今年のこの異常な猛暑で、箱根仙石原のミドリシジミの発生はどれほど早いのか気をもんでいた。まず、7月8日に行こうと予定していたが、天気がイマイチ落ち着かないので、延ばす。その後も同じような状況が続き結局行くことが出来たのは、気象庁が "関東甲信と東海 梅雨明け"を発表した。7月18日だった。
梅雨明けが宣言されたこの日は、それまでのぐずついた天気は一変し、久しぶりの晴れになった。
2021年(令和3年)4月28日に「はこね金太郎ライン(はこねきんたろうライン)」という、南足柄の矢倉沢から箱根に行く新しい道が出来ていたのを知っていた。例年ウスバシロチョウを撮りに南足柄の夕日の滝へ行く折に通るのだが、東名高速の大井松田を出て、松田インターから県道78号線を行き、矢倉沢で左に入る道だ。だが、箱根のどこに出るのか知らなかったので、改めて調べてみたところ、なんと仙石原の交差点の少し手前で、これまで御殿場から上がってきていた道に突き当たる。そこを左に行くと仙石原交差点である。
距離は、東名の御殿場から上がっていくよりはるかに短いし、高速料金も節約できる。今回はこの道を利用することにした。
「はこね金太郎ライン」は、矢倉沢から、既存の林道を再整備する形の新しいルートが開通した。「南箱道路(なんぱこどうろ)」とも呼ばれる。道幅は5 mほどで各所に待避所が設置されており、乗車定員11名以上の乗用自動車や、最大積載量3トン以上の貨物自動車は通行できない。カーブも多く車列の一番前を走り、後続車に付かれると少々走り難い。
途中に「金時見晴パーキング」があったが、トイレもないただの駐車場である。矢倉沢から仙石原まで11kmで、走行時間は20分程度だった。自宅からの走行時間は、2時間弱で、東名御殿場経由と、今回の金太郎ライン利用ではトータルの時間はほとんど変わらなかった。下りもこの道を利用したが、東名御殿場ICから方が走りやすい。
9時開門の箱根湿生花園にはその5分ほど前に着いた。朝から暑い。この時間で30℃は超えているのではないだろうか。園内に入るとチョウの飛ぶ姿が見える。ミドリシジミなどが飛来するノリウツギの咲くところへ行って見るが、ノリウツギの花はすでに終わっていた。やはり、遅かったかと思いつつ、仙石原湿原植生復元区へ向かう。カセンソウが咲き、オオウラギンスジヒョウモンが飛ぶ姿も見えた。ミヤマカラスシジミも現れた。下草に隠れるようにしているミドリシジミもいた。
撮った写真を時系列で載せていく。
園内を一回りして、水分補給と30分ほどの休憩をしたあと、再び園内を歩いた。観察路を歩いているとベンチにお孫さんと2人で座っていたご婦人が「花ですか?昆虫ですか」と声をかけて来られた。「チョウチョです」と答えたところ、「クジャクチョウを撮りましたか?」と尋ねられた。私は頭からここにクジャクチョウは生息しいないと思っているので、とっさに「ここにはクジャクチョウはいません」と答えた。「それがいたのですよ。写真も撮りました」と言われる。信じられないので、「見せていただけますか」と言って、モニターに出してもらった。確かにクジャクチョウだった。私が疑っていたのを感じ取られたと思い、「失礼しました。ここには私もこの季節に何回も来いますけどクジャクチョウは見たことがなかったので」とお詫びした。
そのご婦人は近くのお住まいの人らしく、ここへはよく来ているという。ミドリシジミ、ミヤマカラスシジミのこともご存じだった。モニターに写っていた画像から「カセンソウのところですね」と聞くと、お孫さんが「そうです」と教えてくれた。「きっと、まだいますよ」と言われるので、カセンソウが咲く湿原植生復元区へ行って見た。翅を閉じて吸蜜する真っ黒なクジャクチョウがいた。
この日は、あまり良い写真は撮れなかったが、ミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、に加えてクジャクチョウもゲットした。だが、気温が高すぎる。元気なのはオオウラギンスジヒョウモンだった。
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1.はこね金太郎ライン 金時見晴パーキング -1
東名の大井松田インターを下りて、県道78号線を走り矢倉沢から「「はこね金太郎ライン」に入った。15分ほど登っていくと「金時見晴パーキング」があった。午前8時40分。PAではなく、単に20数台が駐車できる駐車場である。
Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
絞り優先オートで撮影 ( f11 1000秒9mm ISO320 )
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2.はこね金太郎ライン 金時見晴パーキング -2
売店はないし、トイレもない。「金時見晴パーキング付近の公衆トイレのご案内」という看板が建っていた。トイレは一番近いところで車で5分かかる。
Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
絞り優先オートで撮影 ( f11 1000秒9mm ISO320 )
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3.はこね金太郎ライン 金時見晴パーキング -3
金時山、明神岳へのハイキングコースの案内があった。ここから、箱根湿生花園までは、10分もかからなかったと思う。
Canon PowerShot G7X f1.8-2.8 8.8-36.8mm 20.2 Mega Pixels
絞り優先オートで撮影 ( f11 1000秒24mm ISO1250 )
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4.エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)
北海道、本州中部以北に分布するナデシコ科ナデシコ属の一種。一方、カワラナデシコは本州、四国、九州に分布している。カワラナデシコより、本種の方が花は大きいそうだ。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000秒178mm ISO125 )
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5.ヤマユリ(山百合)
瑞々しいヤマユリが咲いていた。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/640秒62mm ISO1600 )
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6.クロイトトンボ
トンボは不得手である。画像から同定しようとしたが、確信はない。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO800 )
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7.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -1
歩いているだけで汗をかくほど暑い。この暑さでチョウは飛んでくれるかと思いながら仙石原湿原植生復元区へと歩いていくとオオウラギンスジヒョウモンが飛んでいるのを目撃した。、オオウラギンスジヒョウモンはここでは定番である。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO640 )
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8.サナエトンボ
オニヤンマにも似ていて、サナエトンボの仲間とまでは解った。トンボ目サナエトンボ科は世界で78属88種いて、日本では14属27種が生息するという。春に羽化することが多いので、サナエという名が付いている。同定は出来なかった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO500 )
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9.ミヤマカラスシジミ -1
今日のターゲットの一種であるカラスシジミが現れた。ヌマトラノオ(沼虎の尾)の花にとまって吸蜜を始めた。時間は9時半少し前だった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 143mm ISO500 )
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10.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -2
カセンソウ(歌仙草)、ヌマトイラノオ、オカトラノオ(丘虎の尾)などが咲く仙石原湿原植生復元区へ出た。正面には台ヶ岳を望む。複数のオオウラギンスジヒョウモンが飛び、カセンソウで吸蜜していた。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO800 )
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11.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -3
カセンソウから次のカセンソウへと飛ぶ。カセンソウはキク科オグルマ属の多年草である。牧野富太郎さんによれば、歌仙草という和名の由来は不明とのこと。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO500 )
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12.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -4
暑いのに元気に活動している。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO500 )
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13.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -5
咲き始めたオカトラノオの花で吸蜜をしていた。この花にもチョウが好んで飛来する。オカトラノオとヌマトラノオはよく似ているが、ヌマトラノオ(沼虎の尾)の花序はまっすぐ伸び、花は花序一様に咲きはじめるが、オカトラノオは花は過剰の先端から咲き始め、花序は先が下がるように曲がるので、区別できる。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO800 )
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14.ヒメアカタテハ
今年は見ることが少なかったヒメアカタテハがカセンソウに来ていた。ここ仙石原湿原植生復元区は7月~9月にかけてカセンソウが群落になって咲き、昆虫たちの楽園になっている。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 220mm ISO640 )
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15.仙石原湿原植生復元区に咲くカセンソウとオオウラギンスジヒョウモン
この画像に2頭のオオウラギンスジヒョウモンが見られる。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/2000 19mm ISO400 )
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16.仙石原湿原植生復元区に咲くカセンソウとヒメアカタテハ
同じ花で長い間、動かないで吸蜜を続ける。本種は世界各地に広く分布する。中国へ旅行した時も、ヨーロッパへ旅行した時もしばしば見ることがあった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f3.2 1/2000 19mm ISO400 )
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17.チャバネセセリ
カセンソウにいたセセリチョウはチャバネセセリだった。ここはヒメキマダラセセリが多くいるが、この日は見なかった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 208mm ISO500 )
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18.ツマグロヒョウモン♀
ツマグロヒョウモンは都会でも見られる普通種になった。温暖化で分布を北へと広げてきたが、もともとは暖地系のチョウである。最近は上高地など信州の山地でも見るようになった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 208mm ISO500 )
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19.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -6
花から花へ。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 215mm ISO250 )
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20.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -7
気に入ったショットだ。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 215mm ISO400 )
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21.オオウラギンスジヒョウモン ♂ -8
吸蜜をやめてカセンソウから離れていった。19.からここまでは連写で撮れた画像である。まだ、時刻は9時40分だった。
SONY Cyber-shot RX10 Ⅳ 8.8-220mm f/2.4-4 20.1 Mega Pixels
プログラムオートで撮影 ( f4.0 1/2000 215mm ISO400 )
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