隠居のドライブ:奥飛騨の秘湯、福地温泉
50年近く前の大学時代に教育キャンプ場カウンセラーとして共に過ごした同期と長距離ドライブをした。まだ高速道路関連の会社で現役で働いている仲間のひとりが、このようなとき、いつも幹事を引き受けてくれる。
彼が何回か行って気に入っている奥飛騨の福地温泉が、宿泊地である。この温泉は、TV で秘湯として紹介されているらしい。
大阪からのアクセスは、名神で一宮JCT から東海・北陸道に入り、飛騨清見インターチェンジを経て、中部縦貫自動車道(高山清見道路)で高山ICで降り、平湯温泉を目指す。高山清見道路は、高速道路仕様だが、無料である。
平湯や乗鞍、上高地には若いころに車で訪れたことがあるが、こんな立派な道はなかった。それから40年以上も経って、トンネル掘削技術も進化したのだろう。とにかく、この往復 800km あまりのドライブでは数多くの長いトンネルを走った。道路が整備されたことで、後期高齢者でも1泊で往復できるようになった。ただ、1日 400km は少しハードであったが。
朝8時JR 茨木駅で仲間をピックアップして、新宿からバスでやってきた仲間と落ち合った平湯のバスターミナルに着いたのは、14時前だった。穂高岳がくっきりと見える。
新穂高ロープウエイを使えば、その穂高の高いところまで手軽に上がれる。ところが残念ことには、その日は強風のため肝心の第二ロープウエイが運休してしまった。第一ロープウエイだけ乗って、早々に引き揚げ宿のある福地温泉へ。この温泉は、平湯バスターミナルから車で 20 分ほどの谷間にある。
かけながしのナトリウム炭酸水素塩泉は、まことに心地よい。風呂上がりの夕食には、岩魚の塩焼きなどや山菜料理などで満腹となった。
翌早朝入りに行った露天風呂は内湯とは別の場所にある。川のせせらぎ、小鳥の鳴き声の中で岩にもたれかかり、ひとり手足を伸ばすのは何とも贅沢だ。
上高地への釜トンネルは大型バスが問題なくすれ違えるくらい広く高くなっているが、マイカーは規制されている。平湯に車を置いて、格安価格で客引きに来たタクシーに分乗して、大正池まで。雨が予想されていたのに、帰るまで穂高上部の雲はかかったままだったが、幸いにも青空が広がる好天となった。
若いころに、初めて上高地を訪れたときほどの感激はないが、新緑の向こうに残雪が残る穂高を望む景観は清々しい。
今日の予定は上高地だけなので、14時に上高地バスターミナルから新宿へ向かう東京の友を見送りできるまでの時間を利用して、明神池まで歩いた。梓川左岸線の河童橋からすぐ近くのキャンプ場では、ニホンザルが餌をあさっていた。そういえば、ベンチに腰かけて弁当を広げるすぐそばに、マガモもよちよちと歩いてきた。これらの動物たちに不用意に餌を与えることで、自然の生態が破壊しているようだ。
明神橋までの途中には、ニリンソウが群れとなって小さな白い花を咲かせていた。明神池からの帰りは、梓川の右岸を歩いてきた。清流にマガモが泳いでいた。マガモは本来は渡り鳥と思うが、この上高地では留鳥となっているようだ。
そのとき、私はまだ現役だった頃に学んだ、IBM のトーマス・ワトソン・Jr.がよく語ったと言われるキルケゴールの教訓を元にした次の寓話を思い出していた。
(追記:2009/6/1) 福地温泉・上高地で撮った花の写真を記録として追加しておこうと思う。どちらかといえば特殊な地域なのでネットサーチしても名前の判定が難しかったが、例の「この花の名は?」掲示板に投稿するとすぐに返事が返ってきた。Nawshica さん、エキウムさん ありがとうございました。
この掲示板には、1日10人近くの投稿があり、すぐにどなたかが回答しているようだ。ネット世界は特別なものではなくなっている。
(追記:2009/6/3)上高地で撮ってきた蝶の写真を Yamako さんに見ていただくと下のコメントのように珍しい蝶(コヒオドシ)であることが分かった。一部草に隠れているが、掲載することにした。
彼が何回か行って気に入っている奥飛騨の福地温泉が、宿泊地である。この温泉は、TV で秘湯として紹介されているらしい。
大阪からのアクセスは、名神で一宮JCT から東海・北陸道に入り、飛騨清見インターチェンジを経て、中部縦貫自動車道(高山清見道路)で高山ICで降り、平湯温泉を目指す。高山清見道路は、高速道路仕様だが、無料である。
平湯や乗鞍、上高地には若いころに車で訪れたことがあるが、こんな立派な道はなかった。それから40年以上も経って、トンネル掘削技術も進化したのだろう。とにかく、この往復 800km あまりのドライブでは数多くの長いトンネルを走った。道路が整備されたことで、後期高齢者でも1泊で往復できるようになった。ただ、1日 400km は少しハードであったが。
朝8時JR 茨木駅で仲間をピックアップして、新宿からバスでやってきた仲間と落ち合った平湯のバスターミナルに着いたのは、14時前だった。穂高岳がくっきりと見える。
新穂高ロープウエイを使えば、その穂高の高いところまで手軽に上がれる。ところが残念ことには、その日は強風のため肝心の第二ロープウエイが運休してしまった。第一ロープウエイだけ乗って、早々に引き揚げ宿のある福地温泉へ。この温泉は、平湯バスターミナルから車で 20 分ほどの谷間にある。
かけながしのナトリウム炭酸水素塩泉は、まことに心地よい。風呂上がりの夕食には、岩魚の塩焼きなどや山菜料理などで満腹となった。
翌早朝入りに行った露天風呂は内湯とは別の場所にある。川のせせらぎ、小鳥の鳴き声の中で岩にもたれかかり、ひとり手足を伸ばすのは何とも贅沢だ。
上高地への釜トンネルは大型バスが問題なくすれ違えるくらい広く高くなっているが、マイカーは規制されている。平湯に車を置いて、格安価格で客引きに来たタクシーに分乗して、大正池まで。雨が予想されていたのに、帰るまで穂高上部の雲はかかったままだったが、幸いにも青空が広がる好天となった。
若いころに、初めて上高地を訪れたときほどの感激はないが、新緑の向こうに残雪が残る穂高を望む景観は清々しい。
今日の予定は上高地だけなので、14時に上高地バスターミナルから新宿へ向かう東京の友を見送りできるまでの時間を利用して、明神池まで歩いた。梓川左岸線の河童橋からすぐ近くのキャンプ場では、ニホンザルが餌をあさっていた。そういえば、ベンチに腰かけて弁当を広げるすぐそばに、マガモもよちよちと歩いてきた。これらの動物たちに不用意に餌を与えることで、自然の生態が破壊しているようだ。
明神橋までの途中には、ニリンソウが群れとなって小さな白い花を咲かせていた。明神池からの帰りは、梓川の右岸を歩いてきた。清流にマガモが泳いでいた。マガモは本来は渡り鳥と思うが、この上高地では留鳥となっているようだ。
そのとき、私はまだ現役だった頃に学んだ、IBM のトーマス・ワトソン・Jr.がよく語ったと言われるキルケゴールの教訓を元にした次の寓話を思い出していた。
ジーランドの海岸に、毎年秋、南に渡る野ガモの巨大な群れを見るのが好きな男がいた。
その男は親切心から、近くの池で野ガモたちに餌をやるようになった。
しばらくすると、一部のカモは南へ渡るのが面倒になり、男の与える餌を食べてデンマークで冬を越した。
やがて、残ったカモはますます飛ばなくなった。
野ガモの群れが戻ってきたときには、輪になって歓迎したが、すぐに餌場の池に引き返した。
3、4年も経つと怠けて太ってしまい、気づいたときにはまったく飛べなくなっていた。
その男は親切心から、近くの池で野ガモたちに餌をやるようになった。
しばらくすると、一部のカモは南へ渡るのが面倒になり、男の与える餌を食べてデンマークで冬を越した。
やがて、残ったカモはますます飛ばなくなった。
野ガモの群れが戻ってきたときには、輪になって歓迎したが、すぐに餌場の池に引き返した。
3、4年も経つと怠けて太ってしまい、気づいたときにはまったく飛べなくなっていた。
(追記:2009/6/1) 福地温泉・上高地で撮った花の写真を記録として追加しておこうと思う。どちらかといえば特殊な地域なのでネットサーチしても名前の判定が難しかったが、例の「この花の名は?」掲示板に投稿するとすぐに返事が返ってきた。Nawshica さん、エキウムさん ありがとうございました。
この掲示板には、1日10人近くの投稿があり、すぐにどなたかが回答しているようだ。ネット世界は特別なものではなくなっている。
(追記:2009/6/3)上高地で撮ってきた蝶の写真を Yamako さんに見ていただくと下のコメントのように珍しい蝶(コヒオドシ)であることが分かった。一部草に隠れているが、掲載することにした。
コメント
>yamakoさん
蝶の名前を教えていただきありがとうございました。
平地にはいない蝶と言うことなので、掲載しました。
珍しい蝶ということが分かっておれば、もう少し粘っていい写真を撮ってくるのでした。
明神池のムシカリの花も、おなじパターンです。
Posted by n_shuhei at 2009年6月 3日 07:32
n-shuhei さん、
メールで送っていただいた写真の蝶は、白い蝶がモンキチョウの♀で、もう一方はコヒオドシです。モンキチョウは都会にもいる普通種ですが、コヒオドシは高山蝶です。コヒオドシは北海道では標高の低いところにもいますが、本州では中部山岳地帯の標高1500m以上にしかいません。貴重な蝶の写真を撮られましたね。この時期に見られるのは越冬した成虫です。
Posted by yamako at 2009年6月 2日 22:27
>yamakoさん
コメントありがとうございます。
>>この時期の上高地は人もそれほど多くなく素晴らしいでしょうね。
結構いましたよ。熟年族、アジア系の海外の方、修学旅行生が中心でした。混んでいるときはもっとすごいのでしょうね。
蝶は2種見かけました。どちらもうまく撮れませんでした。
判別しにくいかもしれませんが、メールで送りますので、名前を教えてください。
新緑と残雪のコントラストは今が一番きれいなのかもしれません。
東京新宿からは直通バスで4時間、やっぱり東京の方が需要が多いのでしょうね。でも、関西からも道が良くなりました。
Posted by n_shuhei at 2009年6月 2日 11:50
yamako です。この時期の上高地は人もそれほど多くなく素晴らしいでしょうね。上高地はオオイチモンジという高山蝶がいて、私はどうしてもその時期、つまり夏に行くことが多くなります。秋の紅葉(上高地は黄葉です)のときも訪れたことはありますが、穂高の釣り尾根に雪はありません。この残雪の時期が釣り尾根が一番きれいに見えるころだと思います。ちょっと寒かったのではないでしょうか。
Posted by yamako at 2009年6月 2日 09:00
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