隠居の読書:平岡正明の『ジャズ的』
平岡 正明
毎日新聞社
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平岡氏のジャズ評論、最初の一冊に最適毎日新聞の書評で 「快楽亭ブラックの毒落語」という本を知って購入した。この本についてはどこかの機会で紹介したいと思うが、本の著者は平岡正明である。
ネットでサーチしてみると、著者は、私と同年の生まれである。だが、ブントの一員だったり、犯罪者同盟というアナーキズムの政治結社に参画していた彼が昨年7月に亡くなるまでは、私のような平凡でノンポリの人生とは全く別世界で生きた人物である。
ジャズに関する著書もいろいろとある。興味を引かれて、Amazon で購入したのがこの一冊である。中古本である。
この本は下のテーブルのような 14 章の構成になっていて、それぞれの TPO でジャズを聴いたときの感想文というか日記的随筆になっている。
TPO の Place はほとんど Jazz 喫茶であるが、警察に追われて隠れ家で聴いたときのもあるが、Live で聴いたものはない。
TPO の Time は、1960-70 年代であり、60年安保闘争に続く年代である。随所に左翼的活動に関する話が出てくる。
TPO の Ocasion は、アナーキストとの会合なども出てくるが、Jazz 喫茶のマスターや、ジャズ評論家・司会者の相倉久人らとの付き合いの話も出てくる。
彼の人生の中では Jazz は、特に チャーリー・パーカー以降の bop 系の Jazz は、自由奔放に生きることへのテーマ音楽だったのかもしれない。そう言えば、社会通念に縛られるのが嫌いな人物は、平均律で縛られたクラシックではなく、Jazz が好きな人間が多いと思うのは穿ちすぎだろうか。
Radio Senboku の次の Playlist は、この本に出てくる曲とアーティストを特集しようかなと思っている。平岡正明が随筆で描いた TPO とは全く別次元での TPO で聴くことになるのだが。
『ジャズ的』にでてくる曲 | ||||
章のタイトル | アーティスト | アルバム or 曲名 | ||
梅雨明けのジゴロ | Thelonious Monk | Just a Gigolo | ||
レディ・イン・サテン ーービリー・ホリディにおける「バカ」の考察 |
Billy Holiday | Lady in Satin | ||
ジョニー・ホッジスの「白昼夢」 | Johnny Hodges | Day Dream | ||
ハリー・カーネイ的出師の表 | Harry Carney | Rare Dates Without The Duke | ||
『JATPイン東京』の一断面 | J.A.T.P. In Tokyo | Live At The Nichigeki Theatre 1953 | ||
試聴盤 | Bill Harris | Bill Harris And Friends | ||
「アンフォーゲッタブル」、オスカーピーターソンの歌で | Oscar Peterson | Unforgettable | ||
ディキシー曲「世界は日の出を待っている」からチュー・ベリー「陽の当たる道で」 | Leon Chu Berry | On The Sunny Side Of The Street | ||
「スターダスト」三題 | Ben Webster, Colman Hawkins & Chu Berry | Stardust | ||
L瓶砲兵隊『オーバーシーズ』 | Tommy Flanagan | Overseas | ||
「エンブレイサブル・ユー」三題 パーカー、マクリーン&オーネット |
Charlie Parker, Jackie McLean & Ornette Coleman | Embraceable You | ||
マイルス・デヴィス「スケッチス・オブ・スペイン」 | Miles Davis | Sketches Of Spain | ||
ロイ・エルドリッジに関するおたずね者感覚を求めて | Roy Eldridge | Little Jazz | ||
オーネット・コールマン『チャパカ組曲』 | Ornette Coleman | Chappaqua Suite |
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