猛暑の箱根湿性花園 ② 2023年7月18日 神奈川県箱根町仙石原 - Studio YAMAKO

2023年7月28日

猛暑の箱根湿性花園 ② 2023年7月18日 神奈川県箱根町仙石原

チョウの姿はなく、ミドリシジミのミの字もなかった。いつもは、多くのオオウラギンスジヒョウモンが、オカトノウやカセンソウが咲く湿原植生復元区で翔んでいるのだが、その姿もなかった。たまに翔んでは来るのだが、すぐ木陰のあるほうに飛び去ってしまう。吸蜜していたのは1頭のみだった。
 手持無沙汰で花の写真を撮りながら、11時半まで園内に滞在して、駐車場の前で40年以上にわたり営業しているという「湿性茶屋」という蕎麦屋に寄り、とろろそばを食べた。ビールを飲めなかったのは残念だが、箱根の冷水が身体に染みるようにうまかった。

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オグラセンノウ(小倉仙翁) 2023年7月18日 神奈川県箱根町仙石原
オグラセンノウは、1903年の熊本県阿蘇山で採取された標本に基づいて植物学者の牧野富太郎博士によって新種として紹介がなされ、本草図説の植物に当てはめ、オグラセンノウと命名された(wikipedia) 環境省絶滅危惧ⅠB類

024_230718065 X900 猛暑の湿性花園 エゾミソハギ RX10M4.jpg 24.エゾミソハギ(蝦夷禊萩)
エゾミソハギ は、盆花としてよく使われ、ボンバナ、精霊花(ショウリョウバナ)などの名もあるミソハギの近縁種である。ミソハギより大型で、葉の基部が茎を抱き、毛が多い。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000)選定種の一つである。湿潤な場所によく育つという。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 151mm ISO160 ) 露出補正 -0.7段
025_230718161m X900 箱根湿性花園 コバノタツナミ Z50 Z105mc.jpg 25.コバノタツナミ(小葉の立浪)
シソ科の植物である。舞岡公園でも見られるタツナミソウの変種。茎の基部が長く這う。基本種と比べて全体に小さく、葉は小型で短毛が生え、鋸歯の数が少ない。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f8 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
026_230718150 X900 箱根湿性花園 ドクウツギ Z50 Z105mc.jpg 26.ドクウツギ(毒空木)の実
何の実だろうと思い、種名の札を見るとドクウツギと書かれていた。名前にウツギが付く植物はアジサイ科のウツギ、マルバウツギ、ノリウツギがあるが、スイカズラ科のタニウツギ、ミツバウツギ科のミツバウツギもあり、このドクウツギはドクウツギ科である。空木(ウツギ)は幹が中空であることに由来するというが、ドクウツギの和名の由来は、枝ぶりがウツギに似ていて、毒を含むことからこの名があるという。wikipediaを見ると、トリカブト、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされている。花期は4 - 6月。果期は6月から8月。果実はブドウのように房状につき、熟すると赤から黒紫色になり、食べられそうに見えるが猛毒である。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f4 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
027_230718078 X900 猛暑の湿性花園 キンミズヒキ RX10M4.jpg 27.キンミズヒキ(金水引)
バラ科キンミズヒキ属の多年草である。和名の由来は、細長い黄色の花穂を「金色のミズヒキ(タデ科)」にたとえたものである。タデ科イヌタデ属にミズヒキ(水引)という種がある。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 181mm ISO250 ) 露出補正 なし
028_230718082 X900 猛暑の湿性花園 RX10M4.jpg 28.仙石原湿原植生復元区 -1
仙石原湿原植生復元区には木道が整備されている。南側の台ヶ岳(1,045m)、神山(1,483m)方面を眺める。湿原には黄色いカセンソウや白いオカトラノオの花が咲き、いつもはオオウラギンスジヒョウモンなどが多く舞っているが、この日は猛暑の為か姿が見えない。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 20mm ISO125 ) 露出補正 なし
029_230718081m X900 △猛暑の湿性花園 ウラギンスジ RX10M4.jpg 29.葉陰に隠れるオオウラギンスジヒョウモン
それでも1頭のオオウラギンスジヒョウモンが翔んでいた。しかし、花には来ない。湿原を横切って、木立の方へ翔んで行き、日陰になった葉に静止した。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO1600 ) 露出補正 なし
030_230718084 X900 猛暑の湿性花園 カセンソウ RX10M4.jpg 30.カセンソウ(歌仙草)
仙石原湿原植生復元区に多く咲いている。キク科オグルマ属の多年草である。和名をカセンソウ「歌仙草」というが、牧野富太郎博士は「名の由来は不明」としているそうだ。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 201mm ISO1600 ) 露出補正 なし
031_230718092 X900 〇猛暑の湿性花園 オカトラノオ RX10M4.jpg 31.オカトラノオに来たオオウラギンスジヒョウモン♂
1頭のオオウラギンスジヒョウモンが不意に飛来し、オカトラノオの花に止まった。前翅が大きく破損していた。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO250 ) 露出補正 なし
032_230718121 X900 猛暑の湿性花園 RX10M4.jpg 32.オオウラギンスジヒョウモン(トリミング)
前の写真と同じ個体。破損したところをカットした。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO200 ) 露出補正 なし
033_230718103m X900 ◎猛暑の湿性花園 オカトラノオ RX10M4.jpg 33.キタテハ夏型
5mほど離れたオカトラノオの花に止まっていたキタテハを発見した。チョウがいないので貴重な被写体だ。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO200 ) 露出補正 なし
034_230718110 X900 〇猛暑の湿性花園 コキマダラ RX10M4.jpg 34.コキマダラセセリ♀
木道から離れたところに咲いているカセンソウに何か止まっている。セセリチョウまでは解るが、肉眼では同定できない。とにかく撮って、モニターで拡大し見てみるとコキマダラセセリだった。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO160 ) 露出補正 なし
035_230718114 X900 猛暑の湿性花園 RX10M4.jpg 35.仙石原湿原植生復元区 -2
平成元年から毎年仙石原湿原植生復元区火入れが実施されている。夏に生い茂ったヨシやススキなどの枯草や、その中に隠れて成長したハンノキなどの樹木の幼木を、火をつけて燃やし、取り除く作業である。これらがその場にあり続けると、湿原は次第に森林へ変化(遷移)していく。そのため、仙石原湿原の維持にはこの火入れ作業が重要とされている。ミドリシジミの食樹であるハンノキの幼木は犠牲になる。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f2.8 1/1250秒 12mm ISO160 ) 露出補正 なし
036_230718111 X900 猛暑の湿性花園 RX10M4.jpg 36.仙石原湿原植生復元区 -3
これは東を向いて撮った写真である。右側が台ヶ岳の方向になる。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f3.2 1/1250秒 9mm ISO100 ) 露出補正 なし
037_230718167 X900 箱根湿性花園 クサレダマ Z50 Z105mc.jpg 37.クサレダマ(草連玉)
湿原植生復元区に咲いていた。和名はマメ科のレダマに似て、草本であることに由来する。wikipediaでは、草本とは、木本(もくほん)に対応する概念で、木にならない植物を指す。すなわち、樹木のように大きくならず、太く堅い幹を持たない植物である。一般に草(くさ)と呼ばれる植物である。と記されていた。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f3 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
038_230718124 X900 〇猛暑の湿性花園 ウラゲヨブスマソウ RX10M4.jpg 38.スジグロシロチョウ♂ -1
スジグロシロチョウが初めて見る花で吸蜜していた。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO1000 ) 露出補正 なし
039_230718172 X900 ◎箱根湿性花園 Z50 Z105mc.jpg 39.スジグロシロチョウ♂ -2
スジグロシロチョウが吸蜜している花を、Picure This で検索してみると、ウラゲヨブスマソウ(裏毛夜衾草)と同定してくれた。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f8 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
040_230718176 X900 箱根湿性花園 Z50 Z105mc.jpg 40.ウラゲヨブスマソウ(裏毛夜衾草)
ところがwikipediaで、ウラゲヨブスマソウで検索するとイヌドウナのページが開いた。その写真を見ると確かにこの花である。似ている種にヨブスマソウという種があり、イヌドウナは、ヨブスマソウより背丈も低く、小さいという。ウラゲヨブスマソウ=イヌドウナなのだろうか?

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f4.5 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
041_230718170 X900 箱根湿性花園 ニワシロユリ マドンナリリー Z50 Z105mc.jpg 41.マドンナリリー(和名ニワシロユリ)
キリスト教においては白いユリの花が純潔の象徴として用いられ、聖母マリアの象徴として描かれ、この花が「マドンナリリー」と呼ばれるようになっていった。日本語名は「ニワシロユリ」と名付けられているが、これは英語名からの直訳で、キリスト教の聖花として庭園栽培がなされていたことに由来するそうだ。テッポウユリに似ている。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f4.5 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし
042_230718130 X900 猛暑の湿性花園 ノリウツギ RX10M4.jpg 42.ノリウツギ(糊空木)
和名の由来は何かと思いwikipediaで調べたところ、樹皮からは和紙の糊料が採れるとあった。また、花を楽しむために庭に植えられるほか、根からは喫煙具のパイプが作られることが知られている。ノリウツギの花にはチョウも多く集まり、かってはここにある1本のノリウツギにミドリシジミが10頭近くいたこともあった。この日は、何か所かノリウツギの花が咲くところを丹念に見たが、1頭も見られなかった。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 220mm ISO250 ) 露出補正 なし
043_230718131 X900 猛暑の湿性花園 マンシュウキスゲ RX10M4.jpg 43.マンシュウキスゲ(満州黄萱)?
私はニッコウキスゲ(日光黄萱)と思って撮ったが、後で、その画像をPictureThisで検索してみると、マンシュウキスゲという結果だった。

SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
シャッタースピード優先オートで撮影 ( f4.0 1/1250秒 172mm ISO125 ) 露出補正 なし
044_230718181 X900 箱根湿性花園 キリンソウ Z50 Z105mc.jpg 44.キリンソウ(麒麟草)
キリンソウは、薬用及び食用にされ、虫刺されや切り傷にはすり潰した葉の汁を塗ると効果があるという。和名の別名にはキジンソウ、キジグサともいい、「傷薬の草」を意味し、これが転訛して「キリンソウ」となったとする説がある。また、中国の古書に登場する伝説上の動物麒麟に由来するという説もあるという。だが、黄色い花と動物のキリンを関連付けたいところだが、名前の由来は不明だそうだ。

Nikon Z50 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
シャッタースピード優先オートで撮影  ( f11 1/800秒 105mm ISO400 ) 露出補正 なし

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