茨城県桜川市へ行く(1) 真壁のひな祭り 2月10日
TVの旅番組を見ていて、茨城県桜川市の真壁という町で、住民自らが風情ある街並みを訪れる人をもてなしたいとスタートさせた「ひなまつり」があることを知った。「ひなまつり」は14年目になる。
今回も「和の風 第十四章」として、2月4日~3月3日までの1ヶ月間にわたり町中の家や店などにたくさんのお雛様が飾られる。約300余の見世蔵、土蔵、門などが軒を連ねる真壁の町並みと、その歴史ある建物の中に代々伝わるお雛様が飾られ、春の真壁は懐かしいぬくもりに溢れるというので、是非行ってみたいと思った。
常磐道をカーナビの指示通りに走る。朝食をした守谷SAを出発、土浦北ICで下りるのかと思っていたが、カーナビはその手前の矢田部ICで下りろというので、それにしたがった。つくば学園都市の先まで県道19号線を走り、国道408号線に入る。筑波山を右に見ながら、県道14号線、同じく41号線をさらに北へ向かった。やがて左折して県道7号線に入ったら真壁のひな祭りのために用意されている駐車場があった。10時20分、駐車場はいくつもあったが、私が入った駐車場にはまだ1台も停まっていなかった。
事前にこれだけは見たいと思っていたいくつかのポイントがあったが、その中の一つである「花の井」という銘酒の酒蔵である西岡本店の大きな看板が目についた。まず、そこから回り始める。そのあと町の中心部へ行ったが、そこにはもうたくさんの観光客の姿があった。「ひなまつり」期間中の最後の週あたりはとても混むのだろうと思う。今では、お雛様が約160軒に飾られるようになり、観光客も10万人を超えるようになったという。見つけられない探していたところもあったが、2時間足らずの時間、真壁の街と「ひなまつり」を楽しんだ。
昼食はあとにすることにして、真壁から少し北東へ行ったところにある雨引観音へ行ってみることにした。15分くらいで着く。驚いたのは境内に放し飼いにされている孔雀(インドクジャク)だった。
午後2時前に帰路に着く。カーナビは帰りは桜川筑西ICから北関東道に入れという。友部JCTで常磐道に入り、最初のSAで遅めの昼食にした。
1.「花の井」西岡本店 蔵元西岡本店は県道7号線を真壁の町と反対側に入ったところにあった。観光客の姿は見えない。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F11 1/500秒 17mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
2.「花の井」西岡家のおひなさま この酒蔵の敷地内の6か所でお雛さまが展示されている。入り口の左の蔵に西岡家所蔵のお雛さまが飾られていた。明治時代から大正、昭和とそれぞれの時代の西岡家に伝わるお雛さまだそうだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.5 1/80秒 32mm ISO3200 ) 露出補正 -0.7段 | |
3.「花の井」蔵元 西岡本店 そこには「花の井」に因む品や、薦被り、昔の看板が飾られ、古い電話機の上には「真壁町電話番号表」が掛けられていた。ホームページによれば、西岡本店は天明2年(1782年)創業だそうだ。近江商人の出で、酒づくりに適したこの地で創業以来230余年、伝統を守ると共に常に進取の精神で真摯に酒を造り販売していると記されている。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F5.6 1/50秒 26mm ISO3200 ) 露出補正 -0.7段 | |
4.「国威宣揚」 「国威宣揚」と刻まれたこんな石柱があった。調べてみると、「国威宣揚」とは、明治元年3月14日(1868年4月6日)、五箇条の御誓文の宣言に際して明治天皇が臣下に賜ったことば、すなわち「億兆安撫国威宣揚の御宸翰(おくちょうあんぶこくいせんようのごしんかん)」のことが最初にでてきた。しかし、この石柱に刻まれた「国威宣揚」は、そういうことではなく、太平洋戦争のおり、文字通り、国の威光を世の中にはっきり示そうということのようだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F11 1/500秒 38mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
5.愛窟神社の大木 真壁の街並みに向かって歩きはじめると、神社があり、その小さな境内に大きなケヤキの木があった。大ケヤキは社殿の後方、向かって右手に立っている。主幹を失い、内部には大きな空洞が開いていると思われる。表面もかなり傷みかけている。幹が太い。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F11 1/500秒 32mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
6.潮田家 登録有形文化財 真壁には登録文化財に指定されている建物が多くあり、街並みを形作っている。江戸末期に呉服、荒物、雑貨商を営み、明治時代には土浦の豪商と親戚関係を持ち、商圏を拡げ、関東の三越と呼ばれるようになったそうだ。現在はタバコ小売業を営むが当時の主要な建物はそのまま現存しており、当時の繁盛ぶりを偲ばせる。見世蔵は明治43年の建築で、1階は通り側に広く帳場を構え、奥に座敷を配する。高い棟積をもつ重厚な黒漆喰塗の町家で、真壁の御陣屋前通りの角地に際だった姿をみせていると説明されている。真壁には99棟もの登録文化財があるそうだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F10 1/400秒 29mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
7.旅館伊勢屋 ここは必ず見てこようと思っていたところだ。伊勢屋(田中家)は、既に幕末からこの地にあったが、2代前までは「勢州楼」と称し、真壁でも最も名の知られた料亭であったそうだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F10 1/400秒 32mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
8.旅館伊勢屋 帳場 中に入ると大勢の観光客が見学されている。伊勢屋旅館は、明治中期に料亭「勢州楼」として建造され、平成12年に国指定の登録文化財となっている。入って正面には、昔のままの帳場や長火鉢があり、当時の様子が偲ばる。そこにこの雛壇があった。また屋敷の奥には、現代の名工によって修繕された江戸時代の土蔵もあるという。 テレビや雑誌でもたびたび紹介されているそうだ。ひな人形は、大正、昭和、平成のそれぞれの時代の雛人形が展示されている。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F5.6 1/80秒 26mm ISO3200 ) 露出補正 -0.7段 | |
9.旅館伊勢屋のチビ女将 帳場の脇には、この旅館のお嬢さんなのだろう、額装された写真が何点か掲げられていた。ちょっと迷ったが、こうやって大勢の観光客に見てもらっているのだから、この写真を載せさせていただいた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.2 1/250秒 24mm ISO1250 ) 露出補正 -0.7段 | |
10.旅館伊勢屋 座敷雛 向かって右手の座敷にも雛人形が飾られていた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3 1/250秒 19mm ISO1000 ) 露出補正 -0.7段 | |
11.旅館伊勢屋 竹蓋年男さんの切り絵 最近、旅館伊勢屋では竹蓋年男さんの切り絵展が定期的に開催されているそうだ。この日も何点か鑑賞することができた。傍にぬいぐるみがあった。「いしおです」と名札が付いている。真壁は良質な、小目といわれる粒度が細かい御影石で有名なところであることを知った。この地の石材業の始まりは約500年前と伝えられているそうだが、明治期に入ると、迎賓館(旧赤坂離宮)の造営に使用されたことをきっかけに「常陸こみかげ石」として知名度が向上し採掘、加工技術の進歩と相まって、皇居の縁石、三越本店、多摩御殿(浅川の橋)、などの公共の建物等に真壁石が使われた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.5 1/250秒 24mm ISO750 ) 露出補正 -0.7段 | |
12.塚本茶舗 登録有形文化財 この地は、明治期には飯塚家の屋敷があり、「肴屋」と称する呉服店を営んでいたと伝えられている。この崩れそうな2階建ての瓦葺、建築面積23㎡の2階建の土蔵は飯塚家が建てた文庫蔵であり、既に明治中期には存在していたことが知られている。塚本家がこの土地・建物を買い取って進出したのは昭和10年代のことだそうで、当初は塩の卸商を営んでいたが、戦後になって新たに茶舗を開業したといわれる。潮田家から旧郵便局前の通りを「御陣屋前通り」という。真壁は、佐竹氏と同盟関係にあった真壁氏が、関ヶ原の後転封となり、400年の真壁氏の時代が終わると、浅野長政の隠居料として浅野氏の領地になる。その後、三男の長重が笠間とともに領有。それまでは浅野氏は城下町としての整備を熱心に行っていたという。現在の町並みは、浅野氏の時代の町割りだそうで、「御陣屋前通り」という通りの名前にもその名残が残っている。 そのことが記された札が立てられていた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F8 1/250秒 19mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
13.旧真壁郵便局 旧真壁郵便局は、真壁町の中心部の通称「御陣屋前通り」と高上町通りの交差点の北西角に位置している。昭和2年に第五十銀行(現・常陽銀行)真壁支店として建設されたものだそうだ。その後、所有者も替わり、幾度かの転用を経て、昭和31年から真壁郵便局(特定郵便局)として昭和61年まで使用されてきた。見たところ真壁にはこの旧郵便局以外洋風建築というのはなかった。内外部に郵便局時代の面影を残したまま、街並み案内所として活用されている。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F13 1/640秒 24mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
14.園児制作のお雛さま 旧真壁郵便局の中には、真壁町町田というところにある「ひなの里幼稚園・保育園」の園児たちが作ったお雛さまが飾られていた。園児たちも見学に来るという。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F4 1/250秒 45mm ISO320 ) 露出補正 -0.7段 | |
15.石雛 石雛というのを見たいと思っていた、確か民家の軒先に飾られた石雛の写真が何かに載っていたと記憶していたのだが、それを探し出すことはできなかった。「旧真壁郵便局」のボランティアの方に「石雛はどこで見られますか」と尋ねたところ、教えていただいたのがこの「石匠の蔵」だった。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F6.3 1/640秒 70mm ISO320 ) 露出補正 -0.7段 | |
16.旅籠 ふるかわ 160年前の建物を平成20年に宿泊施設として改装、整備して開業した旅館だという。1日1組限定だそうで、2間続きの部屋に8名まで泊まれるというが、女性限定との話もある。2階の縁に飾られているお雛さまが印象的だった。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F9 1/320秒 40mm ISO320 ) 露出補正 -0.7段 | |
17.川島書店見世蔵のお雛さま 本、雑誌、教科書、文具、学用品、教材、事務用品、事務機器、印章などを販売している川島書店という店があった。近年になって、店舗と家屋を新築したため、見世蔵は現在空き店舗となっている。その見世蔵は初代清兵衛が江戸時代末期に建設したものと伝えられ、登録重要文化財である。そこには江戸時代から平成に至るまでのお雛さまが飾られていた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.6 1/250秒 38mm ISO1600 ) 露出補正 -0.7段 | |
18.川島書店 山岡鉄舟の書 川島書店見世蔵では江戸時代に川嶋薬舗として生薬店が営まれていたというが、これは山岡鉄舟の書による店の看板だ。山岡鉄舟は幕臣であり、 明治期には茨城県参事などを務めたそうだ。川嶋薬粧とのかかわりはわからない。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.3 1/250秒 29mm ISO400 ) 露出補正 -0.7段 | |
19.村井醸造 真壁伝承館を見学して、下宿十字路へ歩くとその左手に村井醸造があった。滋賀県日野町観光協会発行の「日野・その歴史と自然」には、江戸時代の初期である延宝年間(1673~1680)に常陸の国・真壁の町へ、行商人(近江商人)であった村井重助が醤油・味噌販売の出店を構えたのが、近江商人の関東出店の最も古い記録である記載されているそうだ。初代村井重助が、この地で創業したのも、良質な米と水があったからだと云われている。明治時代に建築された店舗に、脇蔵と大正時代に建築された石蔵と昭和初期の煙突は、登録文化財にも指定されているなど、建物にも歴史がある。ひな祭りの期間中、店舗内の倉庫では、地元芸術家による日本画の絵画展が開催されている。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3.3 1/250秒 29mm ISO400 ) 露出補正 -0.7段 | |
20.増田酒店のおひなさま 増田酒店は、村井醸造と同じく、近江(滋賀県蒲生郡日野町)が、店舗創始者の出身地だそうだ。 最初に訪れた「花の井」西岡本店も近江商人の出だったが。近くにある村井醸造の全商品と、蔵でも商品にされていない酒を販売する酒類販売店だが、店の中には昭和53年のお雛さまが飾ってある。見学者に無料で甘酒を振る舞ってくれた。かみさんはその甘酒をご馳走になり、美味しかったようだ。真壁の地酒(村井醸造)「公明」を売る店で、量り売りもしてるそうだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F7.1 1/250秒 24mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
21.つるし雛 これがどこのお店のつるし雛だったか、解らなくなってしまった。多分、旅館伊勢屋の近くの石田金物店だったと思うが定かではない。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F3 1/250秒 21mm ISO900 ) 露出補正 -0.7段 | |
22.蜜弘寺のケヤキ 真壁伝承館から川原町十字路への道筋に大きなケヤキの木が見えた。そこは真言宗熊野山密弘寺だった。密弘寺は、宝治元年(1247)、恵寿僧都が開山したと伝えられている。密弘寺の不動堂は登録有形文化財に指定されている。真壁町指定天然記念物の大ケヤキは、境内に入って参道石畳の脇に立っていた。かなりの年齢を重ねているのだろうと思う。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F11 1/500秒 21mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
23.魚キ商店 魚屋さんなのだろうか。お店の土間におひなさまが飾られていた。昭和37年のおひなさまだそうだ。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F4 1/250秒 17mm ISO200 ) 露出補正 -0.7段 | |
24.高松家のおひなさま -1 そろそろ駐車場へ戻ろうと、下宿通りを県道7号線を目標に歩いて行く途中に、真壁のひなまつりに登録されていない高松家というお宅があった。「のれんの奥の隠れ雛」と張り紙があって、ガラス越しにおひなさまを見る。昭和3年生まれの母が幼い時分に親戚や懇意にしている近所の方々からいただいたものです。当初は雛壇を贈るよりも親戚や懇意にしている方々で申し合わせて一つ一つの小さな雛を贈っていただいたということです。」と説明されていた。なんともやさしい顔をした内裏雛(享保雛)だ。ガラス越しなのでこちら側の映り込みがないように気を付けた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F4.5 1/100秒 70mm ISO3200 ) 露出補正 -0.7段 | |
25.高松家のおひなさま -2 説明の張り紙に「最前列の翅を背負って踊る二蝶舞、犬(チン)連れ雛は珍しいと言われています」とあった。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F4.5 1/250秒 70mm ISO3200 ) 露出補正 -0.7段 | |
26.高松家のおひなさま -3 おひなさまは藍染ののれんの向こうにひっそりと飾られていた。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F4.5 1/250秒 70mm ISO360 ) 露出補正 -0.7段 | |
27.真壁から見る筑波山 筑波山は日本の関東地方東部、茨城県つくば市北端にある標高877mの山。この写真では右側に見える西側の男体山(871m)と、東側の女体山(877m)からなる。真壁からは普段見慣れている筑波山を裏側から見るようになる。
Nikon D5000 SIGMA 17-70mm F2.8-4.5G プログラムオートで撮影 ( F9 1/1250秒 70mm ISO360 ) 露出補正 -0.7段 |
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