隠居ブロガーの読書:「ウェブ時代をゆく」梅田望夫
期待して読んだが、著者が「あとがき」で下のように触れておられるように、あきらかに対象を若い人に置かれている。これからの長い人生をどう生きるかと考える若い人には、ウェブ時代をゆく指針となるだろう。
「働く」ことをやめて「いかに楽しく遊ぶか」がテーマの隠居の身には、視点がすこし違うかなという感じである。
「福澤諭吉」の『西洋事情』と『学問のすすめ』が対になった存在であるのと同じ意味で、ウェブ時代の意味を描いた『ウェブ進化論』と対になった「その時代に生まれる新しい生き方の可能性」をテーマとした本を、いま時をおかずに書かなければならないと思った
だが、ウェブによって劇的に変革する事象を残された人生の中で体験してみるのも、この時代に生きた証になるかもしれない。
梅田さんは、冒頭の部分でも「福沢諭吉」を引き合いに出して
「福澤諭吉」は『文明論乃概略』緒言の中で、幕末から明治への変化について「恰も一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」と表現した。と記している。
福澤は、その66年の生涯の『最初の半分』(33年)を封建制の江戸時代に、『あとの半分』(33年)を明治維新の時代に、まさに「一身にして二生を経るが如」しだと思う。 (中略)
2年ほど前から『ネットの世界で住む』ようになった私は、もう既に「一身にして二生を経るが如く」生き始めたのだなと感じる。
その実感を持ったとき、福澤のように、その時点での年齢(45歳)のほぼ倍(90歳)まで、つまり2050年まで生きてこの進化の行く末を見てみたいと思った。
私も、ブログを本格的に自分の生活の中心に置いてから2年ほどになる。ITの世界にはその前から身を置いていたが、ネットで世界が変わってきていると実感しているのは最近である。
私は梅田さんより20年も年上だから、二生の比率は半々ではなくて、 3:1 くらいになるかもしれないが、残り4分の1の世界への想像力をたくましくしたいものだと思っている。
マイクロソフト独占の世界だったパソコンの世界は、Google が幅をきかす新しいネットの世界になった。利益至上主義を排し、好きを貫いた人たちがリーダーとなって、オープンな環境で「群衆の叡智」を集めて創られた Linux, Wikipedia などが、Webの世界を変革していく。何か面白い世界になってきた。
同年配の友達の多くは、メールとちょこっとした検索ぐらいにしかパソコンを使っていない。電気店から買ってきたときのそのままであるから、マイクロソフト色の強い設定になっている。中には、パソコンなんて役に立たないと携帯電話だけに頼っているのもいる。ひどいのは、そんな世界と無縁の世界で生きている。ネットがなかった時代の常識だけで、残りの人生を過ごすらしい。
私は、もう少し長生きして、生きることの意味が異なるかもしれない another net world を感じてみたいと思っている。
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