隠居の天体観測:日食撮影失敗の巻
生きている間には、再び観測することはできないと言われる皆既金環日食を撮影しようと1ヶ月前くらいから準備を進めていた。
機材は、休眠中のデジスコセットを使うことにした。
日食撮影についてネットでサーチしてみると、DIGISCO.com の「デジスコで天体撮影」というページがヒットした。上のセットを使って日食を撮影するには、減光フィルターが必要ということがわかった。Kenko の PRO ND100000 というフイルターとこれをフィールドスコープに取り付けるためのホルダーを求めた。
ED82 の対物レンズ・フードは取り外すことができなくて、このフォルダー(マルチホルダー100 )をきっちりとねじ込み式にフィールドスコープ ED82 につけることができなく、すこしルーズにしかかぶせることしかできなかった。
だが、フイルターの役目はしているので、試しに太陽をとってみることにした。5月5日、快晴の日の午後3時38分にベランダに三脚を設置して、写した。これを、パソコンで再生してみると、黒点を思われる黒い点まで撮れている。これで大丈夫と、朝6時15分くらいから、太陽を見られる場所を探した。自宅のベランダでは、朝の少しの時間だけ、太陽が出てこない。すぐ近くの公園に朝6時くらいに出かけると、朝日が十分に観察できる。ここに、場所を設定した。
ところが、当日の朝になってドジを踏んだ。玄関から三脚につけたデジスコを持ちだそうとして、セットしていたマルチフォルダーを玄関のたたきの上に落としてしまったのだ。求めた減光用フィルターはガラス製である。ホルダーから滑り落ちて割れてしまった。撮影時に装着すべきであったが、後の祭りである。だが、かろうじて 3/4 ぐらいが割れずに残っている。なんとかなるのではと決めていた公園の位置に三脚を立て、割れたフィルターをつけたデジスコをセットした。心配した天気は薄曇がたなびいているものの青空も広がっている。まだ日食が始まらない太陽を覗いた。フィルターは機能しているようであるが、太陽が丸にならずなんだか変だ。焦ったが、その内に日食が始まった。なんとか、かけている様子は捉えているようだが、5月5日のときのような画像にならない。まあ、仕方がないと皆既になるまで、5分おきになんとか画像を撮り続けた。しかし、そのあとは画像が捉えきれなくなった。フイルターを割ったことを悔いた。
それでも、少しの期待を持ちながらパソコンに画像を取り込んでみると、かけていることは写っているが、極めて不鮮明であり、光が漏れているような感じである。
パソコンにUSBケーブルでつなぐときには、デジスコとからカメラを取り外す。ふとカメラのレンズ部を見ると、OFF の時に閉じているレンズカバーの一部が融けて穴が開いている。このために、レンズ部が全開にならないのだ。ちゃんと撮れなかったのは、フィルターのせいではなく、これが原因だったようだ。あまり使っていなかったデジスコ・セットに慣れるために、ベランダで操作をしているうちに、うっかり太陽にスコープを向けたまま ND フィルターを外すことがあったようだ。その時にレンズカバー( OFF の時には閉まっている)が一部融けてしまって、ON で写真のように全開できなくなっているのだ。
というわけで恥ずかしい写真であるが、掲載することにする。太陽が欠けたという事実は記録されているようだ。
おまけに、EXIF を見ると時計が狂っていたようだ。後で確認すると、10分ほど遅れていた。従って、金環日食は、大阪堺では 7:29 だったように思われる。
かけ始め:6時27分ころ | ほとんど欠けた:7時20分ころ | 金環日食になったと思われる:7時29分ころ |
なんとも情けない結果になってしまった。一生に一回のチャンスだったのに、悔いても悔い切れない思いだ。家内からは、TVアニメ 「マルちゃん」ちで起きるような茶番だとからかわれた。いつも寝付きはいいのに、21日の夜はなかなか寝付けなかった。
6月6日には、金星の太陽面通過という、これもレアーな天体ショーがあるらしい。撮影に挑戦しようかどうかを迷っている。
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