わる。
ガンと闘いながら、静人を待ち続けた母・巡子は最後の時を迎える。
巡子はゆっくり抱きあげられた。・・・「あなたは・・・ぼくを愛してくれた人です」・・・「あなたは・・・ぼくから感謝されている人です」・・・「あなたは・・・ぼくに愛された人です」・・・
緑に萌える草の原に、大勢の人がいた。・・・そよ風に葉が揺れる森の大樹の陰に、巡子の両親がいた。・・・彼らも巡子に気づいて、手を振ってくる。
この世界では、誰もが分け隔てなく存在している。そして、誰もが、互いを愛していることが・・・互いに愛されていることが・・・互いに感謝し合っていることが伝わってくる。
緑に萌える草の原に、大勢の人がいた。・・・そよ風に葉が揺れる森の大樹の陰に、巡子の両親がいた。・・・彼らも巡子に気づいて、手を振ってくる。
この世界では、誰もが分け隔てなく存在している。そして、誰もが、互いを愛していることが・・・互いに愛されていることが・・・互いに感謝し合っていることが伝わってくる。
この本を読み、こうしてブログに書くまでになんだか長い時間がかかってしまった。 「死」についての想いが行き来した。
たまたま、神戸・ギャラリー島田(http://www.gallery-shimada.com)のメールマガジンで、こんな言葉を知った。
死は怖れるものでなく、先に逝く人が蓄えてきた豊かな生命力を看取る人に渡す、幸福に満ちた瞬間
島根県江津市で、看取りの家「なごみの里」を運営する柴田久美子さんの言葉である。
「家族を看取る 心がそばにあればいい」(国森康弘著、平凡社新書) は、この「なごみの里」をルポした本。「ただそばにいて、手を握る。それだけでいい」。柴田さんは、いつもそう話すという。
家族を看取る―心がそばにあればいい (平凡社新書)
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國森 康弘
平凡社
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おすすめ度の平均:
幸せになるヒントがいっぱい誰もに読んで欲しい大切な1冊!
心がそばにあればいい
先日、NHKの衛星放送を見ていたら、水俣市在住の作家、石牟礼道子が「水俣病患者の死などに出会って、その死を自分の悲しみとして悶える老女がいる。私の地方では<もだえ神さん>と呼んでいる」と語っていた。著書「あやとりの記」 にもふれられているらしい。
▽参考にした本、したい本
- 「『平穏死』のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか」(石飛幸三著、講談社刊)
「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますかposted with amazlet at 10.07.18石飛 幸三
講談社
売り上げランキング: 2424おすすめ度の平均:早く一般論になればいいですが・・・
ご家族と医療者の架け橋となりうる「老衰」のテキスト
特養からの問題提起
苦しみを除く、老衰=自然死の選択。
これこそ現場の声です
胃瘻(いろう)までして生かし続ける現代医療を疑問視する特別老人ホーム常勤医師の著書 -
「寺よ、変われ」(高橋卓志著、岩波親書)
寺よ、変われ (岩波新書)posted with amazlet at 10.07.18高橋 卓志
岩波書店
売り上げランキング: 21921おすすめ度の平均:お寺の変化に期待します
寺は、変わらなければならない
これお坊さんの仕事?
そう言われても・・・・
この寺を見よ!!
「形骸化して死後のセレモニーとしてしか登場の場面がない」仏教の現状を嘆き、新井満の「千の風になって」がベストセラーになった背景を問う - 「メメント・モリ」(藤原新也著、情報センター出版局)
藤原 新也
情報センター出版局
売り上げランキング: 37766おすすめ度の平均:ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。(本文より)
色褪せない名著
生死論の古典
肉体的な写真本
重要な問題。
「メメント・モリ」は「死を想え」と訳されるラテン語。
犬に食われ、鳥についばまれ、薪の山で燃える死者を克明に追ったすさまじき写真集
メメント・モリ、死を想え。
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