五十嵐邁コレクション - Studio YAMAKO

2010年4月 7日

五十嵐邁コレクション


 田端にあるファーブル昆虫館というところで「五十嵐邁コレクション」展が行われているのを、インターネットの「日本蝶類学会」のホームぺージで知った。3月26日、この日は夕刻から都心で会議があるので、その前に行ってみようと早めに家を出た。
 テングアゲハの生活史を解明された五十嵐邁(すぐる)さんのお名前は以前から存じ上げていて、1979年に出版されたその著書「世界のアゲハチョウ」は、喉から手が出るほど欲しかったが、薄給の身には買い求めることができなかった。
 その後1987年に朝日新聞社から発行された「蝶の世界 生きている宝石の魅力」を買い、五十嵐さんの「テングアゲハのすべてを明かす」という文をむさぼり読んだ記憶もある。
 「五十嵐邁コレクション」展へ行ってみたところ、入口を入ったところで女性の方から丁寧にご挨拶を受け、感激してしまった。展示物の写真を撮らせていただいてよいかとお伺いしたところ「どうぞ、どうぞ」とお許しいただけた。
 入口脇には、大の蝶好きで「チョウを飼う日々」を出版された国会議員 鳩山邦夫さんから贈られた花が飾られていた。
 
1.ファーブル昆虫館
JR田端駅から動坂上まで上がり、左折してちょっと行ったところの住宅街の中にファーブル昆虫館はあった。フランス文学者で蝶の愛好家、また、かって私も読んだ北海道にオオイチモンジを追った紀行文等を集めた「瑠璃の宿」の著者でもある奥本大三郎さんが館長をされている。五十嵐さんと奥本さんは「蝶の世界 生きている宝石の魅力」の中でも座談会に参加されていた。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F3.5 1/100秒 7.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
ファーブル昆虫館;クリックすると大きな写真になります
2.五十嵐邁コレクション
入口を入ったところに、「五十嵐邁コレクション」展の大きなパネルがあった。オオトラフアゲハだろうか、カービングがとてもきれいだった。五十嵐さんは1924年東京生まれ。47年東京大学工学部建築学科卒業を卒業され、大手建設会社に勤務され、取締役を務められた。残念ながら、2008年4月6日、胃癌により享年83歳で故人となられている。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/25秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
五十嵐邁コレクション;クリックすると大きな写真になります
3.研究生活資料
1階には、五十嵐さんの研究に関する資料、たとえば、1997年に発刊された「アジア産蝶類生活史図鑑Ⅰ」の原稿などが展示されていた。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/60秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
研究生活資料;クリックすると大きな写真になります
4.テングアゲハ
テングアゲハの生活史解明は五十嵐さんのライフワークだった。大手建設会社を定年退職した後、退職金をつぎ込み、それまで全く幼虫期の生態や形態が不明だったテングアゲハ(Teinopalpus imperialis)の調査団を結成し、ヒマラヤ山脈のふもと、インドのダージリンで探索を行った。結果、キャンベリーモクレンが食樹であることを明らかにするとともに、各齢の幼虫形態を明らかにした。この写真は、かって私が購入した2003年に発刊された五十嵐さんの著書「蝶と鉄骨と」の口絵をコピーさせていただいた。

2003年6月20日発行 五十嵐邁著 「蝶と鉄骨と」  東海大学出版会 より
テングアゲハ;クリックすると大きな写真になります
5.飼育第1号の報告
このパネルは永久保存用とされている五十嵐さんのテングアゲハの資料である。飼育第1号のオスとメス、当時日本蝶類学会会長であった白水隆氏へ送信した電報など。このパネルは会場に展示されていたが、旨く撮れなかったので、1987年に朝日新聞社から発行された「蝶の世界 生きている宝石の魅力」の写真をコピーさせていただいた。ただ、展示されていたパネルにはテングアゲハの蛹の抜け殻があったが、この写真にはない。右下にあるのは最初のメスを捕えたネットとのこと。

1987年10月10日発行 五十嵐邁ほか 「蝶の世界 生きている宝石の魅力」  朝日新聞社 より
飼育第1号の報告;クリックすると大きな写真になります
6.テングアゲハ幼生期
五十嵐さんによるテングアゲハの卵から蛹までの写生画。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/40秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
テングアゲハ幼生期;クリックすると大きな写真になります
7.Teinopalpus aureas オウゴンテングアゲハの標本
テングアゲハの姉妹種であり、珍品であったが、2000年に来たベトナムのタムダオ山にて幼生期を解明されたとのこと。テングアゲハに比べ後翅の黄色い紋が大きい。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/50秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
Teinopalpus aureas オウゴンテングアゲハの標本;クリックすると大きな写真になります
8.Papilio buddaha ブッダオビクジャクアゲハの標本
きれいに展翅された美しいが蝶が、大きな標本箱に翅をすり合せるように、沢山並んでいた。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/40秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
Papilio buddaha ブッダオビクジャクアゲハの標本;クリックすると大きな写真になります
9.小学校1年生の時の絵
左側の絵は五十嵐さんが、1931年 小学校1年生のときに、描かれた絵である。右は、1947年に東京大学を卒業されたが、卒業論文は「色彩学」で、その下書とのこと。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/40秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
小学校1年生の時の絵;クリックすると大きな写真になります
10.アカネアゲハの写生
図鑑を作るためにそれぞれの種の写生をされているが、その細密な絵には目を見張ってしまう。あとの予定があったので1時間ほどで会場を後にしたが、あっという間に時間が経ってしまった。思いもかけずに素晴らしいものを見せていただき、感動してしまった。

Canon IXY900IS F2.8-5.8 4.6mm-17.3mm 7.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( F2.8 1/20秒 4.6mm ISOオート ) 露出補正 なし
アカネアゲハの写生;クリックすると大きな写真になります

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